社員が「つまらない職場」と感じる理由はコレだ

小野由樹子

小野由樹子

テーマ:部下から信頼されるコミュニケーション

働く人であれば、誰もが一度はモチベーションが下がったことがあるでしょう。なかでも、職場に対するネガティブな感情は、一度湧き上がってくると、なかなか解消できません。

これは離職にもつながるため、経営者の方にとっては大きなリスクの一つです。今回のコラムでは、社員から「つまらない職場」との烙印を押されてしまう理由についてお話しします。

自分で選んで決めた職場なのに仕事がおもしろくないと感じる理由

企業の経営者にとって大きな懸念となるのは、「社員が抱く職場への不満」です。

すべての社員の要求を100%満たすパーフェクトな職場は、おそらくないと思いますが、会社への不満をなるべく最小限に抑え、不満があった場合はその解消に最大限努めたいと考えているでしょう。

では、社員が「つまらない職場だ」と感じてしまう理由をいくつかご紹介します。

【やりたい仕事ではない】
「仕事がつまらない」と感じてしまう最も大きな理由は、「自分がやりたい仕事ではない」ということではないでしょうか。

たとえば、企画やマーケティングがやりたくて入社したのに、品質管理関係の部署に配属されてしまった場合、本人のモチベーションは大きく下がってしまうでしょう。

会社が本人のキャリアビジョン実現のために必要なステップとして組み込み、それを本人も納得している場合は問題ないでしょう。しかし、納得してもらうためには合意が得られるようにしっかりと説明する必要があります。

本人との対話なしに会社の都合だけで、希望しない配属先を押し付けることでひずみが生じます。求人広告や採用ページ上では、希望配属先にならない可能性がある場合は、その旨を記載するのが誠実です。

【思うように結果を出すことができない】
入社前にある程度、仕事内容や職場環境をイメージしていたが、想像以上に仕事が難しいという場合もあるでしょう。

とくに営業や技術職などの場合、会社が異なれば求められる技能が異なるということは珍しくありません。職種経験があっても、入社した会社の業種経験がないことで戸惑いを感じてしまうケースは少なくありません。ましてや、職種未経験歓迎の求人には、応募が集まりやすいですが、こういった「入ってみたら、まったく自分に合っていなかった」といった齟齬が起こりやすいので注意が必要です。

未経験歓迎の求人を行う場合には、本人のポテンシャルの見極めを十分に行うと共に、本人の成長を促進するフォローアップ体制をしっかりと構築することが大切です。

【仕事が自分のレベルに合っていない】
仕事が難しくて結果を出すことができないがために苦痛を感じる場合もあれば、その逆のケースもあります。

仕事内容が自分には簡単すぎるため、日々の業務に成長を感じることができず、慢性的にモチベーションダウンを引き起こしてしまうケースです。

これは本人の能力が高いがために起こる齟齬であるため、必ずしもネガティブなものではないかもしれません。

仕事自体へのモチベーションがわいてこなくても、地道に仕事をがんばっていれば、昇進・昇給の機会に恵まれることもあるでしょう。

しかし、本人の能力に見合った仕事を与えない場合、より成長できる職場への転職を招いてしまう可能性があります。優秀な社員に対しては、本人の能力などに応じてしかるべき仕事に就いてもらえるように配置していくことが大切です。

会社と社員の間のミスマッチを解消するには

社員が「仕事をつまらない」と感じるのは、「ミスマッチ」が原因です。会社と社員の間で十分に対話が行われていないことに起因するミスマッチが発端となって、モチベーションが下がり、職場にネガティブな感情を抱かせてしまうのです。

ご自身の会社のWebサイトの採用ページでは、取り扱っている商品やサービス内容、求人職種だけではなく、自社の経営ビジョンや社風、アイデンティティー、求められる資質、評価される社員の特徴、ワークライフバランスの充実度などについて、しっかりと伝えることができているでしょうか。

仕事を探している求職者にとって頼りになるのは企業のWebサイトと求人広告のみです。それらWeb上の情報をもとに、エントリーしたあとは、面接や面談など限られた機会から、入社するか否かを判断しなければなりません。

採用ページには、自社で求めている人材の特徴や、会社の雰囲気などをテキストや写真などを用いて、丁寧に描き出すことを心がけましょう。

そして、入社前の面談では、人事担当者のみならず付き合いのある社労士に同席を依頼して就業規則としてポイントになることを説明したり、配属予定の直属の上司や同僚と事前に顔合わせをしておいたりたり、ざっくばらんな質疑応答の時間を設けたりといった具合に、疑問点や不明点を最大限取り除いておくことが大切です。その上で、入社を判断してもらうのがベストです。

一つひとつのプロセスを怠らない努力が、入社後のミスマッチ(=職場への不満、つまらないと感じるネガティブなモチベーション)の軽減につながります。

本人のキャリアビジョンを把握したり、本人が最大限パフォーマンスを発揮できる仕事が何なのかじっくり話し合ったり、継続的なフォローも必要です。少子高齢化のなかで、“超売り手市場”である日本。求職者から選ばれ続けるための対策に力を注いでいきましょう。

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小野由樹子
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小野由樹子(キャリアコンサルタント)

株式会社キャリアアシスト

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