【集中講座9&10】エクセルを使ったビジネス戦略、財務分析動画を作成してみました
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当初読みづらい構成となっておりましたので、全体を大きく手直しいたしました。
皆さま、こんにちは
経営戦略コンサルタントにご興味ある読者の方へ、コンサルティングに関する包括的な情報をご紹介するコラムシリーズ、第4回目です。今回のキークエスチョンは『経営戦略コンサルタントを必要とするお客様とは?顧客ニーズを考察』となります。
前回のコラム『企業・個人事業主・会社員が抱えているビジネス上の問題(悩み)とは?』と繋がっていますので、まだの方はそちらから読んでいただけますと、全体の流れも把握しやすいと思います。
まずは基礎知識として、顧客ニーズと市場需要の関係についてお話したいと思います。その上で、前回洗い出した事業者やビジネスパーソンが抱えているビジネス上の問題(悩み)をベースに、経営戦略コンサルタントを必要とするお客様について考えていきたいと思います。
それでは始めます。
1.顧客ニーズと市場需要の関係とは?
経営戦略コンサルタントを必要とするお客様を考察する前に、まずは顧客ニーズと市場需要の定義、そしてそれらの関係性についてお話しておきます。本コラム、そして次回コラムで論じる予定の仮説構築および検証のための市場規模推定に繋がる基本的内容となりますので、重要な段落となります。
よく「○○にはニーズがある」や「この商品には需要がある」などと言いますが、皆さまはこれらの言い回しについて、何となく意味が似ているので使い分けに迷われたことはないでしょうか?
私の場合、経営戦略を策定する上では、これら『ニーズ』と『需要』では意味が異なるため、注意して使い分けるようにしています。
例えば、『高度な専門技能・知識を提供できる人材(またはサービス)には顧客ニーズがある』と言った場合、これはお客様の視点でそのようなニーズがある(必要性がある)と判断している事になります。
一方、『高度な専門技能・知識を提供する経営戦略コンサルティングサービスには市場需要がある』と言った場合は、サービスを提供している事業者の視点でそのような市場需要がある(求められている)と判断している事になります。また、市場需要の説明時には、「この商品には需要がある」などと、商品・サービス・職業の観点から述べるようにします。
私は独学と実務を通してビジネスの知識を学んできたので、学問的に正しいかどうかは定かではありませんが、『顧客ニーズ』に基づく潜在的な需要のことを『潜在需要』と呼び、『市場需要』のことを『実需』として考えています。
実需とは、例えばある商品を販売した際、その市場で実際に期待される需要(現実に市場で求められる商品数量)の事です。したがいまして、需要の増減は、売上(または販売量)の増減で表されます。
注:需要の増減が売上(または販売量)と連動するのは、生産供給が市場需要を満たしている場合(Supply≧Demand)となります。逆に生産供給が不足している場合(Supply<Demand)は、仮に市場需要が増えても供給量分しか売上(販売量)は増えないことになります。チャートで示すと、以下のような場合です。話が複雑になってしまいますので、ここでは生産供給の事は考えていません。
例えば、来年予測されるいちごの市場規模(需要)は、○○億円(または○○トン)という形で表現されます。また、ある企業が新商品を開発して市場で販売した際、現実的に予想される商品売上(または商品販売量)の事を指す場合もあります。
以上の事から、『たとえ人・物・サービスに顧客ニーズがあっても、市場需要があるとは限らない(実際の売上に繋がるとは限らない)』という事が分かると思います。分かりやすく言い換えますと、『たとえお客様が必要と思っている人・物・サービスであっても、実際にそれらが売れる(求められる)とは限らない』という事です。
新規事業を立ち上げたり、新商品を開発したりする際は、この違いをよく把握しておくことが大事です。
私のコンサルティングやコーチングの仕事では、『顧客ニーズ(潜在需要)』や『市場需要(実需)』という言葉をよく使います。例えば、財務分析からお客様の将来の売上(実需)を試算する時や、その結果を基に、潜在需要を喚起させる(顕在化させる)ため、経営およびマーケティング戦略を策定する時などです。つまり、事業改善や成長シナリオを描く時によく使います。
ちなみに、お客様ご自身で事業分析を行い、将来の売上やコストなどを予測されたい場合は、当方で販売している学習支援ツール、市場需要に基づく財務予測モデル(注:トップダウン分析のものです)が役立ちます。どのパラメータが売上やコストなどにインパクト(影響)を与えているかも分かりますので、財務分析を経営やマーケティング戦略に繋げる事が可能です。
「経営改善や事業成長につなげる財務分析手法を学びたい」というお客様をはじめ、「解決したい課題はあるけど、コンサルティング依頼までは考えていない」、「社内情報を外部に知られたくない」というお客様のために開発しました。詳しくは、当ホームページの『財務サービス紹介』ページをご覧ください。
注:ここでの財務サービスとは、事業改善や成長シナリオを描くための、主に財務分析に特化したサービスの事を指しており、売上・営業利益・キャッシュフロー等を重視していますので、例えば、売上や費用に直結する設備投資を除き、株式や為替などの金融投資に関するサポートなどは行っておりません。
話を戻しますと、以上の顧客ニーズと市場需要の考え方を基に、次の段落から経営戦略コンサルタントを必要とするお客様について、考察していきたいと思います。
2.経営戦略コンサルタントを必要とするお客様とは?
それでは、前回執筆したコラムと、前段落で解説した顧客ニーズ・市場需要の考え方を基に、本コラムのテーマである、『経営戦略コンサルタントを必要とするお客様とは?』について考察していきたいと思います。
基本的には、ビジネスで問題を抱えているお客様は皆、経営戦略の専門家から見ますと、大なり小なり潜在的なお客様と言えます。しかしながら、前回のコラムで記載した、事業者およびビジネスパーソンが抱えている問題(悩み)リスト一覧をご覧いただければ分かると思いますが、あまりにも問題の範囲が広すぎるため、常に顧客ニーズに合ったサービスを提供できるとは限りません。私にしても、提供可能なコンサルティングおよびビジネスコーチングサービスは、全体で言えばごく一部です。
よって、サービスを提供する立場といたしましては、お客様にご満足していただけるよう、対象とするお客様を絞り込む必要があります。おそらくこの点で、他の多くの経営コンサルタントの方も同じ悩みを持っていらっしゃると思うのですが、対象とするお客様にどうやって自分のサービスを見つけていただくかには試行錯誤が必要となります。
その理由として、一般的・時勢的ビジネス問題を取り扱う経営戦略コンサルタントを必要とするお客様を、こちらから具体的に絞り込んでアピールすることが難しいからです。一般的なビジネス上の問題の多くは、誰が・いつ・どこで・どうやって起きるのかを事前に予測できませんので、原則問題が生じた時に、お客様の方からコンサルタント(またはコーチ)を見つけていただく必要があります。それと、時勢的なビジネス上の問題(ex. DX人材の不足など)については、ニュースでも広く取り上げられるので、豊富な経営リソースを背景にサービスを大規模に開発・展開できる、大手コンサルティングファームに圧倒的な分があります。
したがいまして、既存データが無い現状では具体的なお客様像を絞り込めないので、私の場合は、経営者・個人事業主から会社員などのビジネスパーソンまで、幅広く潜在のお客様を想定しています。その理由として、「今の時代、どんな立場・状況の人でも当サービスを必要としている人が、必ずどこかにはいる」という洞察があるからです。これの検証は現時点で無理ですが、自分は正しいと信じています。(というか、自分の知識や経験に基づく洞察を心から信じていなければ、そもそもこの事業を立ち上げてはいません)
ただ一方で、提供するサービス内容の方を、私はしっかり絞り込んでいます。例えば、コンサルティングやコーチングでサポートする分野は、『経営戦略』、『国際ビジネス』、『財務分析』と明示していますし、そしてさらに財務予測モデル製品の販売では、『商品開発』や『新規事業立ち上げ(スタートアップ)』など、用途別に提供することで、どのようなお客様にサービスまたは購入を検討していただきたいかを事前にイメージしやすいようにしています。
以上の説明を、専門家らしく言い換えますと、「経営戦略コンサルティング事業においては、顧客ニーズに基づくお客様のセグメンテーション(カテゴリーに分けての可視化)が難しいので、ニッチなお客様に向けたピンポイントなプロモーションができません。また、口コミなどで見込み客に継続的な受動的マーケティングが可能な、長年の実績・ブランド力を持つ有名コンサルティングファームにもかないません。よって、私は専門分野を絞り込んでのサービス提供、用途ごとの製品販売、そして強力なマーケティングポテンシャルを持ったマイベストプロ様で、コラム執筆を継続する事によって、出来るだけ多くの人に当サービスを見つけていただき、その中の何人かの見込み客に突き刺さるサービス内容となるよう、限られた経営リソースをそこに選択的・集中的に配分します」となります。
まとめますと、以上の理由から、経営戦略コンサルタントを必要とするお客様の傾向を最初から絞り込むのは難しいので、考察の切り口を変えて、クライアントを大手企業・中小企業・個人事業主・会社員と暫定的に分け、前回のコラムで洗い出した、事業者・ビジネスパーソンが抱えている問題と照らし合わせながら多角的に考察していきます。
2-1.クライアントが大手企業の場合
まずは、クライアントが大手企業の場合について考えてみましょう。どのようなお客様がコンサルタントおよびサービスを必要としているのでしょうか?
通常大手企業は経営リソース(人・物・金・情報)が潤沢にあるので、『離職率の高さ』、『低い労働生産性』、『実行力の欠如』など、一般的な問題にはすでに対処されているか、または対処可能と思います。
よって、大手企業が経営戦略コンサルタントに相談・依頼するとなりますと、あらかじめ自社で問題や課題を具体的に絞り込んでおり、自分たちでそれら課題解決に取り組んだが、結果容易に解決できなかった事案が多いと想像します。優秀な人材を揃えている大企業が依頼する程ですから、当然依頼先も優秀な人材を数多く揃えている大手の戦略コンサルティングファームになるはずです。
以前も少し言及しましたが、昨今のニュースを見ますと、DX人材の育成に多くの大手企業が力を入れている(つまりニーズも需要もある)ようです。しかし、いくら大手とは言え、幅広いスキルを教えられる講師や教材を自社だけで準備する事は不可能ですので、リソースが揃っているコンサルティング会社が裏で支援しているケースはやはり多いと思います。
また、最初からクライアントの課題が明確ですと、「他社での事例を参考に、迅速に自社での課題解決の方法を考え出してもらいたい」という顧客ニーズも結構ありそうです。過去に携わってきた案件から、膨大なデータを蓄積しているはずなので、時間をかけてまで一からオリジナルな解決策を考え出してもらいたい、というクライアントは相対的に少ない気がいたします。
いずれにしても、これらは個人コンサルタントの私には、質・量とも提供不可能なサービス内容ですし、そもそも方向性からして異なります。個人的には、大手の戦略コンサルティングファームがどのような仕事をしているかには興味がありますが、(現実に実行できない以上)あまり真似しようとは思わないです。
2-1-1.経営戦略コンサルタントを必要とする大手企業のお客様とは?
今までの内容から、経営戦略コンサルタントを必要とするお客様についてまとめますと、クライアントが大手企業の場合は、仕事依頼のほとんどが同じ大手の戦略コンサルティングファームへ行くはずです。
依頼先を選ぶ際の判断材料・項目として、主に企業ブランド、口コミ(コネを含む)、過去の仕事の実績、取引慣習、得意としている分野、サービス内容、価格などを重視していると考えられます。ただし、過去の仕事の実績については、コンサルティングファームは守秘義務がありますので、そこで働いている人たち以外には普通分かりません。したがいまして、安心してファームに仕事を任せられるかどうか、信用があるかどうかについては、多くのクライアント企業はブランドおよび口コミから過去の実績を類推し、依頼可否の判断をしているのではないかと考えます。
例えば、初めて大手のクライアント企業が仕事をコンサルティングファームへ依頼するケースを想像してみます。おそらく、最初のきっかけのほとんどは、仕事の取引先からの口コミ(紹介)を介してじゃないかと思います。そこで、そのコンサルティングファームがクライアントの課題解決に繋がるノウハウを保有しており、かつブランド力があって信用できそう(何回かの会合・会食を通して)と分かれば、後はプロジェクトのスケジュールや価格を考慮して、仕事を依頼するかどうかを決めているのではと考えます。この過程で、政治的・外交的要因も絡んできそうですが、自分が関わる世界ではない気がするので、正直イメージできません。
あと何となくですが、日本企業は一度仕事を依頼するコンサルティングファームを決めてしまうと、(情報保護の観点などもあると思いますが)余程のことが無い限り、二回目以降も同じ会社に依頼し続けるイメージがあります。なぜそのように思うかと言いますと、ニュースで紹介されるコンサルティングファームは、大体有名大手ですし、中小の名前をほとんど見た事がないので、日本のコンサルティング市場は大手が独占しているのかなと感じました。
海外ですと、クライアント企業がいくつかのコンサルティングファームに仕事のオファーを出し、それぞれのプレゼン提案を比較検討した後、依頼先を決めることが多いようですね。書籍出版元のFIRMSconsulting様も、過去に他の大手ファームと一緒にクライアント企業へプレゼン提案を行ったことがあるそうです。
2-2.クライアントが中小企業の場合
次に、クライアントが中小企業の場合を考えてみます。どのようなお客様がコンサルタントおよびサービスを必要としているのでしょうか?
中小企業は経営リソースが不足しているケースも多いので、仮に問題の存在や原因がどこにあるかを認識・自覚していても、現実に対処困難な事も多いと思います。例えば大手企業同様、『必要なスキルを持った人材の不足』は中小企業でも深刻なはずですが、現実には人材育成等の対応は遅れているように見えます。他に取り組むべき本業での優先事項があるからでしょう。
このように考えますと、優先的に解決すべき課題に対し、必要とする専門技能はすでにお客様の方で判断されていると思いますので、その分野に精通したスペシャリストの顧客ニーズは大きいと考えられます。逆に、中小企業が経営戦略コンサルタントを必要とするケースは、(他に優先度の高い問題があるので)大手企業ほどの顧客ニーズは存在しないと考えられます。
一応追記しますと、これはお客様から見てのニーズが少ないという事であって、実際に経営戦略コンサルタントが中小企業の問題解決に役立たない(貢献できない)という意味ではありません。プロの観点からやれることは沢山あります。ただし、お客様から見ますと、サービス内容が形や結果として見えづらいため、外部の人間に何が出来るのか、本当にお金を支払うだけの価値があるのか、という事になるのだと思います。それが、以前書いたコラム『経営戦略コンサルタントを取り巻く現状について考察』での、5つ目の見出し、『職業としてのネガティブなイメージ』に繋がっているのかなと感じました。
私のような経営戦略コンサルタントを十二分に活用するために、個人的な考えを書かせていただきますと、お客様が具体的な課題解決に取り組み始める前に、一度抱えている問題の洗い出しを一緒に出来るといいのかなと感じています。その方が全体を俯瞰する事に長けた、戦略家としての本領を発揮できるからです。そこを起点としまして、他に優先した方が良い課題が新たに見つかるかもしれませんし、並行して複数の課題に取り組む必要があると分かった場合は、経営リソースの配分など、視野を拡げての支援も可能になってきます。一度プロジェクトが始まってしまいますと、その後で新たな問題を見つけても、人間関係などもあって軌道修正が難しく、結果対症療法のみで、そのまま計画を進めざるを得ないケースを過去何度か見てきました。皆さまもご経験があるのではないでしょうか?何事も最初の土台作りが肝心と思います。
もう少し具体的に、例えば「ECサイトを立ち上げたい」というお客様がいらっしゃったケースを考えてみましょう。おそらく、ほとんどの中小企業の皆さまは、まず同じ中小規模のサイト制作会社またはプロのウェブデザイナーにお仕事のご相談・ご依頼をされると思います。
サイトを立ち上げる事自体が目的でしたらそれで良いのですが、仮に「(売上を増やすために)ECサイトを立ち上げたい」という場合は、ちょっと注意する必要があります。その場合は、担当されるウェブデザイナーの方に、ネットショップ系のサイトを立ち上げた事があるかどうかを、一度確認された方が良いかもしれません。
さらに、お客様がなぜ売上を増やしたいのか、その理由も時に重要になる場合があります。経営が黒字だから設備投資をしてでも売上を増やしたいのか、それとも逆に赤字だから売上をすぐにでも増やしたいのとでは、取るべき対応や戦略も当然のことながら異なってきます。このように見ていきますと、経営戦略に基づくネットショップの構築が、いかに重要かを分かっていただけるかと思います。さらに、黒字や赤字だった場合の理由も深堀できると良いですが、どこまで話していただけるかはお客様次第となります。
仮に赤字だった場合を考えてみますと、サイト構築自体は問題なく出来ても、運用を開始してから一定の売上が生じるまでには時間と根気が必要(赤字のため広告費がかけられない)なので、売上を急いで増やしたいという目的には本来ECサイトの構築は向きません。つまりこの場合、『ECサイトを立ち上げる』というお客様の依頼自体は解決できても、『赤字だから売上を急いで増やしたい』という大元の問題(悩み)は解決が難しいという事になります。
プロのウェブデザイナーの方は、依頼されたサイトを要件通り構築することがお仕事なので、クライアントの本来の目的である、すぐ売上に繋がるかどうかについては、お客様ご自身で実現可能性を検証・確認しておく必要があります。(このような時に、前段でもご紹介した学習支援ツールの財務予測モデルが役立ちます)
私が対応するとしたら、『財務状況はどうなっているのか?』、『赤字の原因が何なのか?』『売上を急いで増やすためにはどうすれば良いか?』、『ECサイトの将来性は?』、そしてそもそも『ECサイトを構築すべきか?』という点を重点的にまず見ていくと思います。
以上のように、このケースですと、プロのウェブデザイナーと経営戦略コンサルタントが、最初から一緒にチームとしてプロジェクトを進められると理想的ですね。
2-2-1.経営戦略コンサルタントを必要とする中小企業のお客様とは?
今までの内容から、経営戦略コンサルタントを必要とするお客様についてまとめますと、クライアントが中小企業の場合、仕事依頼のほとんどが同じ中小の戦略コンサルティングファームか、またはプロの個人コンサルタントに行くはずです。
ただ、中小企業と言っても従業員数が数十人から数百人規模とピンキリになりますので、ここでは二つに分けて考えるのが現実的となります。従業員数が数百人規模の場合、ある程度実績やブランド力のある、中小の戦略コンサルティングファームへ仕事を依頼するケースが多いと思います。一方、従業員数が30人以下のクライアント企業の場合は、課題解決の難易度や費用も考慮して、個人の経営戦略コンサルタントに仕事を依頼するケースがほとんどになると思います。
ちなみに、私が社員として働いていた会社は、中小企業としては比較的規模が小さい部類(業界では大きな方でしたが)に入ります。よって、中小のコンサルティングファームに仕事を相談・依頼したケースも何件かありましたけれど、多くのプロジェクトでは、個人コンサルタントの方と一緒に仕事をしました。
クライアントが依頼先を選ぶ際の判断材料・項目として、まずは自社の課題解決に寄与するサービス内容となっているかどうか、専門技能を持っているかどうかを確認し、その上で口コミ・仕事の実績・企業ブランドなどの情報を、ファーム選択時の参考とするはずです。そして、最終的に重要な判断材料となるのが、コンサルティング料金となります。いくら信用があってサービス内容が素晴らしくても、(今の日本の現状を考えますと)提示される料金にはどうしても敏感にならざるを得ないでしょう。
こちらも大手同様、コンサルティングファームの過去の実績については、守秘義務がある以上、お客様側では通常分かりません。私の個人的な経験則では、一般的に経営リソースに制約がある中小のコンサルティングファームを選ぶ際は、口コミやレビューだけで判断するのではなく、サービス内容や得意な分野などを確認した上で、詳しくはお問い合わせをしてみるのが良いと思います。その受け答えの内容やご自身の直感から、実際に会うかどうかを決めても良いでしょう。
お客様からしますと、コンサルタントやファーム選びに失敗したくないという思いから、第三者のレビューなどを多く参考にされると思いますが、それはサービスを提供する側も重々承知していますので、一応ご留意ください。何が真実か分からない時は、私は自分の心や洞察を信じることにしています。
2-3.クライアントが個人事業主の場合
そして、クライアントが個人事業主のケースです。どのようなお客様がコンサルタントおよびサービスを必要としているのでしょうか?
基本的に、個人事業主は少人数で働くため常に人手不足でしょうし、仮に人を雇うにしても一時雇用が多いと思うので、離職率も高いはずです。仕事を掛け持ちするマルチタスクの常態化は、労働生産性を低下させているかもしれません。そして、売上や利益を出し続けるために自転車操業の状態ですと、創造性・独創性・リーダーシップを学んで発揮できる時間的・金銭的余裕はない可能性があります。さらに個人事業主特有の問題として、病気や怪我があります。体を動かせなくなれば、売上がゼロになりますから深刻です。こう考えますと、個人事業主はいろんな事を考慮しないといけないと分かります。
ここで疑問として浮かぶのが、以上の問題を解決するために、私のような経営戦略コンサルタントは何かできますでしょうか?
残念ながら、経営戦略のサービスを提供しても、大した付加価値をお届けすることができそうにありません。おそらく、専門に特化されたコンサルタント(つまりスペシャリスト)の方であれば、「○○の課題を解決するためには、どうしても○○専門家の支援が必要」とお客様が判断された時に、一定のニーズや需要が生まれるかもしれません。他には、現場の仕事を代行するサービスであれば、少なくともニーズ自体は結構ありそうですね。
このように、お客様が企業の場合と比較して、個人事業主となりますと、抱えている問題は似ていても、そこから導き出されるニーズや需要は異なる可能性があります。かけられる費用や人手が大きく制約される以上、解決のアプローチは必然的に異ならざるを得ないからです。
では、他に経営戦略コンサルタントとしての顧客ニーズはないのでしょうか?切り口を変えて、もう少し深堀してみましょう。
2-3-1.経営戦略コンサルタントを必要とする個人事業主のお客様とは?
一般的なビジネス上の問題、例えば売上増・コスト削減・持続可能なキャッシュフロー管理などで、事業分析の知識が必要になった場合、個人事業主の方はおそらく、書籍等を購入してご自身で学ばれよう(解決されよう)とする方が多いはずです。そのため、書籍購入のニーズや需要はかなり大きいと思われます。現に沢山の関連本が販売されていますし。
しかし、それでも分からない箇所があった場合、そこで初めてビジネスのプロに相談するニーズが生じるかもしれません。ただ、事業分析の方法を学ぶためだけに、経営または財務コンサルタントへご相談に行くでしょうか?主に費用面で現実的ではありませんので、私はそれをイメージできません。
そう考えますと、コンサルタントやコンサルティングサービスには依然として顧客ニーズは無いかもしれませんが、クライアントご自身で課題解決できるスキルを、習得するためのビジネスサービスでしたら顧客ニーズがありそうです。
つまり、個人事業主の方にとって経営戦略コンサルティングサービスには需要が無くとも、ビジネスコーチングまたはオンライン研修サービスには一定の需要がある(かもしれない)と考えられます。
ここで補足として、経営戦略コンサルティングとビジネスコーチングでは、それぞれ名称は異なっても、必要となるスキルは重複しているように私は見えます。そのため、経営コンサルタントとして優秀な方は、大抵ビジネスコーチとしても優秀でしょうし、おそらくその逆も真だと思います。
よって、もし個人事業主の方にサービスを提供する際は、私はビジネスコーチとして、クライアントご自身で課題解決できるスキルを身につけていただけるよう、学習サポートすれば良い事になります。
次回のコラムでは、ここでの考察をベースに、ビジネスコーチングまたはオンライン研修サービスを、お客様である個人事業主に提供する前提で、仮説を立てたいと思います。
2-4.クライアントが会社員などビジネスパーソンの場合
次は、クライアントが会社員などのケースです。どのようなお客様がコンサルタントおよびサービスを必要としているのでしょうか?
こちらも個人事業主がクライアントのケースと同様、抱えている問題は似ていても、そこから導きだされる顧客ニーズは異なる可能性があります。かけられる費用や時間も、同じように大きく制約されるでしょう。
2-4-1.経営戦略コンサルタントを必要とする会社員のお客様とは?
まず大前提として、会社員の方がご自身の仕事における課題解決のために、経営戦略コンサルタントに相談・依頼する事は考えられません。では、ニーズや需要は全くないのかと言いますと、必ずしもそうとは言い切れません。例えば、経営者や上司の右腕として、キャリアアップのためにご自身で課題解決するための、スキル習得サービスには顧客ニーズがありそうです。
つまり、個人事業主の場合と同様、経営戦略コンサルティングサービスそのものには需要が無くとも、ビジネスコーチングまたはオンライン研修サービスには需要がある(かもしれない)と考えられます。
ただし、クライアントが個人事業主のケースと、会社員のケースとでは異なる部分も出てきます。例えば、潜在的な顧客数と顧客単価でしょうか。潜在の顧客数について言えば、人数的には会社員の方がはるかに多く、市場パイが大きいので、ビジネスとしては有望そうに見えます。しかし一方で、会社員がお客様の場合、あまり高い価格を提示しづらいため、全体の市場規模は思っているほど大きくはないかもしれません。また、顧客単価が低くなれば、コーチングスタイルを変える(例えば自習をメインとし、苦手な部分だけ集中サポートを行うなど)必要も出てきます。それと、サービスを依頼していただける頻度も、個人事業主と会社員の場合とでは、異なる可能性があります。
以上のように、市場規模または売上にインパクト(影響)を与えるパラメータがいくつか存在しそうです。
次回のコラムでは、ここでの考察をベースに、個人の経営戦略コンサルタントがお客様である会社員に向けて、ビジネスコーチングまたはオンライン研修サービスを提供する前提で、仮説を立ててみたいと思います。
以上、ここまでの段落では、クライアントを大手企業・中小企業・個人事業主・会社員と暫定的に分け、それぞれでどんな経営戦略コンサルタントおよびサービスを必要としているかについて考えてみました。
2-5.漸コンサルティングのお客様とは?
最後に、当方で提供しているサービスや製品についてまとめたいと思います。経営戦略コンサルティングサービスは中小企業向け、そしてビジネスコーチングサービスは個人事業主・会社員向けとなっており、お客様についての方針が、本コラムでご説明してきた内容に沿っていることが分かると思います。
一つ目の経営戦略コンサルティングサービスでは、主に中小企業のお客様へ、『国際ビジネス』・『財務分析』・『経営戦略』に特化した、地域密着型によるテーラーメードなサービスをご提供しています。
補足:テーラーメードなサービスとは、特定のお客様のためだけに、一から設計・構築するビジネスサービスの事を言います。
もう一方の財務予測モデル製品では、『国際ビジネス』・『財務分析』の包括的スキル習得を目的とし、主に個人事業主および会社員向けに汎用の学習支援ツールとして開発、現在ネットで販売しています。さらにオプションとして、メールによるビジネスコーチングサービスもご提供しています。
補足:当方ではZoomなどによる、オンラインのリアルタイムコーチングサービスは提供しておりません。メールサポートとしている理由は、その方がお客様のご質問をしっかり受け止め、丁寧にお答えする事ができるからです。
3.まとめ
以上となります。いかがでしたでしょうか?
本コラムでは、キークエスチョンである『経営戦略コンサルタントを必要とするお客様とは?』について考察を始める前に、まずは基本となる顧客ニーズと市場需要の定義、そしてそれらの関係性についてご説明しました。そして、前回のコラムで洗い出した事業者やビジネスパーソンが抱えている問題(悩み)を参考にしつつ、経営戦略コンサルタントを必要とするお客様について、クライアントを大手企業・中小企業・個人事業主・会社員と分け、それぞれの場合について考察いたしました。
前回の小話(ホームページの方に掲載しています)にも書きましたが、私は実績がまだ少なく、自らの経験に基づいてお客様の傾向を書けなかったので、切り口(発想)を変えて、お客様視点での多角的な考察を今回試みています。
結果として、キークエスチョンに正しく答える事ができていましたでしょうか?自分ではちゃんと答えているつもりでも、実際には答えになっていないという事もままありますので、今回はちょっと難易度が高いと感じました。自分もまだまだ未熟です。
次回のコラムでは、ここでの内容を基本に、仮説を構築し、さらに仮説検証の一環として、顧客別の市場規模(需要)も試算してみます。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
ホームページでは本コラムの小話もご紹介していますので、よろしければそちらもご覧ください。