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飯塚泰雄

障害年金請求で、経済的・精神的に負担を軽減するプロ

飯塚泰雄(いいづかやすお) / 社会保険労務士

社会保険労務士事務所 SRI

コラム

障害年金請求のための診断書を医師に作成してもらう際の注意点

2017年3月10日

テーマ:障害年金

コラムカテゴリ:お金・保険

コラムキーワード: 障害年金 条件障害年金 金額障害年金 申請

障害年金を請求するときの診断書は、受給の可否や障害等級の決定に影響する大切な書類です。

作成に当たっては自分の障害に合った診断書を選ぶこと、また、日常生活における諸々の支障を、主治医に理解してもらったうえで、作成してもらうことがポイントです。

診断書の種類は8種類

診断書は障害の状態を正確に判断できるよう、部位によって次の8種類に分かれています。この中から病状に合った適切な診断書を選ぶのがポイントとなります。

(1)眼の障害用(様式第120号の1)

(2)聴覚、鼻腔機能、平衡感覚、そしゃく、嚥下機能、音声または言語機能の障害用(様式第120号の2)

(3)肢体の障害用(様式第120号の3)

(4)精神の障害用(様式第120号の4)

(5)呼吸器疾患の障害用(様式第120号の5)

(6)循環器疾患の障害用(様式第120号の6-(1))

(7)腎疾患、肝疾患、糖尿病の障害用(様式第120号の6-(2))

(8)血液、造血器、その他の障害用(様式第120号の7)

たとえば糖尿病の方なら(7)の診断書ですが、合併症による神経障害から歩行困難となっている場合は(3)の診断書を用います。

脳出血や脳梗塞といった脳血管障害で、障害の表れている部位が言語障害ならば(2)、手足の麻痺ならば(3)、その両方なら(2)+(3)の2枚が必要です。

このように日常生活を送るのに、一番困難な症状が出ている部位の診断書を選びます。診断書は複数になる場合もあります。

請求の種類で診断書の枚数が変わる

障害年金は、請求の方法によって必要となる診断書の枚数が異なります。それは次の通りです。

〇認定日請求(本来請求)
障害認定日による請求をする場合は、障害認定日(初診日から1年6カ月を経過した日)以降3カ月以内の診断書が1枚必要となります。
この場合、障害認定日から1年以内に請求する必要があります。ただし、障害認定日前に症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った場合、その日が障害認定日となります。


〇認定日請求(遡及請求)
なんらかの事情で、障害認定日から1年を経過して請求する場合は、障害認定日以降3カ月以内の診断書と請求日以前3カ月以内の診断書の計2枚が必要となります。


〇事後重症請求
障害認定日における障害の程度が、障害等級に該当しなかった場合で、後で重くなって障害等級に該当することがあります。
この場合は年金請求日以前3カ月以内の診断書が1枚必要です。


〇初めて2級による請求
既存の障害と後発の障害(基準障害)を合わせて、初めて2級以上の障害に該当する「初めて2級」による請求では、前発障害と基準障害について請求日以前3カ月以内の診断書が各1枚必要です。

書類審査における診断書の重要性

障害年金を請求する際に添付する医師の診断書は、障害の状態を判断するうえで、もっとも重要な資料といえます。

通常、医師の作成する診断書は、病名や症状について、医学的知見のみによって記載されるものですが、障害年金請求の診断書は事情が違います。

この場合の診断書は、治療のための医学的な診断書ではなく、生活に必要な所得保障のための「社会医学的な診断書」という性格を持っています。

したがって、請求者の日常生活がどのくらい困難で、どのような支障があるかが伝わらなくてはいけません。
しかし、その病気が請求者の日常生活や労働にどのように影響しているか、主治医は知る由もありません。

そのため、用紙を渡して依頼するだけでは、障害の状態が正確に書面にならない可能性があります。
主治医には日常の支障について、あらかじめ話しておいたり、紙に書いて渡したり、家族や支援者が診察に同席するなどして、細かい情報を伝えたうえで診断書を作成してもらうことが重要です。

医師が判定基準を理解していない場合のトラブル事例

医師の中には障害年金制度そのものの知識が少なかったり、診断書の作成経験が少ないというケースも少なくありません。

それゆえ、医師に診断書の作成を依頼する時、何も伝えずに渡してしまうと、障害の状態が伝わらず、不支給となってしまうケースもあります。

ひとつの事例を紹介すると、診断書は「単身で生活することを前提」に作成すべきところ、そのことを医師が知らず、家族の介助のもとで生活している状態で作成されていたことがあります。

そのため、日常生活能力が現実よりも高く評価され、不支給となってしまったケースがあります。再度、医師に診断書の考え方を説明し、日常生活の支障を理解していただいた上で診断書を書きなおしてもらった結果、無事受給が決定しました。

以上のように、書かれた診断書が自分の状態を適正に表現されていない可能性もありますので、受け取った際には必ずチェックすることが必要です。また事前に綿密な打ち合わせをしたうえで、作成してもらうことも大切です。

さらに、一度請求してだめだった場合、再度請求するチャンスがあるということも覚えておいてください。

この記事を書いたプロ

飯塚泰雄

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飯塚泰雄(社会保険労務士事務所 SRI)

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