火災保険の水害補償特約

小堀將三

小堀將三

テーマ:その他

 台風25号による大雨の影響で土砂崩れが相次いだ千葉、神奈川両県では、現時点で死者は9人、4人の方が行方不明になっています。大雨の影響で川が氾濫して、街は冠水し 車が水没して身動きできない被害が多数発生しました。特に千葉県は、先月お盆期間中に線状降水帯が相次いで発生し、多大な被害に見舞われたばかりでした。昔は夏の風物詩として「夕立」がありましたが、それによる被害はほとんど無かったと思います。近年は、「夕立」に代わって「ゲリラ豪雨」が発生するようになって被害も多くなってきており、年々、発生頻度が多くなり被害の規模も大きくなってきています。また、街の冠水は、河川の氾濫によるものだけではなく、内水氾濫(排水能力を超えた都市型水害)によるものも増えてきています。
 千葉県内に甚大な被害をもたらした8月の豪雨から1ヶ月以上経ちましたが、設備が浸水したマンションでは復旧の遅れが目立っており、今なおエレベーターの停止、停電や断水が続いているマンションがあると聞いています。これらの設備はマンションの共用部分で、公的支援は極めて限定的であるため、復旧費用は管理組合が共用部分に掛けている火災保険等で負担せざるを得ないのが実情です。
 その火災保険ですが、まず確認したいのは、保険に水災補償の特約が付いているかどうかです。水災補償では、台風、暴風雨、豪雨などによる洪水、融雪洪水、高潮、土砂崩れ、落石などによって、所定の損害を受けた場合に補償を受けることができます。ただし、水害補償の特約を付けているから水災への備えは大丈夫とは限りません。保険金が支払われるには、ある一定の基準(「床上浸水」または「地盤面から45センチメートルを超える浸水」)を満たしていなければなりません。
 この水害補償の特約を付けるかどうか、又は今まで付けていたのを外すかどうかを、管理組合で度々検討されることがあります。マンションの周辺には河川も山もないことから、河川の氾濫や土砂災害の恐れがないこと、またハザードマップでも、その恐れがないことから水害補償の特約を付けない、外す管理組合様がありましたが、年々、頻繁におきるゲリラ豪雨や線状降水帯が相次いで発生すること、そして内水氾濫による被害の増加を考えますと、再度、水害補償について検討しなければならなくなってきたと思います。
 そこで、水災補償の要否を判断するためのチェックリストをAIに作成してもらいました。それが以下のチェック項目です。

Ⅰ. 立地・地形リスク(ハザードマップ+都市型水害)
Ⓐ ハザードマップ(河川氾濫・高潮・土砂災害)
[ ] 洪水浸水想定区域に該当する
[ ] 高潮浸水想定区域に該当する
[ ] 土砂災害警戒区域に該当する
[ ] 海抜(標高)が低い(概ね5m以下)
[ ] 河川・水路・用水路が近い(概ね300m以内)
Ⓑ 都市型水害(内水氾濫)
[ ] 周辺道路で冠水が発生したことがある
[ ] マンホールからの噴出事例がある
[ ] 側溝・排水路が細い/詰まりやすい
[ ] 周辺が谷地形・低地・盆地である
[ ] 短時間豪雨(50mm/h以上)が頻発する地域である

Ⅱ. 敷地内の排水能力(マンション固有のリスク)
[ ] 敷地内の排水桝が少ない/小さい
[ ] 排水桝が詰まりやすい(落葉・土砂が多い)
[ ] 豪雨時に水が溜まりやすい場所がある
[ ] 地下駐車場の入口が“水を集める形状”になっている
[ ] 敷地の傾斜が強く、低地に水が集中する
[ ] 外構の側溝が浅い/容量不足

Ⅲ. 共用部の機械設備配置(最重要)
[ ] 受水槽・ポンプ室が1階または地階にある
[ ] 電気室が低層階にある
[ ] エレベーター機械室が地階にある(ピット冠水リスク)
[ ] 地下駐車場がある
[ ] 機械設備周辺に排水設備が少ない
[ ] 機械室の防水・止水対策が不十分

Ⅳ. 過去の冠水履歴(最も信頼できるデータ)
[ ] 過去10年以内に周辺道路で冠水が発生
[ ] マンション敷地内で水が溜まったことがある
[ ] 地下駐車場が冠水したことがある
[ ] 近隣マンションで水災事故が発生している
[ ] 自治体の災害記録に内水氾濫が載っている

Ⅴ. 気候変動トレンド(将来予測)
[ ] 豪雨の発生頻度が増加している(気象庁データ)
[ ] 下水道整備が古い地域である
[ ] 周辺の舗装率が高く、雨水が浸透しにくい
[ ] 近年、短時間豪雨による交通障害が増えている

チェック項目数により、次のような判断基準となります。
20項目以上  → 水災補償は必須(付帯が標準)
14〜19項目 → 付帯強く推奨(外す理由なし)
8〜13項目 → 付帯推奨(立地・設備次第)
0〜7項目 → 外す選択肢あり(ただし慎重に判断)

 上記Ⅳの最も信頼できるデータ「過去の冠水履歴」を方法ですが、同じくAIでは以下の手順で調べるのが良いとしていますので、参考にしてみて下さい。

(1)過去の冠水履歴(最重要)を調べる方法
① 自治体の「災害記録」「水害履歴」ページを確認
● 調査手順
自治体HP → 「防災」「災害記録」「水害履歴」などのページへ
年度別の災害報告を確認
マンション周辺の地名が出ていないかチェック
※高知市の場合は、豪雨記録が比較的詳細に残っています。

② 消防署・市役所の防災担当に“冠水履歴の有無”を直接確認
自治体は、住民からの問い合わせに応じて 「過去にその地域で冠水があったか」を教えてくれます。
● 調査手順
市役所防災担当へ電話
「○○町周辺で過去に冠水・内水氾濫の記録はありますか?」と聞く
必要なら文書で回答を依頼
→ 公式回答なので、理事会資料として信頼性が高い。

③ 近隣マンションの管理会社に聞く(実務で最も有効)
管理会社は、周辺マンションの事故情報を把握しています。
● 調査手順
管理会社に「周辺マンションで水災事故はあったか」を確認
特に地下駐車場・ポンプ室の冠水事例を聞く
→ 実際の事故情報は、ハザードマップより強い根拠。

④ SNS・地域掲示板(リアルタイム情報)
Twitter(X)、地域掲示板、Yahoo!リアルタイムなどで 「○○町 冠水」「○○市 内水氾濫」などを検索すると、 過去の冠水写真が出てくることがあります。
● 調査手順
「地名+冠水」「地名+浸水」「地名+豪雨」で検索
写真・動画があれば保存して理事会資料に添付
→ ハザードマップに載らない“実際の冠水地点”が分かる。

⑤ Googleマップの口コミ(意外に有効)
店舗や施設の口コミに 「豪雨で店の前が冠水した」 「駐車場が水没した」 などの記述があることがあります。

(2)都市型水害指標(道路冠水・排水能力)を調べる方法
① 道路冠水の履歴(自治体・警察・消防)
自治体の災害記録に載らない場合でも、 消防・警察は道路冠水の出動記録を持っています。
● 調査手順
消防署に「○○町周辺で道路冠水の出動履歴はありますか?」と確認
必要なら文書回答を依頼

② 下水道局(排水能力の情報源)
下水道局は、
側溝の容量
排水路の整備状況
過去の詰まり事例 を把握しています。
● 調査手順
下水道局に「周辺の排水能力」「過去の詰まり事例」を確認
古い地域は排水能力が低いことが多い

③ 現地調査(管理組合でできる)
都市型水害は、現地を見ると分かります。
● チェックポイント
側溝が浅い/細い
排水桝が少ない
地下駐車場の入口が“水を集める形状”
敷地の低地に水が溜まりやすい
道路の傾斜が強く、マンション側に水が流れ込む
→ 写真を撮って理事会資料に添付すると説得力が高い。

④ 気象庁の「短時間豪雨」データ
気象庁は、 「1時間50mm以上の豪雨」 「短時間強雨」 の発生回数を公開しています。
● 調査手順
気象庁HP → “短時間強雨情報”
過去数年の発生回数を確認
増えている地域は内水氾濫リスクが高い

⑤ SNS・動画(道路冠水の実例)
道路冠水はSNSに最も多く記録が残ります。
● 調査手順
「地名+冠水」「地名+豪雨」で検索
冠水動画があれば保存

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小堀將三
専門家

小堀將三(マンション管理士)

マンション管理士事務所JU 高知オフィス

第三者の立場に立って絶えず公平な判断を下し、管理組合様と管理会社の良好な関係ができるよう、両者をつなぐ役目となることを目指します。大規模修繕工事、管理規約の見直しなど、様々なお悩みに寄り添います。

小堀將三プロは高知放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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