さらなる円安いつまで…政府の為替介入の可能性は?…知っておくべき円安のメリット
2023年は円高に?1ドル110円台との予測も
2023年の日本経済において最も重要なテーマともなりそうな為替動向。
昨年10月には、なんと32年ぶりに151円台まで円安が進みました。しかし、市場関係者の予測をみてみると、今年は状況が大きく変わりそうです。
今年は円高予測も「構造的な円安」は変わらず?
市場関係者の円対ドル相場予測をみてみると、2023年内の高値予測平均は1ドル122円とのこと。
『120円~126円未満』と回答した人が合計で全体の約70%、110円台の予測も15%程度となっています。
昨年の急速な円安ドル高の背景のひとつには、アメリカFRB(日本でいう日銀)の急速な利上げと、それを受けたアメリカ長期金利の上昇による日米金利差の拡大がありました。
そのアメリカFRBが昨年12月には利上げ縮小へ変化した一方で、日銀は実質的な利上げへと踏み切ったことで、日米双方から金利差縮小予測が強まり、円高方向に向きました。
現在、日本の上場企業の60%が、2023年3月期の想定レートを、1ドル131円以上の円安と設定しているそうです。急速な円安におびえた昨年から一転、今度は目先の円高リスクに警戒する必要が…
一方で、長期的な視点では構造的な円安要因には変化がありません。昨年12月まで、日本は16か月連続の貿易赤字となっていて、2023年中の黒字復帰は難しいとみられています。
日本の経済力や国力という観点からも、円高が長期化するというよりは、昨年円安に大きく振れた分の揺り戻し的な意味合いが大きく、私たちとしては資産防衛のためにも、何等かの外貨保有などの必要があることに変わりはありません。
円安は私たちの日常生活にとって”悪い”のか?
私が敬愛する高橋洋一先生のコラムによれば、ざっくりと、10%の円安で日本のGDP(日本国内で一定期間内に生産される物やサービスの付加価値の合計)は1%程度高まるとのこと。その結果、税収増も望める…輸入比率が高い中小企業、輸入に頼っている私たち日本人の日常生活コストは負担が上がるけれども、輸出比率の高い大企業には追い風。
実際に、2022年度の一般会計税収は68兆3500億円余りと、過去最高だった2021年度の実績を上回る見通しが昨年秋に判明しています。所得税や法人税収などが堅調に推移していて、昨年は”悪い円安”などと報道もありましたが、円安によってGDPが伸び税収が増え、その恩恵を受け政府が中小企業や消費者に適切な対策を取ってくれれば、私たちの生活にもプラスになるはずです。
”防衛費の増額、少子化対策のために必要だから仕方ない?”
そう信じ込まされて…経済成長が為されないまま増税…こちらの方向に向かってしまうことは絶対に避けて欲しいところです。