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お彼岸は、自分の心を見つめる時間 ― 六つの修行「六波羅蜜」

山本無著

山本無著

テーマ:暮らしに寄り添う仏教

秋のお彼岸を迎えました。

「お彼岸」と聞くと、お墓参りをして、ご先祖さまや亡き大切な方に手を合わせる日、と思われる方が多いのではないでしょうか。

もちろん、亡き方を偲び、感謝の気持ちを込めて手を合わせることは、お彼岸の大切な過ごし方です。

でも、お彼岸にはもう一つ、私たち自身にとって大切な意味があります。

それは、自分の心や、日々の生き方を見つめ直すことです。

「彼岸」と「此岸」


「彼岸」とは、文字通り「彼(か)の岸」、向こう岸という意味です。

仏教では、私たちが生きている迷いや煩悩の世界を「此岸(しがん)」、迷いを超えた悟りの世界を「彼岸」と表します。

川のこちら側から、向こう岸へ渡っていく。

そのための実践として説かれているのが、**「六波羅蜜(ろくはらみつ)」**という六つの修行です。

「修行」と聞くと、なんだか難しそうですね。

けれども、私たちの日々の暮らしに置き換えてみると、意外と身近なことばかりです。

暮らしの中でできる「六波羅蜜」(ろくはらみつ

)


① 布施(ふせ)― 誰かに何かをプレゼント
物だけではありません。笑顔ややさしい言葉、ちょっとした親切も。見返りを求めず、誰かに喜びを届けてみましょう。

② 持戒(じかい)― 自分の生活をちょっと見直す
自分の言葉や行いを振り返り、「今日の私はどうだったかな」と考えてみましょう。

③ 忍辱(にんにく)― 腹が立ったら、ひと呼吸
感情のまま言葉をぶつける前に、ほんの少し立ち止まってみる。それも修行です。

④ 精進(しょうじん)― もうちょっとだけ頑張ってみる
大きなことでなくても大丈夫。今日できることを、少しずつ続けてみましょう。

⑤ 禅定(ぜんじょう)― 心を静かにしてみる
慌ただしい毎日の中で、ほんの少し立ち止まり、呼吸を整えて、自分の心を見つめてみましょう。

⑥ 智慧(ちえ)― 思い込みを離れて見てみる
自分の物差しだけで決めつけず、相手の立場にも心を寄せ、慈しみのまなざしで見つめてみましょう。

こうしてみると、六波羅蜜は決して遠い世界の修行ではありませんね。

全部できなくてもいいのです。

「今日は一つ、やってみようかな」

それくらいから始めてみるのもよいのではないでしょうか。

お墓参りのあとに、もう一度自分の心へ


お彼岸には、お墓やお寺へお参りし、亡き大切な方へ手を合わせます。

「どうぞ安らかに」
「いつも見守ってくれてありがとう」

そんな思いを届けたあと、今度はほんの少しだけ、自分自身にも問いかけてみてはいかがでしょう。

「私は今、どんな心で毎日を生きているだろう」

亡き人を偲ぶことは、今を生きる私たちが、自分の生き方を見つめ直すことにもつながっていきます。

お墓参りをすることも大切。
そして、自分の心を見つめることも、お彼岸の大切な過ごし方です。

彼岸へ向かう道は、特別なところにだけあるのではなく、毎日の小さな行いの中にあるのかもしれません。

この秋のお彼岸。

亡き大切な方に手を合わせるとともに、自分の心にも静かに向き合ってみませんか。

そして六つ全部ではなくても、まずは一つ。

今日できる小さな「六波羅蜜」を、暮らしの中で。

合掌

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山本無著
専門家

山本無著(僧侶・仏教カウンセラー)

正雲寺大分別院

人も動物も分け隔てなく、尊い命として見送る「ペットの家族葬」。仏教の葬送儀礼を通して、ご家族の悲しみに寄り添います。生きるための仏教を伝え、誰もが気軽に訪れ、心を休められるお寺づくりを続けています。

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