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令和3年の民法等の改正(18)

竹下勇夫

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テーマ:民法等の改正

~不動産登記法の改正②~

また、不動産登記法第76条の3が新設され、相続人である旨の申出制度が新たに設けられました。前回述べた相続登記の申請義務を負う者は、登記官に対して、所有権の登記名義人について相続が開始した旨及び自らが所有権の登記名義人の相続人である旨を申し出ることができるとされました(第1項)。そして第76条の2に規定する3年以内にこの申出をした者は、同条の登記申請義務を履行したものとみなされます(第2項)。つまり、3年の期間を経過した後も、登記申請義務違反の過料の制裁を受けないということです。この申出がなされたときは、登記官は、職権で、その旨並びに申出をした者の氏名及び住所等を所有権の登記に付記することができます(第3項)。さらに、この申出をした者が、その後遺産分割により所有権を取得したときは、遺産分割の日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならないとされています(第4項)。これに違反すると、やはり過料の制裁があります。

 以上の様な相続人である旨の申出制度が創設されたことから、改正後は、相続開始後3年以内にとりあえず登記官に対してこの申出をしておき、遺産分割後に相続による所有権移転登記がなされることになると思われますが、おそらくこの改正の意図することは、できるだけ相続開始後3年以内に遺産分割を終了して確定的な所有権移転登記を完了してください、というところにあるものと思われます。   —続—

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竹下勇夫(弁護士)

弁護士法人ACLOGOS

検察官として10年、弁護士として30年超のキャリアを有し、高い専門性が求められる企業法務を得意とする。沖縄弁護士会会長等の公職を歴任する傍ら、琉球大学大学院法務研究科(現在は学部)講師の顔を持つ。

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