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人も動物も、生きる喜びも別れの悲しみも、分け隔てなく寄り添い続ける「みんなのお寺」

人も動物も分け隔てなく寄り添う心の支えのプロ

山本無著

山本無著 やまもとむじゃく
山本無著 やまもとむじゃく

#chapter1

由布岳を望む純白の本堂。人にもペットにもやさしい「みんなのお寺」

 季節ごとの花々に包まれる「正雲寺大分別院」。由布岳を正面に望む境内に佇むのは、純白の姿が清々しい本堂。法要だけではなく、日常の中で気軽に立ち寄れる学びや集いの場としても親しまれています。境内を囲む桜は、愛犬の供養でお参りした男の子が「優しい色だね」と話してくれたことから、「やさしい桜」と呼んでいます。

 「命の尊厳に大小はありません。仏教には全ての命をかけがえのない存在として尊ぶという考えがあります。人生の節目ごとに喜びや苦しみを共にしたペットも大切な家族。旅立ちの時にはその命とご家族に寄り添いたいと考えています」

 そう話すのは、女性住職の山本無著さん。人も動物も分け隔てなく、一つの尊い命として寄り添うという思いを大切に、人の供養だけでなく、ペットの葬儀や納骨、永代供養もお勤めしています。

 「人と同じように仏教の葬送儀礼を大切にし、本堂とつながる『合掌庵』で火葬し、ご家族とともに見送ります。一つ一つの儀式を通して、『ありがとう』を伝えられる穏やかな時間を過ごせるよう、心を込めて供養します」

 また、写経会やヨガ、お香講座、犬猫健康祈願会などを通して人と人、人と動物とのご縁を育み、地域に開かれた身近なお寺づくりを続けています。
 
 仏教カウンセラーでもある山本さんは、市内のカフェで、「女性の悩み相談会」を開催。参加者一人一人の心の痛みに耳を傾けています。僧侶としてだけでなく、一人の女性、母親として自然体で語られる言葉と穏やかな眼差しが、多くの女性の心に寄り添っています。

#chapter2

家族全員で亡き子へ語りかける時間を、悲しみから感謝の温もりへと導く「ペットの家族葬」

 里山にあったお寺の再興を決めたのは、当時、本山・正雲寺の住職だった父でした。由布岳の眺望に魅せられ、本山の僧侶たちと力を合わせて修繕を重ね、寺院としての姿を整えていきました。
 「私も、由布岳の景色に心を奪われました。『この景色なら、人の心に寄り添えるお寺になる』。そう感じたことが、大分での歩みの原点です」と山本さん。入山後は、季節の花々を植え、人にもペットにもやさしい、よき出会いと安らぎの場となるよう、一歩ずつ育ててきました。

 2013年の別院開山とともに副住職となり、2015年住職に就任。
 
 「子どもの頃から、ずっと愛犬と一緒に過ごしてきました。大分へ来てから出会ったのが、北部保健所で殺処分直前だったシャンティ。長年看板犬として親しまれ、初めての土地での私の暮らしを支え、いつも私のそばで正雲寺の歩みを見守ってくれたかけがえのない存在でした」

 シャンティとの出会いへの恩返しとして、大分県の動物愛護推進委員を務め、ペットを亡くしたご家族から、寄せられたペットのフードやシーツを愛護センターに届ける活動も続けています。

 「当院では、ただ火葬を行うのではなく、共に生きてきたペットの姿を心に刻み、亡き命に感謝の思いを届ける『ペットの家族葬』をお勤めしています。ご家族全員にお立合いいただき、一つ一つの儀式の意味をお伝えしながら供養しています。亡き子へ語りかける時間が、ご家族の心を少しずつ解きほぐし、悲しみの中から『ありがとう』を贈る時間となればと願っています」

山本無著 やまもとむじゃく

#chapter3

一人一人の顔が見える小さなお寺だからこそ、できることを大切に。命をつなぎ、人をつなぐ場に

 「特別な儀式の時だけでなく、日々の暮らしのなかで、寄り添える場でありたい」と話す山本さんが、当初から始めていたのが写経会です。「参加者の声を大切にしたい」と要望に応えるうちに、現在は幅広い年代の人々が参加し、毎月延べ60人から70人がそれぞれの都合のよい開催日に足を運ぶそうです。
 
 「まず呼吸と姿勢を調え、静かに自分の心と向き合う時間を大切にしています。また、日々の暮らしに寄り添う法話もお話しし、お茶やお弁当を囲みながら交流する時間も。各地から訪れた皆さんが顔なじみになり、ご縁の輪が広がっています」

 心身を調える「ハタヨガ」や「お香講座」、ハスの花づくりを楽しむ「ハスワーク」なども開催。口コミやペット供養をきっかけに紡いだ縁から、地域活動でも境内を解放。「子ども食堂」などに取り組む団体と共に「子供のお寺体験」なども開催し、自然観察や自炊体験のほか、子どもにも分かりやすい法話を通して、命の大切さを伝えています。

 「どんなご縁からでも構いません。自然に人が集い、『ほっとする』『また来たい』と思っていただける、よき出会いと安らぎの場でありたい。一人一人の顔が見える小さなお寺だからこそ、寄り添いを大切にしながら、人にも、動物にも、地域にも、変わらぬ思いで向き合い続けるお寺でありたいと思っています」

(取材年月:2026年7月)

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山本無著

人も動物も分け隔てなく寄り添う心の支えのプロ

山本無著プロ

僧侶・仏教カウンセラー

正雲寺大分別院

人も動物も分け隔てなく、尊い命として見送る「ペットの家族葬」。仏教の葬送儀礼を通して、ご家族の悲しみに寄り添います。生きるための仏教を伝え、誰もが気軽に訪れ、心を休められるお寺づくりを続けています。

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