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飯塚泰雄

障害年金請求で、経済的・精神的に負担を軽減するプロ

飯塚泰雄(いいづかやすお) / 社会保険労務士

社会保険労務士事務所 SRI

コラム

障害年金は打ち切りも!支給停止になったらどうすればよい?

2017年3月17日

テーマ:障害年金

コラムカテゴリ:お金・保険

コラムキーワード: 障害年金 条件障害年金 金額障害年金 申請

障害年金は、一度認定を受けるとそのままずっと支給されるのでしょうか?

いいえ、そうとは限りません。

障害年金は、障害の状態が続いている限り受給できますが、障害の状態は変動するものですので、定期的に診断書を提出し、更新の手続きを行う必要があります。

しかし、この時に提出する診断書の内容次第では、障害の状態が続いているのに打ち切りになるケースもあります。今まで受給していた方にとっては、経済基盤を失う深刻な問題です。

そんな時の対処法を今回はお伝えいたします。

有期認定と永久認定

受給期間については「有期認定」と「永久認定」があります。

足の切断や失明など、病状が固定し今後も症状が変わらないと判断されると、永久認定されることがあります。この場合、更新の手続きをしなくてもそのまま受給することができます。

一方、内部疾患や精神疾患については、状態が変化する可能性があるため、一定期間ごとに障害状態の確認を行う「有期認定」となります。

有期認定の場合は、更新の時点で医師の診断書を提出することになっています。

年金証書が届いたら「次回診断書提出年月」を確認してください。短いもので1年から長くて5年で更新時期がやってきます。更新時に提出する診断書は「障害状態確認届」といい、更新前に日本年金機構から用紙が送られてきます。現在の障害状態について、医師に記載をしてもらい提出するようになります。

有期認定で認められた期間は、原則、年金を受給することができますが、更新時の診断書によって障害が軽くなり、現在の等級に該当しないと判断されると支給停止となるか、もしくは下位等級に減額改訂(級落ち)されることがあります。

更新は医師の診断書で判断

更新時に必要なのは原則として、この診断書だけですので、医師にしっかりと記載してもらう必要があります。

本当に症状が軽快しているのであれば良いのですが、実際の障害状態は変わらないのに、診断書が症状に見合わない内容となったために支給停止になることもあります。

請求の時に出した診断書のコピーと照らし合せ、現在の状況を正確に書いてもらうようにしましょう。また、提出期限内に出すことも忘れないでください。

支給停止になっても権利を失うわけではない

更新手続きによって等級に変化があった場合は「支給額変更通知書」が届きます。これには変更になる時期、変更後の金額、その理由などが記載されています。また等級が下がることによって支給停止となることもあります。

一度支給停止されると、二度と障害年金を受給できないと誤解されている方がいらっしゃいますが、そんなことはありません。

支給停止されたとしても、受給する権利を失ってしまうわけではありません。停止となるだけで、再び障害が悪化して等級に該当するようになれば「障害給付支給停止事由消滅届」を提出することによって、いつでも支給再開の請求を行うことができます。

ただ、最初の請求と同様、自分のほうから診断書を添えて届出る必要があります。

また、「障害給付支給停止事由消滅届」を出す時は、支給停止処分についての審査請求、再審査請求を並行して行うことが多いです。
再審査請求に行くまでに、支給停止事由消滅届が認められて支給が再開されることもあります。

級落ちと支給停止の違い

有期認定の障害年金を受給している場合、更新時は支給停止や級落ちするのではないかと不安になるものです。

なお、支給停止と級落ちは違います。

有期認定の更新において、障害が軽くなったと判断されると、下位の等級に減額改訂され、その結果支給停止となる場合があります。提出期限日の属する月の翌月から数えて4カ月目の支給分から、減額または停止されます。

たとえば障害基礎年金の2級に該当していた方が3級になると、障害基礎年金は3級には支給されませんので支給停止となり、「支給停止事由消滅届」を出すことができます。

これに対して、障害厚生年金2級を受給していて3級になったときや、障害基礎年金1級を受給していて2級になった時など減額される場合が級落ちです。
級落ちは支給停止されないので、支給停止事由消滅届を提出することができません。
それではどんな方法があるでしょうか。

級落ちした場合の対処法

対処法のひとつとして「額改定の請求」があります。

同じ傷病が悪化して認定基準の上位の等級に該当するようになった場合に行う、等級を上げてほしいという請求です。

しかし、更新で級落ちした場合、この請求ができるのは1年後となります。また額改定の請求を行った結果、それが認められなかった場合もまた、1年待たなければ額改定の請求はできません。

ですから、すぐにとれる手段は等級変更の処分に対する審査請求のみとなります。
これも再審査請求まで行くと1年ほどかかります。
これが級落ちと支給停止の大きな違いです。
このようなことにならないように、更新時においても慎重に手続きすることが大切です。

この記事を書いたプロ

飯塚泰雄

障害年金請求で、経済的・精神的に負担を軽減するプロ

飯塚泰雄(社会保険労務士事務所 SRI)

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