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「塾ジイのBAR」15 -過去問の点数に、一喜一憂する前に-

久保克己

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テーマ:過去問の活用方法

親にできるのは、管理よりも「環境づくり」

「いらっしゃい。おや、今夜は少しお疲れのようじゃな」
「こんばんは、マスター。いやあ、受験生の親ってのも、なかなか大変でね」
「ほう。まずは一杯、飲んで落ち着くとするかの」
「そうだな。いつものハイボールを頼むよ」
「かしこまりました。今夜はゆっくりしていくとええ」
「ありがとう。……ところでマスター、受験が近づいてきたし、そろそろ家でも過去問をやらせようと思ってるんだよ」
「ほう、それはええことじゃな」
「でもさ、過去問を解いたら、やっぱり点数が気になるよな。何点取れたかで、つい一喜一憂しちまいそうだ」
「親としては気になるじゃろうな。じゃが、点数ばかりに目を向けるのは、ちょっと待った方がええかもしれんぞ」
「点数を気にするな、ってことか?」
「いや、点数を見るなということではないんじゃ。点数は、今の力を知るための大切な情報じゃからな。ただし、その数字だけで、子どもの力や今後の可能性まで決めつけてはいかんのじゃよ」

過去問は、点数を出して終わりではない

「なるほどな。でも、点数が良ければ安心するし、悪ければ心配になるのが親ってもんだよ」
「それは無理もない。じゃが、過去問の目的は、点数を出すことだけではないんじゃ。どんな問題が解けて、どんな問題を間違えたのか。そこを確かめて、次の勉強につなげることが大切なんじゃよ」
「点数が悪くても、そこから何か見つけられればええわけか」
「そうじゃ。例えば、知っていたのに間違えた問題はないか。解き方が分からなかったのか、時間が足りなかったのか。同じ間違いでも、原因によって次にやることは変わってくるからのう」
「なるほどなあ。点数だけ見て『もっと頑張れ』じゃ、何を頑張ればええのか分からんもんな」
「そのとおりじゃ。大事なのは、点数に振り回されることではなく、点数の中身を見て次の一手を考えることなんじゃ」

時間管理も、本人の力に

「ところでマスター、過去問をやるとなると、時間の管理も大事だよな。親が時計を見て、残り時間を教えてやった方がええんかな?」
「本人が望むなら手伝ってもええが、時間管理も少しずつ自分でできるようにしたいもんじゃな」
「でも、時間を測るのにスマホを使うのはどうなんだ?」
「ボイスコラムでも話したが、時間を測るだけなら、スマホよりキッチンタイマーがおすすめじゃ。スマホは便利じゃが、通知が来たり、つい別のものを見たりすることもあるからのう」
「確かに。時間を確認するつもりが、いつの間にか別のことをしてたりするからな(笑)」
「便利な道具も使い方次第じゃ。本人が自分で時間を設定して取り組む。そういう習慣も、本番に向けた準備になるんじゃよ」
「なるほどな。親が時間を管理してやるんじゃなくて、自分で管理できるようにするわけか」
「そのとおりじゃ。親が何もかもしてやることが、支援とは限らんからのう」

親にできることは、環境づくり

「じゃあ、家で過去問をやるとき、親には何ができるんかな?」
「まずは、集中して取り組める環境を整えることじゃ。例えば、『過去問をやるときは、ひと声かけてくれたらええよ。テレビの音を小さくするし、できるだけ静かにしとくからな』。そんな声かけでも十分な支援になるんじゃ」
「ああ、それならできそうだ。うちのテレビ、けっこう音が大きいからな(笑)」
「それはお前さんの聴力が低いからじゃないのか? まあ、自分で気づいとるなら、話は早いのう(笑)。勉強を始めてから慌てるより、あらかじめ家族で相談しておくとええ」
「こっちも心の準備ができるわけだな」
「そうじゃ。勉強の内容や進め方まで細かく口を出すより、本人が集中できる時間と場所を用意してやる。それも立派な応援なんじゃよ。塾の自習室を利用するのも有効じゃ」

「何点だった?」の前に

「でも、過去問を解き終わったら、やっぱり『何点だった?』って聞きたくなるよな」
「聞くこと自体が悪いわけではない。ただ、本人が結果を気にしているときに、いきなり点数を尋ねると、プレッシャーになることもあるんじゃ」
「じゃあ、何て声をかければええんだ?」
「『お疲れさん。集中できたか?』『何か気になった問題はあったか?』『手伝えることはあるか?』。まずは、そんな言葉から始めてみたらどうじゃろう」
「点数を聞く前に、本人の様子を見るってことか」
「そうじゃ。点数が良かった日も、思うようにいかなかった日もある。そんなときこそ、点数だけで評価するのではなく、本人が次に進めるように支えてやることが大切なんじゃよ」
「親としては、心配だからこそ、あれこれ聞きたくなるんだけどな」
「その気持ちは分かる。しかし、心配することと、本人にプレッシャーをかけることは別じゃからのう」

家族も受験チームの一員

「なるほどなあ。親が問題を解けなくても、できることはあるんだな」
「もちろんじゃ。集中できる時間をつくる。時間管理は本人に任せる。疲れていれば、ひと息つかせる。結果が悪くて落ち込んでいたら、話を聞く。家族にできる支援はいろいろあるんじゃ」
「よし、まずはテレビの音量から見直すか。……いや、普段から少し下げといた方がええか(笑)」
「おお、それは家族みんなにええことかもしれんな(笑)。受験は本人が主役じゃ。じゃが、主役が力を出し切れるように支えるのも、チームの大切な役割なんじゃよ」
「マスター、今日はええ話を聞かせてもらったよ。ハイボールも、うまかった!」
「それは何よりじゃ。点数は大切じゃが、点数だけがすべてではない。数字に一喜一憂するだけで終わらず、そこから何を学び、次にどう生かすか。そして、本人が自分の力で受験に向かえるように支えること。家族もその視点を持って、応援してやってほしいもんじゃな」
「ありがとう、マスター。また寄らせてもらうよ」
「いつでも待っとるぞ。気をつけて帰るんじゃよ」

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