個人様|相続・離婚

遺産の分割方法

1 遺産の分割方法が問題になる場合

もし遺産が預貯金と現金だけなら、預貯金をすべて解約し、全体の金額に相続分の割合を掛けて、各相続人で遺産をきれいに分けることができます。
このような場合、分割の割合が問題になることはあっても、分割の方法が問題になることはありません。

しかし遺産に不動産があると、そういうわけにはいきません。
まず、不動産は、相続分の割合をかけて各相続人に分配することができません。
そこで、例えば、遺産である不動産に住み続ける妻に相続させることにしたとします。
不動産は高価なので、妻は遺産をもらいすぎることになってしまいました。
そうなると、他の相続人に代償金を支払わなければなりません。
しかし、遺産の中に十分な現金や預金がなければ、代償金を支払うこともできません。

これが、遺産の分割方法が問題になるひとつの場面です。

2 遺産の分割方法のいろいろ

遺産の分割方法には、現物分割、換価分割、代償分割、共有分割の4つがあります。

現物分割とは、その名のとおり、相続財産の現物を各相続人に分ける方法です。
遺産として土地、建物、預貯金、株式がある場合、これらの現物を各相続人に分ける方法です。
各遺産を各相続人が単独相続しますので手続きが簡単で、これが原則的な分割方法になります。
しかし、現物を相続分に合致するように分けられる場合は多くありません。
ひとつの土地や建物を複数の相続人で分けるとなると、手続きがとても厄介です。

現物分割が困難な場合は、代償分割が行われます。
代償分割とは、相続人の一人がある遺産を単独で取得する代わりに、他の相続人に対して代償金を支払う方法です。
被相続人の妻が遺産のうち居住不動産を単独で相続し、その代わりに相続分を超えた金額を他の相続人に代償金として支払います。
代償分割は、被相続人の妻が遺産である家に住み続けるなどの事情がある場合に、これを実現するため、現物分割の代えて選ばれる方法です。
ただし注意点として、代償金の支払いが必要なため、多額の現金を用意しなければならないという点をあげることができます。
また、代償金の金額は不動産の評価に左右されますので、その点での争いが生じることにも注意が必要です。

代償金が支払えないとか、取得希望者がおらず代償分割もできない場合は、換価分割がされます。
換価分割とは、遺産を売却してお金に換え、そのお金を各相続人で分ける方法です。
不動産や株式などの遺産が現金になりますので、相続人間で分配しやすくなります。
また、不動産をいくらと見るのかという評価の争いが生じることもありません。
ただ、だれも取得を希望しない不動産は、そもそも売却が難しい物件であったりすることがあります。

これら以外に、共有分割という方法もなくはありません。
遺産を相続人同士で共有する分割方法です。
しかし、相続の開始によって共有状態となった遺産を、各相続人に分けて共有状態を解消するのが遺産分割です。
共有分割は、単なる解決の先送りでしかないと言えます。
現物分割も、代償分割も、換価分割もできない場合にやむを得ず採用する例外的な分割方法です。

3 弁護士に依頼するメリット

現物分割で遺産が問題なく分けられるケースは、きわめてまれと言えます。

代償分割や換価分割をしながらも遺産分割をスムーズに解決するには、相続人それぞれの事情を踏まえながら、何をどのように分ければよいのか、最終的に裁判所が決めてしまうとどのような不都合が生じるかなどを冷静に見きわめ、時には時間ばかりかかって実りの少ないような主張は抑えて、粛々と現実的な対応をとる必要があります。

話合いを有利にリードしていくには、早めに弁護士に相談して、あらかじめ先の見通しを持っておくことが重要と考えられます。

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Mybestpro Members

拾井央雄
専門家

拾井央雄(弁護士)

京都北山特許法律事務所

エンジニア15年〜弁理士5年と弁護士としては異例の経歴を持ち、技術系分野に精通。知的財産や技術系法務のエキスパートとして数多くの事業者を支援。また自身が住職である立場から宗教法人のサポートも手掛ける。

拾井央雄プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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