”訴訟ゼロ”経営を維持する秘訣
1 どんな手続きがあるのか
債務整理には、大きく分けて自己破産、任意整理、個人再生という3通りの方法があります。
自己破産は、裁判所に破産の申立てを行い、最終的に免責許可を得て借金をゼロにしてもらう手続きです。
税金など免責されない債務を除いて借金がなくなりますので、3つの手続きの中ではもっとも再スタートを切りやすい手続きと言えます。
ただし、換価できる価値のある財産を持っている場合は手放す必要があります。
任意整理は、債権者と交渉して返済額を減額してもらい、分割払いの合意をして返済していくという手続きです。
裁判所を通しませんので、手続きが簡易で、債権者と合意さえできれば財産を残して債務整理するということも可能です。
ただし、将来の利息をカットする程度の減額となるのが通例であり、借金の減額という意味ではそれほどのメリットがありません。
個人再生は、裁判所に申立てを行い、債務を大幅に減額(原則1/5程度)した返済計画を裁判所に認可してもらって、これを3年程度で分割して支払っていくという手続きです。
住宅ローンがある自宅を残したい場合は、自宅を残してする手続きも用意されています。
ただし、換価できる財産がある場合、その価値以上の金額を返済しなければなりません。
自宅を残したい場合は厳格な要件が定められています。
2 どの手続きを選べばよいか
債務整理は、経済的な再スタートのための手続きです。
その意味からは、自己破産ができるのであれば、自己破産を選択すべきでしょう。
自己破産をするには債務額が小さいとか、前に自己破産してから7年が経過していないとか、そのような事情がない限り、自己破産がベストです。
自己破産ができない場合で債務額が小さい場合は、任意整理を検討することになります。
将来の利息をカットした金額を3年程度の分割で支払えるかが一応の目安となります。
自己破産ができない場合で債務額が大きい場合は、個人再生を検討することになります。
前に破産してから7年が経過していない、住宅ローンのある自宅不動産を残したい、などの場合です。
債務額は原則1/5に圧縮されますが、持っている財産の価値以上の金額でなければなりません。
それを3年で返済できるかが一応の目安となります。
任意整理も個人再生も債務額は減額されますが、3年程度の分割返済の必要があります。
ぎりぎりの生活で何とか返済できるという計画では、ケガや病気で働けなくなると途端に破綻してしまいます。
そうなると自己破産せざるを得ず、それまで返済していたのはなんだったのかということになりかねません。
「破産」という言葉に抵抗があったり、残したい財産があったりするのは理解できることではあります。
しかし、そのために経済的な再スタートを切るという最大の目的を見失ってはならないでしょう。