【第1部】2026年度「年収の壁」の全容と中小企業の戦略

江崎充豊

江崎充豊

テーマ:経営


 こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。

「年収の壁」は、単に従業員の働き方や手取りだけの問題ではありません。
中小企業にとっては、人手不足への対応、人件費管理、配偶者手当の見直し、さらには採用・定着戦略にも直結する極めて重要な経営課題です。
2026年度は税制改正や社会保険の要件変更が重なり、実務に与える影響が非常に大きい年となります。
 本コラムでは、2026年度の年収の壁の全容と企業が取るべき対策を3部構成で解説します。

はじめに

 まずは「年収の壁」の全体像を把握します。
一般に「103万円」「130万円」といった数字が独り歩きしていますが、実際には「税金の壁」「社会保険の壁」という大きく2つの異なる性質の壁があります。
 特に2026年度は、従来の基準が大きく変わる転換点です。第1部では、最新の要件と改正ポイントを整理します。

2026年度の「年収の壁」

 実務上、経営者が押さえておくべき基準は以下の通りです。
これまでの基準と2026年度改正による新基準を比較します。

区分従来の基準2026年度の新基準実務上のポイント
住民税の壁100万円前後100万円前後自治体に差があり
所得税の壁103万円160万円本人に所得税がかからない目安
配偶者控除の壁(所得要件)103万円123万円扶養判定の所得要件が48万→58万へ
配偶者特別控除の満願上限150万円160万円控除額38万円が適用される配偶者の年収上限
配偶者特別控除の上限201万6千円201万6千円配偶者特別控除の対象上限
社会保険の壁①106万円2026年10月撤廃予定賃金要件(月8.8万)が撤廃。週20時間以上が主軸に
社会保険の壁②130万円130万円(運用緩和)臨時収入は「見込み」に含めない柔軟運用


 「年収の壁」といっても、税負担が発生する壁と、社会保険加入が発生する壁とでは意味が異なります。そのため、企業の人事労務担当者や経営者は、「どの壁が、誰に、どのような影響を与えるのか」を分けて考える必要があります。

税制・社会保険の主な改正点

 2026年度改正で注意すべきは、「103万円」という数字がもはや基準ではないという点です。 
 令和7年度税制改正により、本人に所得税がかからない年収は160万円へ、扶養親族の所得要件は給与収入換算で123万円へと引き上げられました。

 また、社会保険(106万円の壁)については、2026年10月に賃金要件が撤廃される方針です。今後は「いくら稼ぐか」よりも「週20時間以上働くか」が社会保険加入の判断基準となります。

まとめ

 第1部では、2026年度の改正基準を整理しました。税金の壁が緩和される一方で、社会保険はより加入を促す方向へ進んでいます。
 次の第2部では、これらの改正が企業と個人の「手取り」や「コスト」にどのような具体的影響を与えるのか、財務と労務の両面から深掘りします。

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江崎充豊
専門家

江崎充豊(社会保険労務士)

マネジスタ湘南社労士事務所

現役銀行員としての財務分析力、社労士としての労務知識を融合させ企業を支援。資金調達や事業計画、人事労務体制整備からデジタルツール導入まで、経営者が本業に集中できる環境作りをアシストする。

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