塾長の考え(集団授業の落とし穴)④
今現在、
学習塾や予備校では夏期講習である。
小学生や中学生は学校が夏休みであり、
「特別に何かをする」
と最初から予定が立っていれば困らない。
しかし、
何も予定が立っていないと毎日が暇であるため、
いろいろと無駄な時間を過ごしがちだ。
「有効に時間を使ってほしい」
そう願う親御さんのほとんどは、
有効な時間を確保するためにわが子を習い事へ、
そして塾の夏期講習へと送り出す。
今まで34年間ずっと学習塾に関わってきた私は、
「夏期講習」というものが夏の風物詩である。
何度も何度もこの時期になると「夏期講習」。
やると決めているのは塾長である自分だから、
何も不満はない。
どちらかというと喜んでやっている。
「喜んでやる」一番の理由は単純である。
まとまった時間を指導出来れば、
塾生の学習単元の理解度が増していき、
演習を十分に重ね続けると、
みるみると学力がついていく様子がわかり、
手ごたえを大きく感じるからである。
さて、ここがポイントなのだが、
「演習を重ねない」塾や予備校の場合、
残念だが生徒の学力は向上していかない。
理解したことは定着して初めてモノになる。
だが定着はかんたんにはできない。
小中学生の場合は比較的かんたんに定着できる。
しかし、
高校生の学習の場合そうはいかないことが多い。
なぜか?
中学生までの勉強が甘すぎて、
義務教育までの基礎学力がガタガタな生徒が多いから。
この状態の高校生が本当に多い。
この場合は中学の内容から指導し直さないとムリ。
まったくムリ。
見て見ないふりをして、
高校生の内容だけを指導することも当然できるが、
問題の内容の本質をつかめないし、
つかめてもそれを解く技術も知識も…足りない。
手取り足取り指導することも当然できるが、
ずっと付きっ切りでの1対1の指導となる。
「1対1の指導なら、親身でいいですね!」
親御さんたちから高評価を得る勢いだが、
それに反して、
わが子の学力は向上する方向にはいかない。
ここが高校生の指導の難しいところ。
他人(講師)が手取り足取り指導して、
ようやく内容の本質がわかる。
これはたまにそうだというならいいが、
思考力の鍛錬ができていない生徒や、
「そもそも何を思考するの?」
そういう生徒も多数いるので、
指導のやり方が質問に応対するという個別指導だと、
ずっと生徒とのやり取りだけで塾の時間は終了。
結局はその生徒は講師がいなければ、
次の問題も当然のごとく解けない。
勉強は進まない。
だから暗記物に走ることになる。
暗記すればできる勉強にまい進することになる。
授業で本当に手に入れるべきことは、
問題の解法ではない。
新規の問題に直面したときに、
「どこからどのように攻略するか」
という「視点の取り方」を習得しなければならない。
この「視点の取り方」は個別指導ならば、
双方向の指導なので理論上は可能。
(続く)