米国債、デフォルト(債務不履行)回避で原則合意!それでもくすぶるリスク
2024年、新NISAのポイントと今後の金融教育強化の課題
12月15日に示される、税制改正大綱の目玉のひとつ、NISA(小額投資非課税制度)の拡充策。
これまでは時限措置として実施されてきたNISA制度がいよいよ恒久化される=”恒久NISA”となる方針です。内容と、今後の課題を考えます。
年間投資額の上限は拡大されるのか
制度の恒久化、つみたて型と一般形の運用の一体化は既定路線ですが、最大の焦点は年間投資の上限額をどの程度拡大させるかです。
大幅に引き上げると投資資金を豊富に持つ富裕層の優遇にもつながり、資産格差拡大を助長してしまう懸念があります。
そのため、生涯通算の投資枠を設ける方針(1,800万円を軸とする)、つみたて型の年間投資枠は現行の40万円から120万円に拡大する方向とのこと。
また、現行はどちらかしか選択できない一般とつみたてが、新制度では一般投資枠とつみたて枠を同じ口座で併用できて、投資上限額を超えなければ当時に投資することも可能とする予定です。
さらに、現行の制度とは分離する方針とのことで、これまでNISA投資してきた人も、新制度を満額利用できるようになるようです。
政府は、NISAの投資額を今後5年間で現状の2倍となる56兆円にするとの目標を掲げています。
今回の大掛かりな制度拡充の狙いも、個人がNISA制度を利用するインセンティブを大きく高めること。
ただ、56兆円の目標を達成したとしても、それは日本の個人金融資産2,000兆円のわずか2.8%にすぎず、これだけでは資産所得倍増計画の達成には全く足りません。
重要なのは、制度を通して投資に馴染んでもらい、非課税枠を超えて投資を拡大させていくきっかけにすること。
そのためにも、個人への金融教育の強化がより重要になってきます。
株主優待銘柄、廃止発表相次ぐ
日本株独自の制度である株主優待、最近オリックスやJTなどの優待人気銘柄からの廃止発表が相次いでいます。
私の顧客もJT株を多く保有しており、毎年楽しみにしていた株主優待の食品が無くなってしまう…と残念がっています。
優待実施銘柄は、2019年の1532社から、2022年は1473社と、3年連続の減少。
今後も減少が続く見込みです。
機関投資家や海外投資家にとっては、優待の権利行使が難しく、不公平になるため、代わりに配当金を高める流れです。
また、インデックスブームで投資を始める若年層が多く、そもそも優待に興味がない人も増えているそう。
今後も優待銘柄は減少するとみられますが、お得感の高い株主優待は安定株主=その会社のファンを増やすことにもつながります。
そのため、金券やポイントなどの優待が減る一方、自社製品を活用したお得な優待に力を入れる方向に進みそうです。