学力の差とは?~成績優秀な人はどうして優秀なのか(言語運用能力の面から)~
(前回では、自分が「知っている」レベルを浅くあいまいなものから、深く論理的で洞察的な知識へと深化していく「知識のインプット」という作業について簡単に触れました
今回では「知識のインプット」について、さらにくわしくみていきたいと思います。
「ものごとのとらえ方・考え方」を学ぶ
「知識のインプット(入力)」とは、別の角度から眺めれば、“「ものごとのとらえ方・考え方」を学ぶ”ことだと言うことができます。
ちょうど、将棋や囲碁、野球やハンドボール、サッカーといった様々なゲーム・スポーツがルールや定石・戦法をきちんと学ばないと上手にプレーできないのと同じです。
将棋を指すなら、将棋のコマの動かし方はもちろん定石・戦法などの知識を頭にインプットする必要がありますし、ルールや戦法といった知識を頭にインプットすることなく、野球やハンドボール、野球といったスポーツの試合を行うことも不可能です。
学問においても同様で、例えば、数学をできるようになるためには、そもそもさまざまな定義、公式や定理を深く理解していくこと、すなわちルールや戦法を覚え習得することが先決で、それをおろそかにして、問題が解ける、すなわち試合に出て勝利する、ということは無理な話でしょう。
英語でもそうで、英単語や文法を習得することなしに、英語の長文読解で高得点をとれるようにはならないですよね。
または意地悪く言えば、“自分流のとらえ方・考え方を捨て,すでに確立した考え方に服従する、洗脳される”というふうにもとらえることができるでしょう。特に、論理を構築して理解を深めていく際にこの側面がクローズ・アップされることが多く、自分流に固執しない柔軟な思考が求められます。もちろん多くの人は特にわだかまりを持つこともなく、素直に受け入れますので特に意識することはありません。
言葉(用語)の意味・定義を強く意識する
さて、中学生・高校生が「知識のインプット」をするにあたって、気をつけるべきたいへん重要なことがあります。それは言葉(用語)の意味・定義を強く意識することです。
単に「なんとなく知っている」という状態ではいつまでたっても学力アップは望めません。ここから脱却して「深く理解して精通している」というレベルに達しないといけません。これに必要なのが、常に立ち止まって「○○って何? どういうこと?」という疑問を持ち、きちんと自分で納得して説明できるようになるまで真正面から取り組むことです。
例えば、数学で「2次関数」の単元を勉強するにあたって、そもそも「関数」って何なの? という疑問を持ち、「関数」という言葉の定義について正しく理解することがたいへん重要ですし、数学や物理、化学などで、定理や公式を学ぶ際も、そもそもなぜそのような定理や公式が導かれてきたのか、ということに関心を持ち、この定理や公式は何を表しているのかということを理解しようという心構えが必要です。
英単語や古文単語を覚える際も、単なる平面的表面的な丸暗記ではなくて、単語のもつ全体的なイメージ、表す内容を例文や文脈などから立体的にとらえようとする心構えが大切です。
ひとつひとつの言葉が何を意味しているのか、何を表しているのかを常に意識して考えるようにしましょう。そして、それぞれの用語に与えられている定義を充分に理解するように努め、それをよりどころにして考えていくようにしましょう。
そのようにしていくと、自然とその教科における論理構造=学問体系を学ぶことにつながり、その学問体系による「ものごとのとらえ方・考え方」を身につけていくことにつながっていくのです。