4月からの営業時間変更に込めた想い
日本人は、眠れていないことより、“眠れていない自分に気づいていない”ことの方が問題だと思っています。
「ちゃんと寝ていますよ」
そう話す方に、詳しく睡眠のことを聞いていくと、
夜中に何度も目が覚めている。
朝、すっきり起きられない。
休日は昼近くまで寝てしまう。
仕事中に強い眠気がある。
頭が重い。
肩や首がずっと緊張している。
家に帰ると何もする気が起きない。
そんな状態が続いていることがあります。
それでも本人は、
「仕事をしていたらこんなもの」
「年齢のせいだと思っていました」
「昔からだから気にしていませんでした」
と話します。
私は、睡眠に関わる仕事をする中で、何度もこの言葉を聞いてきました。
そして今、強く感じていることがあります。
日本人は、眠れていないこと以上に、“眠れていない自分に気づいていない”ことが大きな問題なのではないか。
睡眠は、あまりにも「当たり前」に存在している
私たちは、生まれたその日から眠っています。
毎日、特別な意識をしなくても夜になれば眠り、朝になれば起きる。
だからこそ、睡眠は食事や運動以上に「当たり前のもの」として扱われやすいのかもしれません。
お腹が痛ければ異変に気づきます。
熱が出れば体調不良だと分かります。
でも、睡眠不足は少し違います。
眠気。
疲労感。
集中力の低下。
イライラ。
頭の重さ。
朝のだるさ。
こうした変化があっても、
「忙しいから」
「最近疲れているだけ」
「みんな同じ」
と片づけてしまう。
身体からサインが出ていても、それを“異常”ではなく“日常”として受け入れてしまうのです。
「眠れている」と「休めている」は、同じではありません
睡眠時間だけを見れば、ある程度眠れている。
けれど、朝起きた時に回復した感じがない。
この状態は珍しくありません。
大切なのは、単に何時間ベッドにいたかだけではなく、
その睡眠によって、心と身体がきちんと回復できているか。
という視点です。
睡眠には、身体の休養だけではなく、脳の情報整理や記憶の定着、感情の調整、免疫機能の維持など、私たちが日中を健やかに過ごすための重要な役割があります。
だからこそ、
「倒れていないから大丈夫」
「仕事には行けているから問題ない」
という判断だけでは、本当の睡眠状態は見えません。
頑張れる人ほど、気づくのが遅くなる
特に私が心配しているのは、真面目で責任感の強い人です。
多少眠れていなくても仕事に行く。
疲れていても家事をする。
周囲に迷惑をかけないように頑張る。
そして、頑張れてしまうからこそ、
「まだ大丈夫」
と思ってしまう。
でも身体は、必ずしも同じ判断をしているとは限りません。
無理をしている状態が長く続けば、少しずつ回復力が追いつかなくなっていきます。
私は、睡眠を考えることは「弱くなったから必要になるもの」ではなく、
頑張り続けるために、自分の状態を確認する習慣
だと考えています。
私がドライヘッドスパだけで終わらせたくない理由
睡眠サロン「くものうえ」では、ドライヘッドスパを提供しています。
ですが、私たちが目指しているのは、単に頭をほぐして「気持ちよかった」と感じていただくことだけではありません。
施術によって一度立ち止まり、
「最近、ちゃんと休めているだろうか」
「朝の状態はどうだろう」
「夜中に目が覚めていないだろうか」
「今の生活リズムは、自分に合っているだろうか」
と、自分の睡眠を振り返る時間をつくること。
そのために、睡眠カウンセリングも大切にしています。
私たちにとってドライヘッドスパは、目的そのものではありません。
自分の身体に意識を向けるための入口の一つです。
睡眠は、個人だけの問題ではない
現在、私たちは店舗だけでなく、企業で働く方々への睡眠支援にも取り組んでいます。
なぜなら、睡眠不足の影響は本人だけに留まらないからです。
仕事中の集中力。
判断力。
コミュニケーション。
ヒューマンエラー。
欠勤や離職。
心身の健康。
働く人の睡眠は、企業にとっても無関係ではありません。
だから私は、
「眠れなくなった人を支援する」
だけではなく、
睡眠は、個人だけの問題ではない
そう考えるようになりました。
「眠れる社会」より先に、「気づける社会」へ
睡眠について発信していると、
「どうすればよく眠れますか?」
と聞かれることがあります。
もちろん、眠るための環境や生活習慣を整えることは大切です。
でも、その前に必要なことがあります。
それは、
今の自分の眠りを知ること。
何時に寝ているのか。
何度目が覚めているのか。
朝どんな気分なのか。
昼間どれくらい眠いのか。
疲れは取れているのか。
まず、自分の現在地を知る。
そこから初めて、自分に合った眠り方を考えることができます。
私はこれから、
「眠れない人を減らす」だけではなく、
“自分の眠りに気づける人を増やす”
ことを大切にしていきたいと思っています。
睡眠は、人生の約3分の1を占めています。
けれど私は、それ以上に、
残りの3分の2をどう生きるかを支えている時間
だと思っています。
仕事をすること。
誰かを大切にすること。
笑うこと。
考えること。
挑戦すること。
そのすべての土台に、休養があります。
だからこそ、
「最近ちゃんと眠れていますか?」
ではなく、
一度こう問いかけてみてください。
「最近の私は、ちゃんと休めていますか?」
その小さな問いが、自分の身体から出ているサインに気づく最初の一歩になるかもしれません。
株式会社くものうえ
代表取締役 鷲野祐子
睡眠健康指導士上級
大分市内に本店、中津市に睡眠サロンくものうえ 中津ラウンジを運営。
法人向けに社員と企業の睡眠から基盤づくりのサービスを提供中。
睡眠サロンくものうえ
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
Zhou X, et al. Mismatch between subjective alertness and objective performance under sleep restriction is greatest during the biological night. Journal of Sleep Research, 2011.
Chronic sleep curtailment研究:慢性的な睡眠制限による注意・反応速度と主観的覚醒感の乖離に関する研究, 2018.
Exploring the impact of experimental sleep restriction and sleep deprivation on subjectively perceived sleep parameters. Journal of Sleep Research, 2018.
眠れなくなる前に、自分の状態に気づける仕組みを社会の中につくりたい。**


