障害年金の請求にあたっての必要書類、入手方法
「2級に認定されると思っていたのに3級だった」あるいは「不支給通知が来てしまった」。
障害年金の請求を行ったものの、思い通りの結果にならないこともあります。不支給になったときの請求者の絶望感や落胆は計り知れません。
複雑きわまる障害年金の制度と向き合い、病院や市役所に通って多くの書類を揃え、やっと手続きを終えたところに不支給という結果を突きつけられたら、この先どうすれば良いのかという不安に襲われるのは当然のことです。
しかし、ここで諦めないでください。
不支給決定の通知の文章の中にも、不服があるときは審査請求できる旨が記載されており、納得ができない方の多くは審査請求に向けて動き出します。「自分だけではこれ以上は無理だ」と思ったら、社会保険労務士を頼ってください。気持ちを切り替えて、もう一度前向きに受給に向けて努力しましょう。
申請内容を判定するのは?
審査を行う場所は、以前は年金の制度によって異なっており、国民年金の請求については、各都道府県にある日本年金機構の事務センターで、厚生年金の場合は、日本年金機構の本部で認定されていました。
しかし、認定の運用上、地域ごとに格差が生じており、不公平な結果が多くあったことを受けて、平成29年4月から東京に障害年金センターという部署が設置され、一括で審査されることとなります。
不服申し立ての一審目は審査請求
障害年金についての不服申し立ては二審制となっており、一審目が審査請求、二審目が再審査請求となっています。審査請求は各地域ごとに全国7か所にある地方厚生局に設置されている社会保険審査官に対して申し立てを行います。
審査請求の期限は、決定があったことを知った日の翌日から起算して3カ月以内となっており、この期限を過ぎると請求ができなくなりますので注意が必要です。
社会保険審査官は、不服の内容について判断した結果を、「容認」(請求を認める)、「棄却」(審査の結果、申し立てを退ける)、「却下」(内容を審査しない)として、決定書という形で不服を申し立てた人に通知します。
二審目は再審査請求
審査請求で社会保険審査官が下した決定にも不服がある場合は、社会保険審査会(厚生労働省)へ再審査請求をすることができます。期限は「決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2カ月以内」とされています。
審査請求の審査官は一人ですが、再審査請求は3名による合議制で審査をしていますので、より公平な審査が期待できます。また「公開審理」の場で直接主張を申し述べる機会もあります。
不服申し立てのポイント
障害年金の対象となるかどうかは、「国民年金・厚生年金保険・障害認定基準」をもとに判断されます。その内容は日本年金機構のホームページでも公開されています。
請求段階で提出した書類の内容が認定基準と照らし合せて、それに該当しない程度であるならば、不服を申し立てても認められる可能性は低いです。
この場合は審査請求ではなく、請求を一からやり直し、適切な書類を提出することも選択肢のひとつとなります。
認定基準を上回る障害の状態であるならば、その根拠を申し立てて、言い分を認めてもらうことになります。
審査請求書の「趣旨および理由」の欄は、自由に記載できるようになっています。書くことが多くおさまらない場合は、別紙に書くこともできます。医師に意見書を書いてもらったり、資料を用いたりすることも可能です。
自分の障害の状態が、障害等級に該当しているということを客観的に主張しなければなりません。ここで経済的に困窮しているから助けてほしいというような、認定基準と関係ないことを書いても効果はありません。
困ったときは社会福祉労務士に相談を
社会保険労務士は、労働法や社会保険の手続きをサポートすることができる国家資格です。
社会保険労務士の中には人事・労務管理を専門とする人や、助成金申請のスペシャリストなど、それぞれ得意とする分野がありますが、障害年金を専門にしている社会保険労務士も全国にたくさんいます。
年金機構の審査も年々厳しくなっている傾向にあります。審査請求、再審査請求の全体数に対して、不服申し立てが認められることは、決して多くありません。
審査委員も根拠があって決定を行っているので、一度出た結果を覆すのは難しいことです。
一方で社会保険労務士が代理人となり、内容を見極めた上で不服申し立てをするケースでは、認められる割合も高くなると思われます。障害等級が思ったよりも軽く認定されていたり、不支給の決定があったりした場合、どこに問題があるのかを把握し、対策を練ったうえで不服申し立てを行うからです。困ったときはぜひ社会保険労務士にご相談ください。