「将来にわたる安心感」を提供する　雨漏り修理のプロ辻万寿夫

「将来にわたる安心感」を提供する　雨漏り修理のプロ

辻万寿夫

突然の雨漏りは「雨漏り救急隊」へ

酒蔵が多く点在する京都市伏見区。株式会社辻建材は、初代辻庄次郎が大正10年に東京で創業して、この地に来たのが昭和35年。以来、建物の防水・修繕一筋に、地域に密着した業務を心がけています。
「普段の生活ではなかなか雨漏りなどのトラブルは起こりません。よって皆さん関心が薄いためか発生したときにどこに相談したらいいかわからないという方が非常に多い。緊急のニーズに対応させていただきたいですね」
　話すのは、現在三代目を務める辻万寿夫さん。事務所がある同社の前には真っ赤な看板に「雨漏り救急隊」の文字が。派手な看板も、そんな緊急の事態で困っている人に気付いてほしいという願いが込められています。
　業務は文字通り、雨漏り修理を中心に防水・屋根工事、外壁塗装、雨漏りで浮いてしまったクロスの張替えなどにも対応します。
「塗装もただきれいにするのだけではなく防水という観念で下地処理を入念に行っています
ほかにもマンションなど大型施設の改修から公共事業、さらには京都の有名仏閣の雨漏りの補修工事に対応した経験も。
「六角堂という伽藍（がらん）の屋根になるのですが、お声をかけていただいて施工することになりました」
なかなか原因のわからなかった雨漏り。これを見事に解決し、貴重な建造物を守ることに成功しました。
また辻建材は防水工事以外にも、住宅リフォームなどの業務にも対応しています。
「防水工事を施工する過程で、お客さまからほかのトラブルについても相談されることがあります。そのことに対してなるべく応えていきたい。それは我々の仕事は『安心提供業』と考えているからです」

「雨漏り救急隊」の目的は“安心提供業”と“お客さま創り”です

辻建材の社員は辻さんと、弟の万佐人さん含めた家族4人。職人さんはいませんが、辻さんはそこが強みなんだと話します。
「職人さんを抱えていると対応できる業務にも制限ができてしまう。『このトラブル内容（規模）はウチの職人は対応できない』ということになることが多いのです。しかしあらゆる職人さんのネットワークがあれば、その業務に精通した職人さんを派遣すればいいので、どんな雨漏りにも必然的に対応できてしまうんです」
　先代の社長が培ってきた技術に加え、広い人脈が辻建材の要でもあるのです。

　辻さんは大学卒業後、証券会社に入社をしました。理由は人と接することが好きだから。辻さんは日々多くの人に出会い、営業活動をしていたそうです。
「いつも営業をするために行く大型ふとん店がありました。でもなかなか社長と会うことができず、お店の番をしている女性の社員さんが話を聞いてくれました。そんなことが続いたある日、その方が会社の窓口に来られたんです」
　女性は窓口で「辻さんの好きなようにして下さい」と自身のお金を置いていかれたそうです。辻さんの人への親身な接し方、そして人柄がうかがえるエピソードです。
やがて父の後を継いでこの職業に転職をした辻さん。
「証券会社から、なんで……？と聞かれる方も多いのですが、私にとっては接客するということでは何ら変わりはないと思っています。お客さまの声を聞き、全力で応えて喜んでいただけることが楽しいんです」

京都で一番信頼される防水工事会社を目指す！

辻さんの記憶には2010年に他界した、かつての父の姿が残っているそうです。
「いつも楽しそうに『今日はこんな現場で……』と母と話をよくしていました。その姿を見ていたせいか、三代目を継ぐことに抵抗どころか、自然なことでした」
　父の背中から学んだことは、「人の喜びを見て我が喜び」とすること。
「最初は不安の表情をしていたお客さまが、最後は笑顔で『ありがとう』と言ってくれる。この瞬間が一番うれしいですし、お客さまの喜びを感じることがとても大切だと思います」
　一人でも多くの人の笑顔が見たい。そして京都で一番お客さまから信頼してもらえる会社でありたい。
　24時間トラブルに対応できるようにしているのも、そんな辻さんの姿勢が込められているのです。

毎日の仕事だけでなくプライベートにも全力で取り組んでいる辻さんの様子が伺えるのが、同社のホームページとブログ。施工例から家族との思い出までを綴っている内容を見て、電話してくる依頼者も多いのだそうです。
「本当におこがましいんですが、『辻建材のファン』になってくれるお客さまを多く作りたいですね」
　基本的に業務対応地域は事務所のある伏見区から車で30分前後ということですが、広島などの業務にも対応したこともあるとか。辻建材の「ファン」のいる範囲はどんどん広がっているようです。

（取材年月:2019年1月）