太ってなくても要注意 死を招く睡眠時無呼吸症候群
発熱、咽頭痛、頭痛で始まる急性肝炎。風邪と間違いやすい
有名人も感染「急性肝炎」の予防と治療法タレントの上沼恵美子さん、村上ショージさんが急性肝炎で入院。休養を余儀なくされました。
急性肝炎とは、主に肝炎ウイルスの感染が原因で起きる急性の肝機能障害による病気です。わが国で問題となる肝炎ウイルスには、A,B,C,Eの4種類があります。急性肝炎は感冒様症状(発熱、咽頭痛、頭痛)で始まることが多く、風邪と間違えられることも少なくありません。実際、この時点で急性肝炎の診断をすることは困難です。肝障害が生じていることを示す特異的症状は「黄疸」であり、通常は、眼球の色や皮膚の黄染が出現する数日前から、コーヒーを薄めたような色の褐色尿が観察されます。また、黄疸出現とほぼ同じ時期に、食欲不振、全身倦怠感、嘔気、嘔吐などの症状が出現します。
飲み物や食べ物によって感染するA型とE型。ワクチン接種を
A型肝炎、E型肝炎は食べ物によって感染します。A型肝炎ウイルスは伝染力が強く、感染初期の患者さんの糞便中に大量に排泄され、これによって汚染した水、食物を介して感染します。感染により約1か月後に急性肝炎を生じますが、一過性であり慢性化することはなく、感染後は免疫がつくため再感染することはありません。
E型肝炎も同様に汚染した水、食物の摂取によって感染し、一過性で慢性化しないこともA型と同様です。しかし、他の肝炎ウイルスがヒトと霊長類のみに感染するのに対して、E型肝炎ウイルスは鹿、イノシシ、豚など多くの動物に感染します。したがって感染している動物を生食した場合に感染することがあります。
途上国などへの渡航の際には、予防のためあらかじめワクチン接種をお勧めします。
肝硬変、肝がんへと進むB型とC型。薬剤の組み合わせで治療可能
B型肝炎、C型肝炎は血液を介して感染します。以前、B型肝炎ウイルス感染は母子感染が多かったですが、1985年から始まった母子感染防止事業により母子感染の率は激減しました。また、母子感染した新生児はほとんどすべてがウイルスを持った状態で生活(キャリア)し、多くは症状なく一生を過ごしますが、中には将来に肝硬変、肝がんを発症するケースもあります。また、B型肝炎ウイルスは性行為でも感染することがあります。この場合、1~2か月後に急性肝炎を発症します。1%程度が生命の危機にさらされる劇症肝炎となりますが、残りのほとんどは治癒し、免疫がつくため再感染することはありません。
しかし、最近では欧米型のウイルス(遺伝子型A)による急性肝炎が増加しており、これは10%の確率でキャリア化するため注意が必要です。ワクチンの投与で抗体を獲得すれば感染の危険性はなくなりますので、特に医療関係者や介護関係者はワクチン接種をお勧めします。
同様に、C型肝炎ウイルスも血液を介して感染します。以前は、輸血が主な感染経路でありました。感染すれば70%以上の確率でキャリア化し、多くは長い時を経て慢性肝炎、肝硬変、肝がんへと進んでいきます。日本の肝がんの約70%は、C型肝炎ウイルス感染が原因です。インターフェロンをはじめ、数種類の薬剤の組み合わせで、多くの場合、ウイルス排除が可能となってきました。
このように、ワクチン(A型、B型)による予防や、薬剤による治療が可能です。少しでも異変があれば、早目に医療機関を受診してください。