保証人とは連帯保証人のこと・・・?
不動産を売却する際、必ずその名義人(所有者)の売却同意が必要になりますが、保証人がついている場合は、保証人への売却同意は必要なのか・・・。
今日はこのあたりのことについてお話したと思います。
通常の不動産売却では、抵当権(担保)をとっている銀行の借金(住宅ローンなど)を全額返済しなければいけません。
その為、保証人には売却の同意は当然必要ないというのは、ご理解いただけるかと思います。
しかし、オーバーローン状態で売却できる任意売却では、借金が残る訳で、保証人にとっていくらで売却されるかが最大の関心事になってきます。
そうなると、保証人への売却同意が必要になってくるのでは・・・と思うものです。
しかし、必ず必要かというとそうではなく、金融機関によってその取扱いは異なります。
なぜ取扱いが異なるのか・・・
皆さんが住宅ローンを組まれる際、必ず銀行と金銭消費貸借契約というもの取り交わしています。
その契約書には、「担保保存義務免除特約」といって、債権者は保証人のことを気にすることなく自由に売却許可できるという内容のものが記載されています。
本来(民法504条)、銀行などの債権者は保証人に対して、担保にしている不動産をむやみに売却許可してはならず、担保を保存するという義務が課せられています。
しかし、『担保保存義務免除特約』によって、債権者は保証人に売却同意を得ることなく、自由に売却を許可することができるようになるのです。
ところが・・・。
過去にこんな裁判判例がでました。
<東京高裁S54.3.26>
『主債務者が保証を依頼するに際して、担保保存義務免除特約を了承しているかどうかの確認の措置をとらず、保証人としては、この特約によって責任が追及されることがあるということまで思い至らず、十分な担保があるものと信じ保証を承諾したものと推認されるときは、この特約は効力を認めることができない』
すなわち、担保保存義務免除特約があっても、保証人がしっかりその理解できていないと、その特約は認めないですよ。
よいうことです。
一方
<最高裁H2.4.12>
『債権者に担保等の変更時において故意・重過失がなく、担保保存義務免除特約の効力を主張することが信義則に反し、権利の濫用に該当するものとすべき特段の事情が無い場合は、債権者は免除特約の効力を主張することができる』と・・・。
というように、免除特約があっても、状況によってその効力は異なってくるということなのです。
それによって、保証人への売却同意のいる金融機関、いらない金融機関が生じるようになったのです。
この担保保存義務というのは債務者に課せられた義務ではなく、あくまで債権者に課せられた義務になります。
そのため、任意売却する際は、債権者から何頭がしらの指示があるということを知っておいてください。
なお、住宅金融支援機構では、連帯保証人の売却同意が必要になりますので、あらかじめ保証人の方には、ご説明をされておかれた方が良いかと思います。
以上、『オーバーローン売却・保証人の同意はいるのか・・・?』のお話しでした。
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