改正高年齢者雇用安定法 その10
承前
最後に、指針は「賃金・人事処遇制度の見直し」に関する留意事項として、次のような事項を挙げています。
⑴ 年齢的要素を重視する賃金・処遇制度から、能力、職務等の要素を重視する制度に向けた見直しに努めること。
この場合においては、当該制度が、制度を利用する高年齢者の就業及び生活の安定にも配慮した計画的かつ段階的なものとなるよう努めること。
⑵ 高年齢者就業確保措置において支払われる金銭については、制度を利用する高年齢者の就業の実態、生活の安定等を考慮し、業務内容に応じた適切なものとなるよう努めること。
⑶ 短時間や隔日での就業制度など、高年齢者の希望に応じた就業形態が可能となる制度の導入に努めること。
⑷ 65歳以上継続雇用制度又は創業支援等措置を導入する場合において、契約期間を定めるときには、高年齢者就業確保措置が70歳までの就業の確保を事業主の努力義務とする制度であることに鑑み、70歳前に契約期間が終了する契約とする場合には、70歳までは契約更新ができる措置を講ずるよう努めることとし、その旨を周知するよう努めること。また、むやみに短い契約期間とすることがないように努めること。
⑸ 職業能力を評価する仕組みの整備とその有効な活用を通じ、高年齢者の意欲及び能力に応じた適正な配置及び処遇の実現に努めること。
⑹ 勤務形態や退職時期の選択を含めた人事処遇について、個々の高年齢者の意欲及び能力に応じた多様な選択が可能な制度となるよう努めること。この場合においては、高年齢者の雇用の安定及び円滑なキャリア形成を図るとともに、企業における人事管理の効率性を確保する観点も踏まえつつ、就業生活の早い段階からの選択が可能となるよう勤務形態等の選択に関する制度の整備を行うこと。
⑺ 事業主が導入した高年齢者就業確保措置(定年の引上げ及び定年の定めの廃止を除く。)の利用を希望する者の割合が低い場合には、労働者のニーズや意識を分析し、制度の見直しを検討すること。(続)