【第2部】2026年度「年収の壁」の全容~法改正による企業と個人への影響

江崎充豊

江崎充豊

テーマ:経営


 こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
「年収の壁」コラム、今回は改正が与える影響についてお話します。

はじめに

 第1部では年収の壁の全容を整理しましたが、重要なのは「数字が変わる」ことによる影響です。
中小企業においては、社会保険料の会社負担増という「目に見えるコスト」だけでなく、就業調整による人手不足や売上機会の損失といった「見えないリスク」を財務、労務の視点で捉え直す必要があります。

個人と企業、それぞれの影響

 改正は、働き手と雇い主の双方に影響があります。

1.個人への影響

  • 税制緩和により所得税負担のラインが上がり、就業調整の圧力が弱まります。
  • 社会保険加入は短期的には手取りを減らしますが、将来の年金額増加や傷病手当金などの保障充実という中長期的なメリットがあります。

2.企業への影響

  • 社会保険の適用拡大により、法定福利費(人件費)が増加します。
  • 企業規模要件は今後、2027年以降も段階的に縮小・撤廃されることが決まっています。現時点では直接対象でない企業であっても、「いずれ自社にも影響する制度」であることを前提に準備を進める必要があります。


 ここで、影響をまとめます。

内容個人への影響企業への影響留意点
税制改正税負担発生ラインが上がり、就業調整圧力が低下年末調整・扶養判定実務の見直しが必要103万円の説明を123万円・160万円基準へ更新
社保適用拡大手取り減の可能性はあるが、保障は厚くなる保険料負担が増える20時間基準で対象者管理を行う
扶養認定運用一時的残業で扶養外になりにくい従業員への説明がしやすくなる契約内容の確認が重要

「財務×労務」で見るべきポイント

 ここで重要になるのが、法改正を労務管理だけの問題にしないことです。
人手不足で外注費が嵩んだり、シフトが回らず売上が落ちたりする損失(機会損失)を考えれば、社会保険を完備して「安定した労働力を確保し、定着率を高める」ことは、将来的なキャッシュフローを安定させる「先行投資」と捉えることもできます。

観点影響のポイント
財務面保険料負担増 vs 採用・教育コストの抑制・売上維持
労務面社会保険加入による「守り(保障)」を武器にした採用競争力強化

まとめ

 第2部では、法改正がもたらす影響を整理しました。単なるコスト増と捉えるか、組織強化の好機と捉えるかで、企業の未来は分かれます。
第3部では、これらの影響を踏まえ、企業が着手すべき対策を整理します。

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江崎充豊
専門家

江崎充豊(社会保険労務士)

マネジスタ湘南社労士事務所

現役銀行員としての財務分析力、社労士としての労務知識を融合させ企業を支援。資金調達や事業計画、人事労務体制整備からデジタルツール導入まで、経営者が本業に集中できる環境作りをアシストする。

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