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【連載】檀家とは?~その1《檀家制度の成り立ちと現在地》

若松慶隆

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「檀家とは何?」と問われると皆さんどう思われるでしょうか。
おそらく多くの方が「葬儀や法事で(継続的に)お世話になっているお寺」のように想像されると思います。逆にお寺の側も「(継続的に)葬儀や法事を勤めているお家」のように認識している住職さんが多いと思います。
辞書的には「特定の寺院に所属し、葬儀や法要などの仏事を営んでもらう代わりに、経済的な支援(お布施など)を行う家のこと」と出ていますが、「何を以て所属とみなすのか」など、定義は非常にあいまいで、幅広く解釈ができます。
「うちは檀家なんですか?」という相談もあります。
法的な定義も無いのが現状です。
ほとんどは「我が家はこのお寺さんの檀家だと思っている」「このお家は我が寺の檀家さんだと思っている」その両立した信頼関係で成り立っています。

だからこそお互いの認識のズレによるトラブルが起こりやすいし増えていると感じます。
近年露出が増えている「墓じまいにおける離檀トラブル報道」も無関係ではないと私は見ています。
寺檀関係(じだんかんけい:お寺と檀家さんの関係)の実態や、起きている問題点、トラブルを防ぐためにはどうすればよいか、などを一住職目線で深掘ってまいります。
文量が多くなるため、回を分けます。次回は来週土曜日朝(目標)としますので、ぜひご興味のある方はご覧ください。

➀檀家制度の発端と現状
➁檀家制度の名残が色濃い理由
③法的に寺檀関係が成立するケース
➃実際の寺檀関係例
⑤~⑧は次回


➀檀家制度の発端と現状
まず踏まえていただきたい歴史の話からです。
「寺請け制度(檀家制度)」について。
江戸時代(1634年)、キリスト教の取り締まりや住民管理の目的で、全世帯がいずれかのお寺に所属することを幕府政策として義務付けられました。
「A地区の家はX寺の檀家、B地区の家はY寺の檀家」いうふうになったのです。これが寺請け制度です。
しかし明治維新(1871年)の一環でこの制度は解かれました。
つまり、この時点で檀家の出入り転檀も、他宗教への入信も(制度上は)自由になったのです。
そこから150年以上経った今どうなっているかと言いますと…
岡山県東備地域でA地区土着のお家に限って言えば、私の肌感覚で「9割方はX寺の檀家」で続いています。
もちろん地域差はあると思いますが、この実態を指して「檀家制度は今も続いている」という論と、「檀家制度の名残は色濃く残っている」という論があります(私はどちらかというと後者寄りです)。
厳密な「寺請け制度」と「檀家制度」の違いは、江戸時代に幕府政策としてなされたのが寺請け制度なのに対し、檀家制度はその前後の時代を含めた広義的な言葉です。


➁檀家制度の名残が色濃い理由
・このお寺を心から信仰している
・先祖代々の繋がりを大切にしたい
など、積極的な理由だけでなく、
・他に替わる理由が特に無い
・特に宗教に拘りが無い
などのような方も居られると感じます。
そして大きいと思うのが「葬送と共同体」の関係です。
30年ほど前まではご近所同士手伝っての自宅葬がされていましたし、15年ほど前まではご近所の方も参列される一般葬が主流でした。また地区での○○講もありました。X寺の檀家でなければ「何かあったの?」と思われる風潮も少なからずあり、替わりたくても替わりづらい同調圧力が存在したのも事実かと思います。
そう考えると現在の自由度は格段に上がってきていると言えます。
が、それでも色濃く続いているのです。
「坊主は檀家制度の上に胡坐をかいている」という揶揄と「これだけ長く関係が続いてきた尊さ」は表裏一体だと思っています。
代々お世話になってきた檀家さんに囲まれている環境の私としては、檀家寺の良さもいっぱいあると感じるし、せっかく長く続いてきたなら大切にすればいい、わざわざ壊す理由もないと考えております。

③法的に寺檀関係が成立するケース
冒頭で「寺檀関係に法的根拠は無い」旨を申し上げましたが、「法的根拠のある寺檀関係」も一部には存在します。

・檀家限定の寺院墓地にお墓を持っている
この場合「墓所有者=檀家」と明確です。
ですのでここにお墓を持つにはそのお寺の檀家である必要があります。
問題はその逆で離檀を伴う墓じまいをする場合です。
離檀(檀家を離れる)ということは、お墓を撤去しなければなりません。
お墓を弄うには墓地の管理主である住職の許諾を得る必要があります。
(これを指して『墓質(はかじち)』なる言葉もあります)
そこで出て来るのが「離檀料」などの離檀トラブルです。
この件については思うことがたくさんあるので、別途詳しくお話します。

・入檀申込書と離檀申込書があるお寺
これは後から新しく建立されたお寺に限られますが、一部にあります。
入るも抜けるもはっきりしています。
「どのお寺もそれをやればいいのでは?」という声が聞こえてきそうですが、一旦ゼロベースで既存の檀家さんに意思確認を取っていくのは現実的に難しいです。

➃実際の寺檀関係例
前述のようなお寺は極一部に限られますが、「何を以て『所属』とみなすか」継続的な葬儀法事の関係以外にいくつかの指標はあります。
・年会費
燈明料(とうみょうりょう)、初穂料(はつほりょう)、護寺費(ごじひ)、など呼称は様々ありますが、年会費を集めているお寺ならお互いに関係性を認識できるものにはなります。
・棚経(たなぎょう)
棚経とはお盆に掛けて各檀家さん宅を一軒一軒お参りする行事です。
これも毎年のことですから、お互いの関係性を認識できるものです。
ただし、物理的にお参り不可能な遠方の方の存在、そして地域内でも「辞退」される方は一定数あるので、檀家と認識されているか否かは微妙です。

【次回予告】
ここまでは「檀家とは何か」その歴史と現状を整理してきました。
しかし近年は「檀家になりたくない」「お寺とは距離を置きたい」などネガティブに用いられることが多くなりました。
なぜ檀家アレルギーが高まり、離檀トラブルが起きるのか。
次回はその背景について深掘りしてまいります。
1週間後の更新目標です。

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若松慶隆
専門家

若松慶隆(住職)

朝日寺

元銀行員という異色の経歴を持つ住職。多様な価値観でそれぞれの家庭事情に真摯に向き合い葬式や法事などを執り行う。寺の歴史や伝統行事などをHPやSNSで情報発信し、檀家外の人も集う開かれた寺を目指す。

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