カンジダ菌にお悩みの方へ
皆さんは「カンジダ菌」をご存じですか?
カンジダ菌は「菌」といっても正確には「カビ」の仲間で、虫歯菌や歯周病原菌といった場合の菌とは違いがあります。
口の中にカビがいるの?と思われるかもしれませんが、「います」
みんないるの?
「日本に住んでいたら、おそらくみんなにいます」
日本に住んでいたら、とお伝えしたのは日本の気候が高温多湿で、カビの生育には条件がいいからです。口の中はなおさらカビの生育条件がいいです。
でも、みんな健康被害はないけど・・・・。
そうなんです。カンジダ菌は普段は人にほとんど害を及ぼすことがなく、免疫力(抵抗力)が低くなった時に悪さをしだす「日和見菌」という性質の菌なのです。口の中では口角炎、黒毛舌。腸で悪さをしだすと腸炎、女性器などではそのままカンジダ感染症という病名につながっています。
そんなカンジダ菌ですが、ほぼカンジダ・アルビカンスという種類ですので、今回はカンジダ菌=カンジダ・アルビカンスとして進めていきます。
つい最近、歯科医にとって非常に興味深いカンジダ・アルビカンスに関する論文が発表されました。
簡単に要約すると、虫歯菌であるミュータンス菌とカンジダ菌が相乗効果で歯の表面にくっつきやすくなり、虫歯のリスクを高めるというものでした。
今までは、日和見菌として「増えなければ問題ない」程度の菌であったカンジダ菌が、菌同士のマッチング?状況によっては他の菌の悪さをさらに助けてしまうといった感じです。
このことがなぜ興味深いか?というと、日本人における高齢者の残存歯数は年々増加しています。つまり、歯が多い状態で免疫力低下によりカンジダ菌が増えると高齢になってからのむし歯も増える可能性があるということです。少子高齢化が進む現代では高齢者の虫歯予防としてカンジダ対策が導入される日も近いかもしれません。
逆に、加齢に伴う免疫力の低下を防ぐ新たな取り組みが歯科の分野においても必要だとも考えており、それがこのコラムでも度々ご紹介している、腸活や菌活であったり、自律神経を整える鼻呼吸、分子栄養学(分子整合医学)につながっているというわけです。
本題に戻って、カンジダ菌については既に起こっている問題もあります。
その問題にちなんで、1つ当院の取り組みをご紹介したいと思います。それは、初診の患者さんやメインテナンスで来られている患者さんすべてに位相差顕微鏡という特殊な顕微鏡で「菌」の検査を行い、個々の患者さんの菌叢の診断とその動画記録をしているということです。患者さんに説明する際は、顕微鏡で菌の形や動きを見ての診断ですので菌の種類を識別することは難しいのですが、スピロヘータやカンジダ菌に関しては識別が可能で歯周病治療や管理の際に以前の様子と比較して改善点や注意点として毎回お伝えしているといった具合です。
その顕微鏡検査について、コロナ禍となって半年経ったぐらいからそれまでと違った位相差像、具体的には菌の活動性が増していたり、カンジダ菌の繁殖が観察されるようになっていたのですが、その変化が現在進行形で多くの方に広がっているといった問題が起こっています。
なぜ、コロナ禍でカンジダ菌が増えるのか?口の中の細菌叢が変わるのか?
それは、歯磨きがおろそかになったわけではありません。マスク習慣が定着しマスクをしていての息苦しさから気付かないうちに口呼吸となってしまったことが原因しています。なぜなら、口呼吸では口の中が乾燥してしまい、唾液が持つ抗菌作用が働かなくなったことためです。だからと言って、マスクはしない方がいい!と言っているのではありません。最近ではマスクは必要ない!外国ではみんなマスクしていない!などと言われマスクはしない方向へ流れているようですが、個人的には状況によってマスクはつけておいた方がいいと思います。(機会があれば、根拠となる考えもお伝えいたします)
口の中で増えるのであれば、当然腸へ届くカンジダ菌も増えるはずで、今後は腸内フローラの変化による体調不良も懸念されます。
不安ばかり煽って、対策がないと困りますので最後にカンジダ菌への対策を
ちょっと特殊ではありますが、カンジダ菌に効果がある歯磨剤やプロバイオティクスなどがあります。歯磨剤にしてもサプリにしても、最低6か月ぐらいは継続利用した方が効果的です。カンジダ菌はカビですので基本的に除菌は出来ないと考えた方がいいと思います。善玉菌を増やして、カンジダ菌の数(割合)を減らし、いい状態の菌叢を定着させるといったイメージがいいように思います。そして、そのためには半年ぐらいは必要なのでは?ということです。
(あくまでも当院での経験上です。)
気になる方はカンジダ対策の1つとして考えてみてはいかがでしょうか?
また、「口呼吸は百害あって一利なし」、口呼吸の害はカラダ中に影響しますので早めに鼻呼吸習慣の定着も意識してみてください。