大企業は歴史的賃上げでも中小企業は…就労者の約〇割は恩恵無し?

テーマ:お金と暮らし


2024・歴史的賃上げの理由 私たちの賃金は上がるのか

2024年春闘、賃上げ率は中間集計時点で5.24%(2023年は3.58%)の高水準。

この大手企業賃上げ率は予想外に高く、日本銀行のマイナス金利解除理由の一つにもなりました。
集計が進めば、全体の水準は若干下がりそうですが、最終集計で5%を上回れば、1991年の5.66%以来、なんと33年ぶりの賃上げが実現しそうです。

この高い賃上げ率となった背景のひとつは、大企業や中小企業の財務余力拡大が挙げられます。
インフレ下でのコストアップ以上に販売価格を引き上げたことで、大企業における23年の粗利益の伸び率は前年比7.3%、人件費は前年比2.5%の伸びなので、粗利益の中から大きく人件費を上げることができるようになりました。

直近の消費者物価指数の伸びは鈍化しているものの、生活実感としては顕著であった食品やガソリンなどの価格だけでなく、全般的に物価は上がり続け、負担は増すばかりです。

大企業で働く社員においてはこうした賃上げによる恩恵がありますが、一方で、日本の就業者約6,800万人のうち、大企業や中小企業に含まれない零細企業そして個人事業主は1,800万人。働く人全体の約3割弱は、企業側が賃上げの原資が無いなどの理由から、大企業や中小企業ほどの賃上げ恩恵は受けられないと言えます。

ただし、賃金格差の是正を優先し過ぎると余力が充分にある企業も賃上げを抑制し、結果的に平均的な賃上げ率が上がらないことにもなります。
賃上げのすそ野を広げるため、まずは無理に足並みをそろえるよりも、大企業を中心にできるところから積極的に賃上げを行うことで、中小→零細個人へと、次第にトリクルダウン(浸透)※が起ってくることが期待されますが、支出負担増に苦しむ家計にとっては、まだまだ辛抱が必要な状況が続きそうです…

ますます、NISAなどの税制メリットを活用しつつ「お金に働いてもらう=高い金利で長く保有する」必要性が高まっています。

※トリクルダウン理論とは「富裕者がさらに富裕になると、経済活動が活発化することで低所得の貧困者にも富が浸透し、利益が再分配される」と主張する経済理論

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