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塩原真貴

木造住宅を耐震・断熱構造に生まれ変わらせるプロ

塩原真貴(しおはらまさき)

株式会社Reborn

コラム

やっときゃよかった、耐震診断・耐震改修

地震活動期に入ったといわれて久しい、私たちが暮らす日本。
5か月前に起こった熊本地震ではありますが、その記憶は次第に薄れ、忘れたころに再び起こる。
「明日は我が身」だと受け止めて、自らの命や暮らしを守りましょう。

隣りの家を壊してしまう、道路をふさいでしまう、ということさえ


倒壊・大きな損傷をした家屋では、当然住み続けることができなくなり、長期間に渡り、仮設住宅あるいは避難所での生活を強いられます。
倒壊した家屋の後片付けはもちろん、隣宅に損傷を与えてしまった場合は、その補償の問題も残り、そこに再び暮らし続けるのが困難になることもあります。

そこには膨大で気の遠くなるような精神的つらさ、肉体的な辛さを伴うことでしょう。
それでもなお、

ここらあたりは、絶対に地震が来ない
いつ来るかわからないから、損するかもしれないだろ
そんな大きな地震が来たら、この周りは全部ぺしゃんこさ

と言えるでしょうか。

報道TVだけを見ていると、ある特定の地域で、全壊した建物ばかりTV局は放映します。
あたり一面の建物が根こそぎ全壊しているような印象を、見ている人に与えます。

住宅地は、年代もバラバラで、耐震強度もバラバラな建物が混在しているのです。

お金がないからやらない
お金がもったいないからやらない
誰に頼んでいいか分からないからやらない
そんな現状があるようです。

自分の家はほとんど損傷を免れたのに、お隣の家がもたれかかって大きくダメージを受けてしまった、
隣家が火事になり延焼してしまった、
そういうこともたくさん起きていることでしょう。



先月の新聞に、住宅の耐震化に対する補助金に対して、さらに金額を上乗せしよう、という記事が載りました。

これまでも国や各市町村では、住宅の耐震化を重要な国策だとの認識で耐震改修に補助金を出してきましたが、目標とする達成率に及ばずじまいでした。
昨年平成27年度が、5か年計画の最終年度でしたが、当初目標の耐震化率90%以上には遠く及びませんでした。

今後も引き続き耐震化を一層推し進めるべし、
そんな話し合いがなされているころに熊本地震が発生。

あらためて仕切り直しをして、木造住宅の耐震化について本腰を入れようとしています。


なぜそんなにまでして耐震化をさせようとしているのか?


避難所を設置・運営=人、モノ、カネ相当必要
仮設住宅の建設=利用者が多ければ建設費は相当な費用かかる
生活保護希望者急増
水道やガスなどインフラの復旧・修繕・整備
・・・・

巨大地震は、その地域の財政に大きな負担になるというのは紛れもない事実。
当然税金もその再建に充てられ、国全体の借金が膨らむことになっています。

ですから、国は税金を使ってその予防を行おうとしている、
それが耐震改修補助の理由です。


まずは耐震診断を。自分が加害者にならないために。


まずは今、自分が暮らしている家がどの程度の耐震性があるのか、疑ってみる必要があると思います。
それは過去に起きた大地震での教訓であり、被災者の願いでもあるはずです。

建て替えするには数千万円の費用がかかります。全壊ならば2重にローンを抱える人も多いと聞きます。
地震保険は、隣宅への補償もついていますか?
隣家からの被害も補償されますか?

耐震補強は確かにお金がかかります。しかし数十万円で、ずいぶん耐震性をあげることができた事例も少なくなく、決して臆することはないと思います。
耐震診断は、多くの市町村で無料実施しているところが多く、気軽に診断を受けられます。

建築士は、耐震診断コンピューターを使って、かなり精度良く的確に、その建物を評価することができるのです。

この写真をご覧いただきたい。



地震前
(この画像は熊本地震直後の様子であり、Googleのストリートビューを使って地震発生前の様子を比較したものです)


地震後







比較的新しいアパートであっても、また平屋であっても、倒壊、大きく損傷することがあるということをまず知ってください。

先の熊本地震では、昭和56年以前の木造住宅(現行の艇新基準を満たしていない)の全壊した木造住宅は約40パーセントにも。
対して平成12年以降の、新耐震基準を満たした木造住宅は全壊率は数%と、その違いはかないはっきりしています。




地震の最も恐ろしいところは、瞬間的に何の前触れもなく起こるということです。
私たちの暮らしを一瞬にして反転させ、長期にわたって避難生活を強い、ときには命を奪う巨大地震。

地震による被害は、決して個人的なものに留まることがなく、社会全体に影響しているといえます。
対処療法から予防療法として、耐震が位置付けられているといえそうです。


新築する場合は、耐震等級3を目指すべき


新築住宅の設計では、最大積雪が屋根にのった状態や、数十年に1度起こる程度の超強風時など、想定される最悪の事態を設計条件として耐震設計をすることができます。
長野県は豪雪地も多く、かなりの住宅で耐震性に対する配慮が欠けていると私は思っています。
大雪の日に地震がくるのと、真夏に地震がくるのとでは大きく揺れ方が異なります。



さらに言えば停電時ライフラインが長期間止まってしまった時、その家に暮らし続けることができるのか、真剣に考える事はとても大事だと思います。
避難生活は想像を絶するストレスがあることでしょう。食事や飲み水も必要最低限、ギリギリの生活。

避難所で、「はやく何とかしろ!」
となる前に、ぜひ自らの意思で自宅を耐震化し、真冬であっても1か月くらいはそのまま暮らし続けることができるようなことを考えるべきだと私は思います。


建築に携わる人たちに


私たち建築に携わる技術者は、営利目的を全面にだすのではなく、その家の弱点がどこにあるのかはっきりと生活者に伝え、その補強方法を親切に示すべきです。手抜き工事はもってのほかです。
今後は、工法に対する、あらゆる検討・研究を重ね、また補強工事について一層コストダウンに努め、より多くの人たちが安心な暮らしができるよう、消費者に寄り添う姿勢を持とうではありませんか。

この記事を書いたプロ

塩原真貴

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