自分で見直し、これでいいの?
苦情や相談が多い?外貨建て保険とは
外貨建て保険とは、保険料を米ドルなどの外貨で払い込み(円で固定される商品もあります)、保険金や解約払戻金を原則外貨で受け取れるもの。
日本円建ての保険と同じく、終身や養老、年金保険などがあります。
全国の消費生活センターなどに寄せられる相談としては、
- 定期預金のつもりが外貨建て保険に加入していた
- 元本保証がされると思っていた
- 運用や為替によっては損が出る、為替手数料がかかるなどのデメリットの説明がなかった
- 様々な費用が差し引かれ、損が出るため短期での解約ができなかった
- 高齢の両親が、ろくな説明もないまま契約をさせられた
などがあります。
”こんなはずじゃなかった”
になる前に、外貨建て保険を検討するにあたり、今回は米ドルを想定し、知っておきたいポイントをみていきます。
外貨建て保険加入のメリット
①日本円に比べて金利が高い
米国国債10年 11/8現在の年利回り 4.146%
日本国債10年 11/9現在の年利回り 0.25%
米ドルの金利が高いことから、日本円建ての生命保険よりも利率が高く保障も大きく持つことができ、インフレリスクへの備えとしても有効。
※利率変動型の商品もありますが、最低保証があるかどうかは要チェック
②通貨分散になる
通貨分散:値動きが異なる傾向のある複数の国の通貨に分散して投資することによって、為替変動の影響をやわらげ、リスク分散効果が期待できます。
③保険商品共通のメリット
生命保険を活用することにより、
- 受取人固有の財産となる=お金に名前を付けられる
- スムーズに現金化することができる
- 相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が使える
などがあります。
必ず知っておきたいデメリット
①為替相場の変動リスク
・円安・ドル高時:米ドル建て資産を円に換算した時に価額が増加
・円高・ドル安時:米ドル建て資産を円に換算した時に価額が減少=解約や減額などで、円でお金を受け取る際には資産が減少する可能性
また保険料を、ドル固定の円建てで支払う場合、現在のような円安時には毎月支払う保険料の負担が想定外に大きくなることもありますし、保険料一時払いなどで加入する場合は購入できるドルの量が減ってしまいます。
②払った金額を下回る可能性がある
円建ての生命保険でも、短期の解約では元本割れすることが多いのですが、外貨建て生命保険には特に注意したいポイントがあります。
■市場価格調整がある:保険を中途解約した際の解約返戻金に、市場金利の価格変動を反映させる仕組み
保険会社は、保険料の運用を外国債券で行うため、解約時の市場金利が契約した時よりも高くなった場合には相対的に債権の値段が下落し、解約返戻金が減額されます。反対に市場金利が低くなった場合には解約返戻金は増額されます。
また、金利に関しては”カントリーリスク=対象国での政治や経済状況の変化によって為替市場に混乱が生じる”も加味する必要があります。
■解約控除金がある:積立型の生命保険を短期(5年~10年程度)で解約する場合、経過年数に応じた所定の金額が差し引かれてしまう(ペナルティのようなものがある)
■為替手数料などのコスト(諸費用)がかかる:ドル⇔円交換のコスト
保険会社、商品にもよりますが、1米ドルあたり1銭~50銭の為替手数料がかかります。
特に円でなくてもよいということであれば、米ドルのままで受け取る選択肢もありますが、持っていなければ新たに外貨預金口座を作る必要があります。
まとめ
外貨建て保険には、円建てにはないメリットとデメリットがあるので、メリットだけを強調するような勧誘には要注意、そしてご高齢の方へのおすすめは慎重に行うべきと考えます。
このところのドル高・円安で、米ドル建て生命保険の解約で大きな利益を得た方もいらっしゃることと思いますが、そもそも生命保険は短期で為替差益を得るために加入するものではなく、”保障を備える”という保険本来の役割が第一です。
数年後に必要になる資金を一括で投入する、長期で払い続けるのが難しい保険料で加入する…などは絶対に避けましょう。
外貨建て保険は数多くの会社で販売され、様々な商品があります。
信頼できるプロからしっかりと説明を受け、メリットとデメリットを十分に理解し納得した上で加入することをお勧めします。