遺産の分け方の5つのヒント
相続人に行方が分からない人がいる場合
遺産分割協議は相続人全員が合意しないと成立しませんが、相続人の中に行方の分からない人(不在者)がいる場合どうすれば良いのでしょうか
まずは、親戚や友人・知人に確認してみましょう。
働いていたことがあれば、その会社の人に聞いてみるのもいいでしょう。
それでも手掛かりがつかめないときは、行方が分からない人の本籍地の市区町村役場で「戸籍の附票」を請求して、どこに住所登録をしているのか確認する、という方法もあります。
これらのことを試してみても行方が分からないような場合には、下記の二つの方法を検討しましょう。
戸籍の附票(ふひょう)とは?
戸籍の附票は、住所の移転を記録した書類で、本籍地で戸籍とともに管理されているものです。
戸籍の附票には、本籍・筆頭者のほか、その戸籍にいる人の住所の異動が記録されています。
転居や転入など住所の異動をされると、住民票の担当部署から本籍地へ通知が行き、本籍地で附票の情報を更新する仕組みになっています。
対策その1:不在者財産管理人を選任する
相続人の中に所在が不明で連絡がつかない人がいる場合には、他の相続人が行方不明者のために、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任の申立をすることができます。
不在者財産管理人は行方不明者(不在者)の財産目録を作成し、それを保管・管理する権限の他に、家庭裁判所の許可を得て、他の相続人と遺産分割の協議をすることができます
ただし、この場合の遺産分割協議の内容は、基本的に行方不明者(不在者)の法定相続分を確保した内容でなければなりません
対策その2:失踪宣告を申し立てる
失踪宣告の手続きは、連絡のつかない相続人の生死が7年(地震や津波、山や海での遭難などで生死が不明な場合は1年)間不明な場合に、他の相続人などの利害関係人が、家庭裁判所に請求して行うことができます。
失踪宣告は、「普通失踪」と「危難(特別)失踪」の2種類があります。
普通失踪
行方不明になった人が、7年間生死が明らかでないとき
危難(特別)失踪
飛行機事故や海難事故で生死が不明な場合、または、地震などの天災に巻き込まれて生死が不明になったような場合に、その事故などが終わってから1年間生死が明らかでないとき
失踪が宣告されるとどうなるの?
失踪が宣告されるとその人は死亡したものとして扱われ、戸籍にも失踪宣告について記載されます。
戸籍上死亡したことになりますので、遺産分割協議から外され、残りの相続人のみで遺産分割協議を行うことができるようになります
ただし、その人に子供がいて「代襲相続」ができる場合は、その子供が遺産分割協議に参加します
そして同時に失踪宣告を受けた人についても相続が開始されることになります。
なお、失踪宣告の手続きは、手続き期間が1年以上必要になることが考えられますので注意して下さい。