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飯塚泰雄

障害年金請求で、経済的・精神的に負担を軽減するプロ

飯塚泰雄(いいづかやすお) / 社会保険労務士

社会保険労務士事務所 SRI

コラム

障害年金受給額の目安は職業や等級ごとに大きく異なる

2017年3月6日

テーマ:障害年金

コラムカテゴリ:お金・保険

コラムキーワード: 障害年金 条件障害年金 申請

障害年金の請求が通った場合、いくらもらえることになるのでしょう。

障害基礎年金と障害厚生年金、どちらがもらえるのかは、その障害の原因となった傷病の初診日に、どの制度に加入していたかによって決まります。

さらに配偶者の有無や収入、子どもの人数や年齢なども関係してきます。今回は、障害年金の受給額について見て行きます。

なお、金額は平成28年度のものです。年度によって異なりますので、正しい金額は日本年金機構のホームページでご確認ください。

障害の程度は3段階に分けられる

障害の程度は1級~3級に分けられており、認定されると、その等級で計算された年金を受け取ることができます。

支払いは2カ月ごとに分けて行われ、原則、障害の状態にある間は受給できることになっています。

障害基礎年金には1級と2級があり、障害厚生年金には1級、2級、3級があります。各等級の障害はおおむね次のような基準となります。

【1級】
他人の介助がなければ、ほとんど生活ができない状態。身の回りのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできない。活動はベッド周辺のみ。

【2級】
必ずしも介助は必要としないが、日常生活に著しい制限があり、労働で収入を得ることができない状態。家庭内での軽微な作業はできるが、それ以上は無理な状態。

【3級】
労働に著しい制限が加わる状態。労働時間や仕事内容に制限がかかるもの。

なお、この等級は障害年金の基準によるもので、身体障害者手帳や精神障害者保険福祉手帳の等級とは基準が異なり、連動するものではありません。

国民年金(障害基礎年金)の場合の支給額

日本の公的年金制度は2階建ての構造になっており、障害年金では1階部分が国民年金(基礎年金)の1級、2級で、2階部分が厚生年金の1級~3級となっています。初診日において国民年金に加入していた人は障害基礎年金が支給対象となります。自営業者などの第1号被保険者や、専業主婦などの第3号被保険者が該当し、金額は次の通りです。

1級・・・975,125円
2級・・・780,100円  

2級の支給額は老齢基礎年金の満額と同じで、1級はその1.25倍となっています。
また、これには「子の加算」があり、生計維持関係にある18歳年度末までの子、または一定の障害を持った20歳未満の子がある場合には次の金額が加算されます。

一人目及び二人目・・・各224,500円
三人目以降・・・74,800円

では、障害基礎年金2級で18歳以下のお子さんが二人の場合、どのくらいの支給額になるかを見てみましょう。

基本額780,100円+子の加算224,500円×2=1,229,100円=となります。

以上のように、障害等級と子の加算で支給額が決まります。

障害厚生年金の場合の支給額

次に会社員や公務員など、第2号被保険者の時に初診日がある場合です。

障害基礎年金は、支給額は一律ですが、厚生年金は報酬比例となっています。報酬比例とは、加入月数や給料が多いほど、受け取る年金も多くなるという仕組みなので、人によって支給額が変わります。

障害等級が1級か2級であれば、障害基礎年金に加えて2階部分にあたる報酬比例の年金が支給され、さらに65歳未満の配偶者がいる場合、1級と2級の障害厚生年金には、「配偶者加給年金」が加算されます。

加給年金額は224,500円です。また3級の障害厚生年金には加給年金はなく、障害基礎年金も加算されませんが、最低保証金額があり、被保険者期間が300月に満たない場合も300月で計算されます。金額は580,100円となっています。

まとめると次の通りになります。
 
【1級】
(報酬比例の年金額) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(224,500円)〕※対象者のみ

【2級】
(報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額(224,500円)〕※対象者のみ

【3級】
(報酬比例の年金額) ※最低保障額 580,100円

※1級2級は障害基礎年金も加算

以上のように、厚生年金は報酬比例部分があるので国民年金よりも計算が複雑です。

報酬比例の年金額を決定するものは、障害認定日までの給料の水準と、厚生年金の加入月数です。

正確な金額は一人一人計算してみないとわかりませんが、厚生労働省の「障害等級別障害年金受給者状況」(平成25年度)では、厚生年金の平均年金月額は1級で月額16万円ほど、2級で12万円ほど、3級で約6万円ほどという結果が見られます。

一例として、厚生年金2級で、配偶者の加給年金があり、子の加算が二人、報酬比例の金額が68万円だったとすると、

年金額は、
障害厚生年金報酬比例680,000+配偶者加給年金224,500+障害基礎年金780100+子の加算224,500×2で年額が2,133,600円となります。

ねんきん定期便などで年金状況がわかるようになっていますので、気になる方は一度確認されることをおすすめします。

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