リタイア後の収支を試算する!
日本の年金制度は、現役世代の保険料負担で高齢者世代を支えるという考え方を基本としています。(賦課方式)
近年、少子高齢化が急激に進むことで、
現役世代の保険料だけで年金給付をまかなうとなると、
保険料の引き上げまたは給付水準の低下が避けられない状態となることで
一定の積立金を活用する財政計画を立てています。
年金積立金管理運用独立行政法人GPIFのホームページの中に
「分散投資」「基本ポートフォリオの策定・管理」という文言とともに
長期的な運用においては、短期的な市場の動向により資産構成割合を変更するよりも、基本となる資産構成割合を決めて、これを維持する方が効率的で良い結果をもたらすことが知られています。とあります。
この表現は、とてもよいと思います。
日本人は短期的売買へ興味を持ちがちですが、
そうではなく長期的なものさしで考えるということであり
基本の資産構成割合を決めるということと、
これを維持しながらメンテナンスしていくという感覚をもつことを言っていますね。
一方、年金保険料を納付しているけれど・・・
いざ年金の受給ができるのだろうか?
といった不安をお持ちの方が多いと思います。
そこで
H16年(2004年)改正において、
次の4つを組み合わせることで
持続可能な制度の構築を目指した「制度の見直し」が行われました。
① 保険料水準固定方式の導入
保険料水準は、
平成29(2017)年までに厚生年金は18.3%、
国民年金は16900円に段階的に引き上げた上で固定されます。
固定された保険料水準の下で
給付水準をできるだけ高く保つために積立金が有効に活用されることになりました。
② マクロ経済スライドの導入
被保険者数の減少や平均寿命の伸び等が年金額の改定に反映され、
改定率が手取り賃金や物価の伸びよりも抑制された給付水準の
自動調整をする仕組みです。
③ 基礎年金の国庫負担割合引き上げ
国庫負担分が2分の1に引き上げとなりました。
④ 積立金の活用年金の財政運営方式
賦課方式を基本とし、おおむね100年間で財政均衡を図ることとし、
積立金は、その財政均衡期間の終了時に
支払準備金程度(給付費の1年分程度)を保有することになりました。
これにより、
固定された保険料水準の下で、
給付水準をできるだけ高く保つために
積立金が有効に活用されることになります。
「積立金の有効活用」や「運用」というと、
敬遠してしまうキーワードですが。
私たちの年金はどのように運用されているのでしょうか。
年金積立金管理運用独立行政法人GPIFの運用実績については、
単年度で見るとマイナスの年度もありますが、
公的年金は長期にわたって財政の均衡を図っていく制度なので、
ある程度の期間でみて評価するべきといえます。
自主運用を開始してからの累積でみると、運用実績はプラスの収益となっています。
具体的な数字としては
平成13年度(自主運用開始)から29年第三四半期までの累積収益額 約69.0兆円
平成13年度から29年第三四半期まで 平均収益率3.39% です。
(GPIF年金積立金管理運用独立行政法人HPより)
また
第3四半期末の運用実績による構成割合は
(平成29年12月末)
(年金積立金全体)
国内債券27.67% 国内株式26.05% 外国債券14.13%外国株式25.08% 短期資産7.06%
合計100.00%
株式割合なども含めていくことが必要ですね。
個々人のリタイアメントプランでは、いかがでしょうか。
年金制度の心配とともに、
「インフレリスクへの対応」のテーマも、機会があればお話ししていきたいと思います。