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民法(相続税法)の改正 ~配偶者短期居住権について~

2019年8月20日 公開 / 2021年1月8日更新

テーマ:民法(相続法)改正

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き相続税

 先の民法(相続税法)の改正では、配偶者の居住権に関して、新しく2つ創設がされております。
 そのうち、今回は「配偶者短期居住権」についてお伝え致します。

配偶者短期居住権とは

 配偶者短期居住権とは、被相続人の所有建物に居住していた配偶者について、その後の相続や遺贈(遺言)によって、その建物の所有者が第三者になった場合や、被相続人から、配偶者が居住する事について同意が得られないという状況であっても、最低6ヵ月間は、その建物に無償で居住する事を権利として認めたものです。

 民法では、次の様に規定しております。
・第1037条第1項
「配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、~その居住していた建物の所有権を相続又は遺贈で取得した者に対し、居住建物について無償で居住する権利を有する。~」
 
 配偶者が無償で居住出来る期間については、次の様に規定しております。
・配偶者を含む相続人間で協議をする場合(配偶者が相続放棄などをした場合を除く)
「相続の協議によってその建物の帰属が確定した日」、又は「相続開始から6ヶ月を経過した日」のいずれか遅い日
・それ以外の場合
「建物の所有権を取得した者から、配偶者短期居住権の消滅を申入れた日から6ヶ月経過後」

 また、この配偶者短期居住権が成立する為には、被相続人の相続開始時(亡くなった当時)に、配偶者が“無償”で居住していたことが要件となっていて、建物が被相続人単独所有ではなく、配偶者との共有であっても認められる、という事になっております。

配偶者が建物を使用するにあたって

 配偶者が建物を無償で使用するにあたっては、次の様に定めております。
・第1038条第1項
「配偶者は、従前の用法に従い、善良なる管理者の注意をもって、居住建物の使用をしなければならない。」
・同第2項
「配偶者は居住建物取得者の承諾を得なければ、第三者に居住建物の使用をさせることができない。」

 無償で居住する事が認められていても、自分の所有物ではありませんので、その使用にあたっては最低限の責任を求め、あくまで配偶者自身の居住に関する権利という事で、勝手に他の方へ使用させる事も認めておりません。
 これらに違反した場合は、次の第3項で「~居住建物の取得者は、~配偶者短期所有権を消滅させることができる。」と規定しております。

 これまで、建物所有者が亡くなった場合には、その配偶者に明確な「居住権」を認めた規定はありませんでしたが、被相続人と共に居住していた建物については、判例におきまして、被相続人と配偶者を含む相続人との間に、建物の「使用貸借契約」があったものと推定して、相続開始時から遺産分割までの間、居住する事が認められていました。

 その為、大きな変更という事ではないかと思われますが、建物が遺贈(遺言)により、第三者の所有になった場合には、その使用貸借の推定が認められないという事になりますので、その様な場合であっても、配偶者の居住が認められる形となりました。


 次回は、配偶者が居住権を取得する場合において、所有権よりも少ない価額での取得を認めた、「配偶者居住権」についてお伝え致します。
 よろしくお願い致します。
 
 

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