お彼岸とは? ― 亡き人を想い、自分の生き方を見つめる時間 ―
秋のお彼岸を迎えました。
「お彼岸」と聞くと、お墓参りをして、ご先祖さまや亡き大切な方に手を合わせる日、と思われる方が多いのではないでしょうか。
もちろん、亡き方を偲び、感謝の気持ちを込めて手を合わせることは、お彼岸の大切な過ごし方です。
でも、お彼岸にはもう一つ、私たち自身にとって大切な意味があります。
それは、自分の心や、日々の生き方を見つめ直すことです。
「彼岸」と「此岸」
「彼岸」とは、文字通り「彼(か)の岸」、向こう岸という意味です。
仏教では、私たちが生きている迷いや煩悩の世界を「此岸(しがん)」、迷いを超えた悟りの世界を「彼岸」と表します。
川のこちら側から、向こう岸へ渡っていく。
そのための実践として説かれているのが、**「六波羅蜜(ろくはらみつ)」**という六つの修行です。
「修行」と聞くと、なんだか難しそうですね。
けれども、私たちの日々の暮らしに置き換えてみると、意外と身近なことばかりです。
暮らしの中でできる「六波羅蜜」(ろくはらみつ

)
① 布施(ふせ)― 誰かに何かをプレゼント
物だけではありません。笑顔ややさしい言葉、ちょっとした親切も。見返りを求めず、誰かに喜びを届けてみましょう。
② 持戒(じかい)― 自分の生活をちょっと見直す
自分の言葉や行いを振り返り、「今日の私はどうだったかな」と考えてみましょう。
③ 忍辱(にんにく)― 腹が立ったら、ひと呼吸
感情のまま言葉をぶつける前に、ほんの少し立ち止まってみる。それも修行です。
④ 精進(しょうじん)― もうちょっとだけ頑張ってみる
大きなことでなくても大丈夫。今日できることを、少しずつ続けてみましょう。
⑤ 禅定(ぜんじょう)― 心を静かにしてみる
慌ただしい毎日の中で、ほんの少し立ち止まり、呼吸を整えて、自分の心を見つめてみましょう。
⑥ 智慧(ちえ)― 思い込みを離れて見てみる
自分の物差しだけで決めつけず、相手の立場にも心を寄せ、慈しみのまなざしで見つめてみましょう。
こうしてみると、六波羅蜜は決して遠い世界の修行ではありませんね。
全部できなくてもいいのです。
「今日は一つ、やってみようかな」
それくらいから始めてみるのもよいのではないでしょうか。
お墓参りのあとに、もう一度自分の心へ
お彼岸には、お墓やお寺へお参りし、亡き大切な方へ手を合わせます。
「どうぞ安らかに」
「いつも見守ってくれてありがとう」
そんな思いを届けたあと、今度はほんの少しだけ、自分自身にも問いかけてみてはいかがでしょう。
「私は今、どんな心で毎日を生きているだろう」
亡き人を偲ぶことは、今を生きる私たちが、自分の生き方を見つめ直すことにもつながっていきます。
お墓参りをすることも大切。
そして、自分の心を見つめることも、お彼岸の大切な過ごし方です。
彼岸へ向かう道は、特別なところにだけあるのではなく、毎日の小さな行いの中にあるのかもしれません。
この秋のお彼岸。
亡き大切な方に手を合わせるとともに、自分の心にも静かに向き合ってみませんか。
そして六つ全部ではなくても、まずは一つ。
今日できる小さな「六波羅蜜」を、暮らしの中で。
合掌


