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腸内細菌(菌活)から考える花粉症対策

西田英治

西田英治

テーマ:花粉症 腸内細菌 菌活

今年は花粉の飛散量がかなり多いらしいです。
花粉症の方にとっては非常につらい時期ですね。当院に来院される患者さんでも、花粉症の症状の為に予約変更したり、薬飲んで抑えてきました!なんて方も・・・。
 最近、歯科医である傍らパーソナルヘルスコンサルタントとして腸内細菌の解析結果を基に食事や栄養指導、菌活(プロバイオティクス)やファスティングなど様々な指導・コンサルを行っているのですが、その中には花粉症対策になりそうな情報もありますので今回のコラムでは花粉症対策にまつわる健康情報を発信したいと思います。
 まず、花粉症のメカニズムについてちょっとだけ説明しときます。人のカラダは異物が体内に入ってくるとそれを排除するために「免疫」機構が働きます。その免疫機構の中で、異物を捕まえる役割をするのが「抗体」です。抗体は1種類がどんな異物も捕まえるのではなくその種類によって捕まえる異物が異なっています。花粉の場合はIgEと呼ばれる抗体です。ここまでの花粉(抗原=異物)とIgE(抗体)は花粉症の方もそうでない方もカラダの中では同じ関係なのですが、実は花粉症の人では免疫が過剰反応してIgE抗体の量が多いことが知られています。
ではなぜ、IgE量が多くなってしまたっのか?ってことですが、そもそも人の高度な免疫機構では過剰な免疫応答が起こらないように免疫を調整する「Treg」(=制御性T細胞)と呼ばれる免疫細胞が文字通り制御コントロールしています。しかし花粉症の方は、このTregが少なくなることで制御がうまく効かなくなりIgE抗体が増えてしまい免疫が過剰反応した状態ということです。
 ということは、少し短絡すぎですが、Tregにきちんとコントロールしてもらえばいいということにもなります。ここでさらにTregについてお話すると、Treg細胞は体中のいたるところに存在する免疫細胞なのですが、多く集まっている場所が「腸」です。「免疫の7割を腸が担っている」といわれる所以の一部です。そして、ここが今日イチのポイント!
腸内細菌が腸粘膜にTregを誘導する
では、どんな腸内細菌がいいの?というと、例えばクロストリジウム属(Clostridium)などはマウスの実験などで腸炎やアレルギーを治療する効果があることが報告されています。ちなみに、クロストリジウムとは酪酸菌の一種で、私たちが食べた「食物繊維」をエサに「酪酸」と呼ばれる物質を作り出し、この酪酸が免疫細胞への制御メッセージになるというわけです。他にはバクテロイデス属のバクテロイデス フラジリス(Bacteroides fragilis)なども有名どころです。ただ、クロストリジウムと違うのは、クロストリジウムが属だったのに対しフラジリスは「種」まで限定されている点です。ちょっと難しくなってきたんで、別の視点からお話ししてみます。
花粉症でお困りの方の中には○○ヨーグルトがいいよ!と言われて試したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?よく耳にするビフィズス菌(ビフィドバクテリウム属)や乳酸菌(ラクトバチルス族)なども免疫のサポートには重要な腸内細菌です。まだ、分かっていない部分もあるのですがこれらビフィズス菌や乳酸菌は
①菌の成分による直接的な作用
②腸内環境を整える間接的な効果
により、花粉症対策の一助となる考えられています。
 例えば、私もよく食べている森永製菓の「ビヒダス」というヨーグルトがあるのですが、そのパッケージには大腸サポートと書かれています。その根拠となるような、花粉症患者のビフィズス菌摂取による影響といった内容のレポートも腸内細菌学会で報告されています。そして、このビヒダスヨーグルトに入っているビフィズス菌がビフィドバクテリウム ロンガムなのです。先ほどの「属」と「種」に話を戻します。
 実は、私自身も腸内細菌検査を行ったことがあります。(まぁ、当院でキットを売ってもいるんですけど・・・)その結果、自分の腸内にはロンガム種が「居る」とわかっているので「ビヒダス」を選んで買っている、といった具合です。もちろん、ビフィズス菌のエサとなるオリゴ糖と一緒に摂取しています。もともと私は花粉症ではないのですが、腸内細菌解析を行った結果、腸内フローラのバランスが崩れていたためバランス改善のためにはビフィズス菌を増やした方がいいと考えて「ビヒダス」を選んでいるといった具合です。
 でも皆さんは、自分の腸内に何菌がどれくらいいるかわからないですよね?そこに一つ落とし穴があります。確かに、ヨーグルトは腸内細菌にとって、ひいては体にとってもいいのですが、各メーカーによって菌種が違います。菌種が違えば効果が違います。ロンガム種は比較的多くの方にみられる菌種ですが腸内細菌検査ではゼロの方も中にはいらっしゃいます。(注:検査結果では全く居ないのではなく検出できる量いないという意味です)食事やサプリメント(プロバイオティクス)で新たに善玉菌「種」を摂取したとしても腸内には根付かないとも言われています。腸内細菌についてある菌種をゼロからイチにするのはかなり大変なことです。それよりも今腸内にいるいるイチを3(サン)に変えた方が効率的だということです。もちろん、「ビヒダス」を食べるのにビフィドバクテリウムという「属」が一緒であれば、同種であるロンガム種が腸内にいなくても別の種が増える、もしくは別の種が増える環境を整えてビフィズス菌としての腸内での働きを正常化するような、前出の②の作用も期待できます。
 長々とお伝えしてしまいましたがいかがだったでしょうか?少し細かいところまで入り込んでしまった気もしますが最後にもう1つだけ、今日のポイント!のところで腸内細菌が腸粘膜にTregを誘導するとお伝えして、その腸内細菌がクロストリジウム属だとお伝えしました。花粉症対策にはクロストリジウムをプロバイオティクスで増やすという方法ももちろん有効だと思いますが、クロストリジウムが食物繊維をエサにしているのなら、積極的に食物繊維の摂取を増やすことも効果的だと考えられます。ただし、この考えは前出のように少ない菌を増やそうという場合です。既に酪酸菌(クロストリジウム含む)が平均量いるのにさらにエサをやっても腸内フローラのバランスとしては逆効果かもしれません。
最近ではネットなどでも紹介されているので、できれば腸内細菌検査を行って腸活や菌活につなげていただくのが一番かと思いますが、検査はちょっとハードルが高いな?と思われる方は、まずはご自身の食習慣について、食物繊維って足りてるのかな?漬物など乳酸菌が喜ぶものがとれていないなぁとか腸内細菌の目線で食習慣を振り返ってみて、腸活や菌活を含めた花粉症対策に取り組んでみてはいかがでしょうか?

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西田英治
専門家

西田英治(歯科医)

にしだ歯科医院

全身(カラダ)へ影響を与える口腔環境として①機能、②細菌、③栄養の3つの視点からのアプローチによりカラダの「健康」維持・増進をサポート致します

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