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コラム

内職商法

2010年4月15日

コラムカテゴリ:法律関連


仕事を紹介、斡旋すると称して募集があるので応募したところ、まずは仕事をするためにはこのパソコンとソフトを購入してもらわないと困るということで、一定の基準まで達したら業務を紹介するなどとしてパソコンなどを売りつけるという手法の消費者被害もある。
もちろん仕事など紹介はなく、最終的には業者と連絡が取れなくなり手元には使い道のないパソコンと、クレジット契約だけが残るということになる。内職をして少しでも家計の足しにしようとした主婦などが狙われる。

 こうした販売契約は、販売されるパソコンを利用して、業務をあっせんすることによる利益を収受し得ることをもって、そうした主婦を販売契約に誘引したものだから、特定商取引に関する法律第51条でいうところの「業務提供誘引販売取引」に該当する。
 従って、クーリングオフ期間内はクーリングオフは可能ということになる。

 その一方、クレジット会社との間で締結した立替払契約書には、本件販売契約は、商行為となるため(本人の仕事に使うからという理由なのだろう)、クーリングオフ規定の適用はないとの印刷がされていることがある。
 しかしながら、販売契約締結時点では主婦は特段事業は営んでいないことから、商行為には該当しないことは明らかなので、このような記載は無意味だと私は考えている。

 そして、当該記載が有効であるとすると、業務提供誘引販売取引の場合にクーリングオフが全く適用できなくなってしまうもので、こうした記載は、クーリングオフに関する記載がされていないことと同視出来るものであるとも考えている。

 さらに言えば、このような記載は消費者の無知につけ込みクーリングオフが出来ないように妨害していると言えることもこれまた明らかであるから、本件においては、経済省省令46条の2第1項に基づくクーリングオフ妨害を解消するための書面が交付されるまでは、クーリングオフ期間は進行しないともいえるのである。
 こうした契約においては、クーリングオフを主張して、クレジット会社と戦うことが重要であるし、これらは消費者契約法で取り消すことも出来る契約なのである。

 いくつか交渉で、和解したケースがあるが、最終的にはクレジット会社は裁判が出されるのが嫌なようである。敗訴判決でも出れば困るのであろう。

この記事を書いたプロ

中隆志

被害者救済に取り組む法律のプロ

中隆志(中隆志法律事務所)

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