日本口腔インプラント学会市民公開講座のお知らせ
皆さんはご存知でしょうか?
2015年6月16日にアメリカ食品医薬品局(FDA)が、マーガリンなどに含まれる「トランス脂肪酸」の使用を2018年以降原則禁止すると発表しました。
「トランス脂肪酸」とは、不飽和脂肪酸(植物性油脂)の一種で、今回規制対象になるのは、植物性油の加工において人工的に水素を添加し、酸化安定しやすい硬化油の状態にする過程で副産物として生成されるトランス脂肪酸です。構造がプラスチックにそっくりなことから「プラスチック化された油脂」の異名をもちます。
「トランス脂肪酸」は、マーガリンやショートニング、ファットスプレットなどに含まれ、またそれらを使用したパンやケーキ・クッキー・ドーナツなどの洋菓子類、スナック菓子、生クリーム、古い油、揚げ物などに含まれています。
「トランス脂肪酸」においては、世界各国で健康への影響について研究されてきました。2010年の国連食料農業機関(FAO)と世界保健機構(WHO)の報告では、トランス脂肪酸が虚血性心疾患のリスクを高めることやメタボリックシンドロームや糖尿病、心臓突然死のリスクを高める可能性が高いと指摘しています。そのためWHOは「トランス脂肪酸の最大摂取量を一日の総エネルギー摂取量の1%未満に抑えること」と勧告しています。
アメリカ・カナダ・デンマーク・フィンランド・オランダ・韓国などでは、加工食品の栄養成分表示項目へのトランス脂肪酸の表示の義務付けや摂取量の警告がされています。アメリカでは、成人の平均摂取量が総エネルギー摂取量の2.6%に達している為、今回の規制にいたりました。
では、日本ではどうでしょうか?
2008年の農林水産省の調査では、日本人のトランス脂肪酸の平均摂取量は総エネルギー摂取量の約0.5%であるとしています。また、2012年に内閣府食品安全委員会のまとめたトランス脂肪酸に関する評価書では、海外研究結果で心疾患の発症の増加や肥満、アレルギー疾患などが確認されているとしつつも、「現時点の日本人の平均摂取量において、これらの疾患罹患リスク等と関連があるかは明らかではない」とし、現在日本では食品中トランス脂肪酸の含有量についての表示義務はありません。
しかし、国が示している摂取量は、あくまで平均値ですので、注意が必要です。
一箱で1%を超えるお菓子もありますし、若い世代では1%を超える食生活をしている人もいます。
皆さんも「トランス脂肪酸」について少し気にかけてみてはいかがでしょうか。