塾長の考え(塾)その7
2月の後半にさしかかる頃、
私は講演をすることになっている。
オンラインで全国各地の塾長さん相手に。
その際に、
どんな質問が出てきそうかということで、
今日の午後に主催者の方たちと打ち合せがあった。
予想される質問の中に、
「やる気のない生徒に指導するにはどうしたら?」
そんな質問があった。
ちょうど昨日のブログでも述べたが、
私の目の前に毎日1人の男の子がいる。
まあ目の前と言っても同じ部屋にいるということ。
その生徒は私との約束である「英単語の練習」を、
ノートに書いてきていた。
1ページだ。
それをするのにおよそ30分はかかるはず。
つまり、
昨日は最低でも30分は勉強をしている。
それ以外にプラスアルファはあるのか?
聞いてみると、
合計で2時間は勉強をしているとのことだった。
「…、ふふふ、やるじゃないか」
「あ、でも途中でギブアップしました」
「あ、そう」
Sくんと私の会話である。
「ギブアップ」とは何か?
それは私が彼に言っておいた「特権」のことだ。
「もうムリだと思ったら…やめろ」
そういう「特権」のことだ。
結構な量のプリントを自分で印刷して、
自宅に持って帰る。
その量は多いが、
中身はと言えば中学1年生の内容。
Sくんは高校生である。
決して難しいわけではない。
ただし、量が多い。
1時間半はかかるであろう量。
私にはそれがわかっている。
だから、
まじめにやろうとすれば合計2時間かかる。
それでも終わらない可能性もある。
そのときは「特権」を行使するわけだ。
しかし、
その特権は塾内で使うわけではない。
どこで使うのか?
自宅で使うわけだ。
誰に許可をもらうのか?
自分自身に許可をもらうのだ。
勉強することを止める許可。
ここが大事なところだ。
そこそこ使命感や責任感をもつ講師は、
「生徒のことを考えて」
と言いながら大量の宿題を出したり、
「1日にこれだけやるように!」
とノルマを設定してしまう。
それで生徒が頑張っても、
それは「強制された」ということになる。
それでは「自立心」は育たない。
一時的に学力が上がるように見えるが、
長期的にはそれは続かない。
義務感でいくらやっても、
生徒が自主性を発揮しているわけではないからだ。
その話を打ち合わせ時に主催者の方たちにした。
「そのやり方を塾長以外の講師もできるのですか?」
そう質問された。
北斗塾内に存在する講師であっても、
私が考えるレベルですることは難しい、と。
自己流になりがちだ、と。
私はそう答えた。
(続く)