お墓を守り安全なお参りができるように。お墓の再確認をお勧めします。
川崎登戸の町石屋、吉澤石材店の吉澤です。
多摩区内のお客様から連絡をいただき、急いで行ってきたとあるお墓。はっきり言ってピンチです!
墓誌が前のめりに。今にも倒れてしまいそうです。
時々墓誌や灯篭、あるいは石塔などが植木の成長で押されて傾いたという相談を受けることがあります。しかしこれほど前のめりになった墓誌を見るのは初めてかもしれません。
不謹慎な話で恐縮ですが、まるでノルディックスキーのジャンプのテイクオフ寸前のようだな、とか思ってしまいました。
しかも墓誌の台と本体の間の目地もかなり傷んでいます。今日地震や大風が吹けばそのままバッタリ、という可能性が高い。とりあえず本体のみ外して横に寝かせておきました。
HPブログやアメブロでも時々書いていますが、お墓に生えている木はけっこうクセモノだったりします。
例えば今回の傾きの原因は、墓誌と囲いの間の隙間から生え出たナンテンの木(他雑木も)です。
Photo by (c)Tomo.Yun
ナンテンと言えばこの写真のように、晩秋から冬に、赤いかわいらしい実をつける木。縁起が良いと喜ばれる木でもあります。
また南天のど飴なんていう製品もあり、イメージも良かったりしますね。
ただこれがお墓、しかも狭い隙間などから生えてくると危険信号なんです。
一本一本の幹は細いですが、かたまって生えてきます。気が付いた時には、もう引き抜こうにも引き抜けない状態になってしまっています。
植えたおぼえもないのにいつの間に?
そう思う方が多いでしょう。それはおそらく鳥の仕業ではないかと推測します。赤い実を食べ、フンに混ざった種が落ちて発芽…そんなケースが多いのだと思います。
最初は細かった幹・根も年を経るごとに成長していきます。時に実生(みしょう)の場合、あまり気にしていない分だけ、大きくなるのも想像以上に早い印象を受けるかもしれません。
こちらのお墓もご覧のように台石が思い切り押し上げられていました。囲いの石も少し動かされていました。
こうなると対処方法は一つ。台石を外し、伐根を試みることになります。
もっとも根が石の隙間などに入り込んでいると、無理やり引っ張り上げることでお墓そのものを傷めてしまいかねません。様子を見ながらの作業→引き抜きが無理なら伐採というふうに、なるべくお墓を傷めないよう注意して作業していきます。
いずれにしても、お墓に生えてしまった木、とくに狭い隙間から生えてくる木には要注意です。あっという間に大きくなります。
今度のお彼岸のお墓参りには、そのあたりも注意して確認してみてはいかがでしょうか。
少しの注意がお墓を長持ちさせることにつながりますよ。