”訴訟ゼロ”経営を維持する秘訣
1 自己破産は家族にバレるのか
「家族に内緒で自己破産をしたい。」
法律相談でこのような希望を口にされる方がいらっしゃいます。
家族であっても他人ですから、「家族」であるというだけで自己破産が知られることはありません。
弁護士に依頼して破産申し立てをすれば、裁判所とのやり取りはすべて弁護士が行いますし、裁判所からの書類も弁護士宛に届きます。
しかし、その「家族」がどういう状況にあるかによって、内緒にしておけない場合があります。
どういう場合に秘密にしておけないのでしょうか。
2 その家族と同居している場合
その家族と同居している場合には、秘密にしておくことは難しいと考えておいた方が無難です。
とくに家計が同一である家族の場合には難しくなります。
破産にあたっては財産の調査が必要ですが、そのような家族の一方が財産を管理していれば、知られてしまいます。
家計収支表を作成する段階で知られるかもしれません。
自宅を売却するとなると、絶対に知られてしまいます。
むしろ自己破産は、同居の家族、あるいは生計をともにする家族の協力を得てするものと、そういうふうに考えておかれたほうがいいでしょう。
3 その家族が借金の保証人である場合
債務者が破産すると、債権者は保証人に請求することになります。
そのための保証人です。
ですから、家族が保証人になっていると、債権者から請求がいきます。
これが、自己破産を知られるきっかけになります。
4 価値のある財産を持っている場合
破産手続きの中で換価される可能性のある自動車や保険などの財産がある場合、売却や解約することになります。
そのことで自己破産が知られてしまうおそれがあります。
5 家財をローンで買っている場合
自動車や家電などをローンで買っている場合、その所有権は債権に残されていることがほとんどです。
そのような場合、弁護士の受任通知を受け取った債権者は、所有権に基づいて自動車や家電を引き上げ、債権の一部に充てることになります。
これによって自己破産を知られる可能性があります。
6 家族の協力を得てリスタート!
家族に内緒で自己破産したいという思いは、理解できることではあります。
しかし、自己破産は恥ずべきことではなく、借金生活をリセットして経済的に再出発するというきわめて前向きなことです。
自己破産は、いっしょに生活している家族の協力を得てするもの、そんなふうに考えた方がよいのではないでしょうか。