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歯ぎしりをなくす新たな方法?!(歯ぎしりとストレスとビタミンB群の意外なカンケー)

西田英治

西田英治

テーマ:歯ぎしり ビタミンB 腸内細菌 食物繊維

今回は、未だ根本的な治療法がない睡眠中の「歯ぎしり」について新たにわかってきたことと今後の治療法の手がかりについてお話いたします。
皆さんは就寝中「歯ぎしり」しますか?子供のころから歯ぎしりしている方もいらっしゃれば、歯医者さんで初めて指摘されて、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?実は歯ぎしりには以下の3種類があります。
・グラインディング:ギリギリ音がするタイプで、俗にいう歯ぎしりの典型
・クレンチング:食いしばりともいわれ、音がしないタイプ
・タッピング:鼠のように上下の歯をカチカチ鳴らすタイプ
クレンチングの場合音がしないので傍で寝ている方から指摘されることがなく、気付きにくいタイプと言えます。
 歯科において、歯ぎしりが問題視される理由は上下の歯が長時間接触し力がかかりすぎることにあります。(1日24時間のうち、食事等で上下の歯が接触する時間は合計20分程度と言われています)歯ぎしりはその20分にプラスして歯や筋肉、あごの骨や関節に過剰な負担をかけるため、自分の歯を噛み割ったり、治療したかぶせ物が取れたり、虫歯や歯周病が進行したりなどの口の中のトラブルにつながってしまいます。そのため歯医者にとっては(もちろん、患者さんにとても)かなり厄介な事象なのですが歯ぎしり自体がなくなるような根本的治療法はなく、現状では過剰な負担を少しでも軽減するためのマウスピース治療が主流となっています。
 そんな中、今年岡山大学が学生を対象にした研究で、食物繊維を多く摂った学生の方が歯ぎしりをしないことが分かり、食物繊維の摂取量が歯ぎしりの発生と関係する可能性がある
と発表しました。当時はなぜ食物繊維?まさかしっかり咀嚼するからなんてことはないしなぁ・・・としっくりすることなく、患者さんに伝えることもなかったのですが、これまた最近になって医科系の栄養に関する情報で、ビタミンB群が仕事のストレスを軽減する
という論文が発表されました。
ちょっと、脱線して歯ぎしりの話に戻ります。歯科の分野には睡眠歯科学という分野があり私もチョットかじっているのですが、歯ぎしりの科学的な解釈は「睡眠随伴症」といって睡眠に伴って起こる事象の1つととらえられています。その原因の1つにストレスが大きく関与していること、そして睡眠の中でも覚醒に近づいた時に起こる事象ということも分かっています。(咬むための筋肉が働く=交感神経が働く、と考えると分かりやすいかもしれません)
ここで、睡眠について少しお話しすると睡眠の段階には深い方から「深い睡眠」→「浅い睡眠」→「レム睡眠」→「覚醒」があり、寝ている間に周期的に波のようにそれぞれの段階を移行しています。(深い睡眠が副交感神経が優位の状態です)よく、就寝始めの2時間ぐらいを睡眠のゴールデンタイムという言いますが、この時間帯が深い睡眠に入りやすく副交感神経が優位となり成長ホルモンの分泌も盛んになるといったことがゴールデンの所以です。一方、歯ぎしりは睡眠段階の中でも覚醒に近いときに起きるため、睡眠の質を低下させてしまう厄介事象とも言えます。つまり、歯や口の中のトラブル回避のためもありますがカラダの健康=睡眠の質を考える上でも出来るだけ歯ぎしりをなくした方がいいというわけです。(私が患者さんの歯ぎしりを減らしたいと考える理由は口の中の事よりもむしろカラダへの悪影響にあります。歯医者ですが・・・・)
では、先にお話しした2つの発表を私なりにつなげて考えてみます。
先ず、今までのところはっきりしているのは、歯ぎしりの原因の1つはストレスです。歯軋りを減らすためにはストレスを減らせばいいと考えるのですが、この忙しい現代社会でストレスを減らすコトは難しいでしょう。でも、ビタミンB群がストレスを軽減するというのであればサプリメントなりでビタミンB群を摂取すると歯ぎしり軽減につながる可能性が出てきました。
食物繊維は何だったの?と思われることでしょう。実は、ビタミンの中には腸内細菌が作り出すビタミンもあります。よく耳にするビフィズス菌がビタミンBをお腹の中で作るのです。そして、このビフィズス菌のエサになるのが食物繊維というわけです。食物繊維を多くとった学生に歯ぎしりが少なかったことの理由がこれだけだということはないでしょうが、食物繊維(=ビフィズス菌のエサ)→ビフィズス菌が増える(腸内環境改善)→ビタミンB産生→ストレス軽減という関係が成り立つのではないでしょうか?
 歯ぎしりでお悩みの方は、ご自身の生活環境を「ストレス」と「食事」(栄養素=ビタミンB)の目線から見直してみてはいかがでしょうか?睡眠中の歯ぎしりを自覚することは難しいですが、「食事」は自分が食べているものですので自覚しやすいと思います。そこで思い当たる点があるようでしたらビタミンB群のサプリメント(論文では3か月)や食物繊維を積極的に摂取することがおススメです。今まで、根本的な治療法がなかった「歯ぎしり」に治療の可能性が出てきたように考えています。

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西田英治
専門家

西田英治(歯科医)

にしだ歯科医院

全身(カラダ)へ影響を与える口腔環境として①機能、②細菌、③栄養の3つの視点からのアプローチによりカラダの「健康」維持・増進をサポート致します

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