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令和3年の民法等の改正(12)

竹下勇夫

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テーマ:民法等の改正

~遺産分割の見直し①~

 現行民法では、相続人が複数いる場合には、相続の開始により相続財産は相続人の共有に属するとされます(第898条)が、この遺産共有関係は、その後、遺産分割により解消されることが想定されています(第906条以下)。この想定のとおり遺産分割がされ、その旨の登記がされれば、所有者不明土地の発生は抑制されることとなりますが、実際には、遺産分割がされず、被相続人名義のまま、遺産に属する土地が放置されることも少なくありません。そして遺産分割がされない原因のひとつに、現行民法が、遺産分割をすることができる期間に制限を設けておらず、遺産分割をしないで放置することが可能とされていることが考えられます。そこで、遺産分割をすることができる期間に制限を設けて、遺産分割を促進することについて検討され(法制審議会民法・不動産登記法部会資料5参照)、遺産分割の合意又は遺産分割の申立てがないまま、相続開始時から一定の期間を経過したときは、具体的相続分の主張をすることができないものとすることについて検討されました。

 また、具体的相続分の主張をすることに制限を設けることを前提に、各相続人が相続財産に属する各財産について有する法定相続分に相当する持分(共有持分)に沿って分割することについて検討されました(以上、同資料13参照)。

 以上の検討結果に基づいて、改正法が成立しました。
                       —続—

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竹下勇夫(弁護士)

弁護士法人ACLOGOS

検察官として10年、弁護士として30年超のキャリアを有し、高い専門性が求められる企業法務を得意とする。沖縄弁護士会会長等の公職を歴任する傍ら、琉球大学大学院法務研究科(現在は学部)講師の顔を持つ。

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