もう無くしても大丈夫!?さようなら【年金手帳】
1.iDeCoの今
2001年10月1日に制度開始となった個人型確定拠出年金”iDeCo”。
“individual-type Defined Contribution pension plan”
少子高齢化が進む日本において、公的年金だけでは豊かな老後を過ごせない…と、公的年金の補完のための自助努力制度として国が整備しました。
その後、幾度かの制度改正を経て、2021年10月現在の加入者数はおよそ221万人。
2022年5月からは原則65歳まで加入できるように、また同年10月からは企業型確定拠出年金とiDeCoの同時加入要件が緩和されるなど、様々な制度改良が予定されています。
令和元年度の生命保険文化センター調べによると、
「何らかの手段で老後のために私的準備をしている」と回答した人は65.9%、
手段のトップは個人年金保険などの生命保険が44.7%と最も高く、次いで預貯金が44.2%。
老後資金問題がメディアや映画等でクローズアップされたこと、また昨今の若者の投資熱の高まりもあり、iDeCoで老後の資産形成をと考える人の割合は年代を問わず高まっています。
【iDeCo加入者の実態】
運営管理機関連絡協議会の2020年3月末確定拠出年金統計資料によると
年代別加入者割合は、
・20~29歳 5.7%
・30~39歳 21.6%
・40~49歳 39.2%
・50~59歳 33.4%
男女別では
・男性 60.7%
・女性 39.3%
となっています。
【みんな何を選んで運用している?】
運用商品の選択状況を見ると、
- 預貯金 35.9%
- 保険 18.0%
- 投資信託・金銭信託等 45.5%
などとなっており、3年前と比較すると、保険の割合が減少、投資信託・金銭信託等が大幅に増えています。
また、投資信託・金銭信託等の内訳としては、外国株式型とバランス型の割合が増えているのが特徴的。
利用する金融機関にもよりますが、選択できる商品が豊富で、年代や加入期間によって攻めか守りかを選べるメリットがある反面、何を選んだらいいのか、自分には何が合っているか分からないまま、とりあえず金融機関に勧められたからという理由で決めている方も多いと感じます。
2.今さら聞けないiDeCoのメリットとデメリット
【メリット】
- 積立時:掛金が全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)となり税負担が減少
- 運用時:運用益が非課税、対して通常の預貯金利息や投資信託の運用益等には20.315%が課税される
- 受取時:一時金で受け取ると『退職所得控除』の適用があり税負担が減少
- 年金受け取りの場合は『公的年金等控除』(65歳未満の場合は70万円、65歳以上の場合は120万円)として収入から差し引くことができ、公的年金やiDeCo等の年間合計額がこの範囲内であれば税金がかからない
【デメリット】
- 運用によって資産が増減
- 原則60歳までは資金を引き出せない
- 手数料がかかる(加入時や移換時手数料、口座管理手数料、給付事務手数料、還付事務手数料、投資信託の場合は信託報酬等のコスト)
があります。
原則60歳まで資金が引き出せないのが不安と感じる場合には、つみたてNISAを併用しデメリットをカバーする選択肢もあります。
3.興味はあるけど面倒だし…50代から開始してもムダ?
“もっと若いうちに始めておけばよかった…”
と、中高年になってから後悔するのが長期資産形成。
でも。
今日が人生で一番若いのです。やらないよりは断然やった方がいいです。
…と、私自身も遅ればせながら重い腰を上げこの度加入をしたわけです。
というのは、加入期間=運用期間が短い分、資産を大きく増やすことは望めないかもしれませんが、前述の通りiDeCoの掛金は全額所得控除となり、年末調整や確定申告で還付されるなどの恩恵が得られるから。
60歳時点での通算加入期間によって、受け取れる年齢は最長65歳にはなりますが、現在は定年後に再雇用で働く人が多いため、さほど大きな影響は無いといえます。
ただし、値動きが大きくなりやすい株式投資信託の比率が高いと、受け取り時に価値が暴落した場合のリスクが高くなりますので、安定した債権投資信託や預貯金の配分を増やして、リスクに備える必要があります。
4.iDeCoを始めるにはどうしたらいい?
「老後の資産形成もしないといけないのは分かるけど、何をどうしたらよいか分からない」
という方には、私たちファイナンシャルプランナーに相談いただく以外に、
iDeCo公式サイトの活用をお勧めします。
・加入資格があるか?
・月の掛金の下限と上限はいくら?
・資産運用の基礎とは何か?
・何で運用したらいいのか?
・どこで始めたらいいのか
を順序立てて知ることができます。
特に、『資産運用の基礎知識=リスクとリターンについて、長期分散投資について等』をまず最初に知っておくことが最も重要です。
個々人の運用期間、職業や家庭の状況、保有資産額などによっても選択肢が異なりますし、これらを知ることで「自分には何が合っているのか」「何を選んだらいいのか」の判断が可能になります。
また、現在約160の金融機関が“運営管理機関”としてiDeCoを取り扱っており、その中から1社だけを選ぶのは難しいと感じる方も多いでしょう。
選択するポイントとしては、
・手数料が安い
・商品ラインナップが豊富
・手続きが分かりやすい、運用が学べる等、加入者へのサービスが充実
を加味しましょう。
私はネット証券で開始しましたが、自分だけで決めるのは難しいし面倒、時間の無駄!…そんな方は私たちFPや銀行、証券会社の窓口などでまずは相談を。
5.まとめ
やった方がいいのは分かっているけど行動できていない、そんな方も多いのが資産形成。
前述の通りiDeCoは2022年にいくつかの制度改正が予定されており、加入者は増加中、注目度はますます高まっています。
iDeCo公式サイトと併せ、モーニングスター株式会社が運営するサイトでは、iDeCoについての知識を分かりやすく得ることができ、加入者診断、金融機関比較、節税シミュレーションなどが無料で活用できるのでおすすめです。
まずは今、ひとつ、できるだけの小さな行動を!