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「自律神経」から考えるかんたん暑熱順化

西田英治

西田英治

テーマ:自律神経 熱中症 暑熱順化

6月も下旬に入り梅雨真っただ中ですが、今年は梅雨前線がなくなるなど真夏日と思えるような日もあり体調管理に困られている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回のコラムでは
家の中で過ごすことが多い
普段あまり運動しない
汗をかく習慣がない 
  などの方へ、夏の酷暑へむけての熱中症対策として

~「自律神経」から考えるかんたん暑熱順化~

 をわかりやすくお伝えしたいと思います。

まず、「自律神経」について少しご説明すると
自律神経とは、自分の意志とは関係なく体の働きを自動で調整してくれる神経です。
主に「交感神経」と「副交感神経」の2つからなり、交感神経は活動モード、つまり体を元気に動かすときに働きます。
一方、副交感神経はリラックスモードで、休息や回復、睡眠などに関わります。
たとえば、緊張して心臓がドキドキするときは交感神経、寝ているときに内臓を働かせるのは副交感神経の働きです。
この2つのバランスが整っていることで、私たちの心と体は健康に保たれています。

また、自律神経の特徴として、人のカラダの臓器や器官は「交感神経」と「副交感神経」の2重支配を受けています。
例えば、緊張した時にはドキドキと心拍数が上がりますよね?これは交感神経が強く働いたことによるもので、逆に食事中などリラックスした状態では心拍数も下がっている状態でこのときは副交感神経が働いている状態です。
ただ、この自律神経の2重支配が逆に暑熱順化の盲点にもなっています。
というのも、汗をかくための器官である“汗腺”は交感神経の単独支配なのです。
あなたの意思とは関係なく体温を調節する(体温を下げる)ために働く神経が交感神経だけというわけです。

そして、ここからが本日の本題です。
高齢の方で、ほとんど家の中で過ごしている方でも「熱中症」になるのはなぜ?と思ったことはありませんか?
先の交感神経の働きを思い出してください。日中の活動モードの時、体を動かして活動しているときに働くのが交感神経でした。
体を動かして体温が上がれば汗をかいて体温を下げるように自律神経(交感神経)も働くのですが、高齢の方で家の中であまり動かないでいると体を動かすことによる発熱もなく、体温上昇に伴う交感神経の反応(=汗をかくこと)も鈍っているのです。家の中で過ごしている高齢者や普段運動して汗をかく習慣が無い方が熱中症になりやすいのもそのためです。

一方で、暑い中で仕事や運動をして熱中症になるのは発汗による体温を下げる作用が間に合わずオーバーヒートした状態です。熱中症対策として、汗のもととなる水分補給や塩分などのミネラル補給が積極的に勧められるのも、自動的に汗をかいて体温を下げれる方に向けての対策というわけです
では、家の中で過ごすことが多い方、普段あまり運動しない方、汗をかく習慣がない方が熱中症になりにくいようにするためにはどうしたらいいのでしょうか?
その答えが“暑熱順化”つまりは気温が高くなって体温が上がった際に自律神経(交感神経)を働かせて汗をかくという、自律神経の反応をカラダに思い出させる作業(順化させる)というわけです。

理屈がわかればあとは実践するのみです。
体を温めて汗をかく習慣として真っ先に思いつくのはお風呂ではないでしょうか?
暑くなる今の時期に、普段より熱め(38~40℃)の湯舟に10分前後漬かることでカラダの深部体温を少し上げて風呂上りの発汗を促せばいいんです。(汗ばむ程度の運動をすることが一番効果的ですが高齢の方ではなかなか難しい点もあるでしょう。)そのため、暑熱順化としておススメされるのが入浴による発汗で、一番簡単な方法ですので是非試してみてください。
なお、高温で発汗を促す習慣としてはサウナもありますが、サウナは熱による刺激が大きいため血圧や循環器系のトラブルに発展する危険性が大ですので暑熱順化策としてはおススメではありません。

今回のまとめとして、以下に「暑熱順化」と「熱中症対策」をまとめておきますので参考にしてください

普段汗をかく習慣がない方の<暑熱順化>

・水分を適度にとってお風呂に入る:水分摂取のためのアルコールはダメ!
・普段より熱め(38~40℃)の湯舟に10分前後漬かる:風呂上がりに少し汗ばむ程度、汗が気になるならシャワーで流しても可
・入浴タイミングは入眠の2時間以上前が最適:意外と知られていませんが、体の深部体温が高いままだとあなたのカラダは交感神経を働かせて発汗を促し体温を下げようとします。ただ、睡眠時はリラックスして副交感神経を働かせ深い睡眠を得る方が睡眠の質は上がります。つまり、体温調節のために交感神経が働くことは睡眠の質を下げることにつながるのです。折角カラダにいいことをするのですから、睡眠の質を落とさないように入浴タイミングにも気を付けたいものです

適度に汗をかく習慣がある方の<熱中症対策>

・水分とミネラルの補給:日本の風習でもあり、一番のおススメが「麦茶」、ミネラルも少しは含まれているためお勧めです。ミネラルをもっと積極的にとりたいと思う方は黒砂糖を麦茶に混ぜる(1Lにティースプーン1~2杯程度)のもgoodです(ちなみに市販の清涼飲料水は角砂糖10数個分入ってます)間違っても、白砂糖は入れないでください。白砂糖はミネラルをカラダの中から奪う逆効果の働きがあります。
あと、水分補給としての「緑茶」はあまりお勧めではありません。というのも、ミネラル成分としては「麦茶」よりも多く含まれており、カテキンの殺菌力もあって健康にはいいのですがカフェインの含有量が多く利尿作用があるため、補水ではなく尿として水分を出してしまうからです。そのため高齢者にも夏は麦茶がおススメです。
・ミネラル(ナトリウムとカリウム)を積極的に摂取しましょう:塩飴などナトリウムに注目が集まりがちですが、ナトリウムとカリウムのバランスにも気を付けたいところです。昔からの風習でも、例えば夏祭りや縁日ではキュウリの1本漬けがありますよね。漬物(塩もみ)のナトリウムとキュウリのカリウムを補給するといった具合です。スイカに塩やトマトに塩も同様で夏の手軽なミネラル補給手段です。

今年も暑い夏になりそうですが、皆様健やかにお過ごしください

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西田英治
専門家

西田英治(歯科医)

にしだ歯科医院

全身(カラダ)へ影響を与える口腔環境として①機能、②細菌、③栄養の3つの視点からのアプローチによりカラダの「健康」維持・増進をサポート致します

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