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最低賃金の引き上げ
厚生労働省の中央最低賃金審議会により、2022年10月に適用となる最低賃金の目安が示されました。
政府は、2025年度に、全国平均で時給1,000円以上の達成を目指していますが、雇用面での課題もあります。
過去最大の賃上げでも…
2022年度の最低賃金(全国平均)が、前年同月比3.3%増の時給961円に決まりました。
31円の引上げは、時給で示す方式になった2002年度以降、過去最大です。
”人への投資”を掲げる政府与党からは称賛の声も上がっていますが、一方で、実情と照らし力不足との指摘もあります。
今春以降、食品や日用品の値上げが続き、年内に消費者物価上昇率は3%台に乗るとの予想もあります。
インフレ分も加味すると、実質的な購買力はほぼ変わらないため、生活費の圧迫は依然として続くとみられています。
海外に送れる日本
海外では、イギリスが4月に最低賃金を6.6%引き上げており、ドイツも10月に14.8%引き上げる予定。
インフレへの対応を急ぐ各国に比べて日本は大きく見劣りします。
背景にあるのは、最低賃金を上げすぎると失業が増える懸念です。
日本の中小零細企業は、最低賃金が上がると雇用を絞る傾向にあり、雇用維持のために賃上げを抑制してきました。
この雇用か、賃上げかの二元論は、毎春の賃金交渉で繰り返されてきた構図ですが、雇用のみでなくどちらも追う方針に転換しなければ、国際競争力の低下にもつながるといえます。
購買意欲の高い”プチ富裕層”
リベンジ消費や旅行に沸く欧米と比べ、日本国内の消費は依然として低調なまま。
そんな中、今までは一部の富裕層向けだったサービスや高額品の需要が高まっています。
コロナ禍で貯蓄を増やしたプチ富裕層、購買意欲の高いパワーカップル(共働きでそれぞれの年収が700万円以上)の増加などが要因です。
現状と今後
コロナ禍で消費したくてもできなかった分が、高額消費に向かっているそうです。
ホテルのリゾート会員権やゴルフ会員権、いずれもリーマンショック後の最高値をつけ、百貨店では高級腕時計の販売が3割程度増加しています。
日本では、富裕層向けビジネスが手薄と言われますが、いま裾野を広げておけばいずれ、外国人の訪日観光が回復してきた際に、世界の富裕層の需要をとらえられる商機にもなります。
日本経済の下支えとして期待が高まります。