この秋に気をつけたい子どもの感染症
歌手の絢香さんなど、多くの芸能人やスポーツ選手が「バセドウ病」を克服して活躍していますが、そもそもどのような病気なのでしょうか?
バセドウ病とは、健常な人では見られない抗体(TSH受容体抗体)が体の中に産生され、それが甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される自己免疫性疾患と考えられています。しかし、本当の原因はわかっていません。発病年齢は、20歳代と30歳代が全体の過半数を占め、女性に多いと言われています。
甲状腺の腫大、頻脈、眼球突出の3つが典型的な症状
腫大した甲状腺から過剰に分泌された甲状腺ホルモンによる症状と、バセドウ眼症などの甲状腺外の症状を特徴とします。甲状腺の腫大、頻脈、眼球突出の3つが典型的なバセドウ病の症状ですが、このすべてがそろうとは限りません。そのほか甲状腺機能亢進症の症状として、動悸や不整脈(心房細動)、息切れ、多汗、体重減少などがあります。この時期に運動をすると、苦しくなることがあります。
診断として、甲状腺ホルモン(freeT4)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、TSH受容体抗体 (TRAb)の測定が重要です。バセドウ病では、freeT4が高い値に、TSHが測定できないくらい低い値になります。TRAb はバセドウ病でも10%くらいは陰性となります。甲状腺エコーも、ほかの疾患の鑑別のために施行します。
まずは甲状腺機能亢進症状を和らげる治療を
バセドウ病の治療は、まず甲状腺機能亢(こう)進症状を和らげることです。血液中に増えた甲状腺ホルモンを下げることにより、自然に甲状腺機能亢進症状も軽快します。甲状腺ホルモンの産生を抑える抗甲状腺剤を内服していれば、血液中の甲状腺ホルモン量も下がってきます。甲状腺機能亢進症状も2週間目くらいから少しずつ良くなりはじめ、1~2カ月でかなり改善するでしょう。
甲状腺ホルモンの量が正常まで下がって症状が落ち着けば甲状腺機能亢進症状も消失し、運動制限も特になく、健康なときと同じような生活が過ごせます。甲状腺機能が安定すれば薬の量も減りますが、抗甲状腺剤による治療は2年位かかります。
放射性ヨードを使ったアイソトープ療法や手術という選択肢も
ほかの治療法の一つに、放射性ヨードを使った「アイソトープ療法」という治療があります。この治療は、1回の放射性ヨードのカプセルの内服で終わり、効果も確実な治療です。放射性ヨードのカプセルを内服すると、放射性ヨードが甲状腺に集まり、甲状腺の組織を破壊。甲状腺も小さくなり、甲状腺ホルモンを産生させる力が弱まります。ただ、欠点は将来的に甲状腺機能低下症になる率が高いことです。不足した甲状腺ホルモンを「甲状腺ホルモン剤」で補わなければいけなくなるかもしれません。また、手術という選択もあります。短時間で治るという利点はありますが、こちらも将来的に甲状腺機能低下症になるリスクもあります。
バセドウ病は比較的予後の良い病気ですが、頻脈を放置すると心不全となることもありますので、気になったら早目に医療機関受診をしてください。