なぜ数字が経営判断に使われないのか 【第2部】経営判断に使える数字は何か

こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
「経営深掘りマップの活用」第3部、今回は資金繰りの対策についてお話します。
はじめに
第2部は、資金繰りの指標としてのCCCと、予測ツールとしての資金繰り表の役割についてお伝えしました。
最終回となる第3部では、中小企業が取り組む対策について整理します。
対策その1:資金繰り表の作成と運用
少なくとも「3ヶ月先」までの資金繰り表の作成をお薦めします。
これは銀行への提出用ではなく、自社の現状と今後の計画のために必要です。
- 月次試算表の早期化: 翌月の早い段階で前月の実績を確定
- 経常収支の把握: 「本業の現金収支」の推移を毎月確認
対策その2:CCC改善による収支改善と運転資金の抑制
CCCを短縮することは、キャッシュを「生み出す」ことと同じです。
以下に簡単にシミュレーションします。
【CCC改善によるキャッシュ捻出シミュレーション】
例:月商1億円の企業が、60日のCCCを15日短縮した場合
| 項目 | 改善前(60日) | 改善後(45日) | 改善のアクション |
|---|---|---|---|
| 所要運転資金 | 2億円 | 1.5億円 | - |
| 手元キャッシュ増減 | - | +5,000万円 | - |
| 具体的な対策 | 従来の回収条件を踏襲 | 早期回収の徹底 | 回収サイトの短縮 |
| 在庫管理 | これまでと変わらない在庫水準 | 適正在庫への見直し | 滞留在庫の抑制・発注適正化 |
5,000万円の現金を創出するために5,000万円の利益を出すのは至難の業ですが、在庫の見直しや交渉によりCCCを15日改善することは、利益を捻出するよりも取り組みやすいと思います。
対策その3: 「資金繰り対策」としての補助金・助成金活用
経営深掘りマップでは「補助金の活用」も強調されていますが、補助金や助成金受給には労務面との連携が必要です。
例えば、賃上げに伴う負担増に対しては「業務改善助成金」や「キャリアアップ助成金」を、生産性向上に対しては「省力化投資補助金(AI・ロボット導入)」などを活用し、人件費コントロールと生産性向上を図ることができます。
対策その4: 金融機関への「説明能力」を高める
第1部でも触れましたが、「資金繰りを安定させたい」の4つの柱の一つに「金融機関と良い関係を築きたい」があります。
ここで、悪い情報を含めた適宜適切な情報開示が信頼を生みます。
正しい会計ルール(中小会計要領)に基づいた決算書を作成し、経営者が自らの言葉で将来の計画を説明できれば、融資条件の改善などといった具体的なメリットを享受できる可能性が高まります。
まとめ
手元にキャッシュがあるからこそ、次なる成長への先行投資や、属人化を脱却するための投資が可能になります。
自社のCCCを把握し、改善目標を立てる
資金繰り表を作成し、金融機関と「未来の数字」で対話する
捻出キャッシュを、生産性向上のための投資に回す
このサイクルを回せば、資金繰りの改善と生産性向上が図れます。
また、経営深掘りマップで資金繰り以外にも自社の弱点を確認し、財務と労務を一体として捉えた対策を打つことで、強固な経営体質を築くことが出来ます。
マネジスタ湘南社労士事務所は財務、労務に関する相談を承ります。お困りごとがございましたらお気軽にご相談ください。



