【第1部】「利益」を「キャッシュ」に変える財務戦略 ~中小企業庁「経営深掘りマップ」の活用

江崎充豊

江崎充豊

テーマ:財務


 こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
これまで、コラムで資金繰り(キャッシュフロー)について何度か取り上げました。
今回も、中小企業庁が公表した資料を元に、資金繰りについて3部構成でお話します。

はじめに

 2026年3月、中小企業庁は支援ポータルサイト「ミラサポplus」において、経営課題を視覚的に整理した「経営深掘りマップ」の最新版を公開しました。
 これまで公表していた「売上・利益」という視点に加え、今回「資金繰り」が追加されたことは、企業の経営基盤をより強固にするためだと思います。

「経営深掘りマップ」とは

 「自社の経営を俯瞰する 経営深掘りマップ」は、中小企業庁が中小企業支援サイト「ミラサポplus」にて、2024年に第一弾として「売り上げを増やしたい」「利益を増やしたい」というテーマのコンテンツを公開しました。
 今回、2026年3月9日に追加で「資金繰りを安定させたい」を公開しました。

 このツールの特徴は、マインドマップ形式を採用していることです。
従来のリスト形式の紹介では見落としがちだった「課題間の因果関係」が、中心から枝分かれする構造によって一目で可視化され、自社のボトルネックが財務リテラシーの不足にあるのか、あるいは金融機関とのコミュニケーション不足にあるのかを特定し、具体的なアクションへと繋げることを目的としています。

「資金繰りマップ」を支える4つの柱

 このマップは、資金繰りの悩みを単なる「お金が足りない」で終わらせず、以下の4つの切り口で構造化しています。

カテゴリー主な内容・目的
財務状況の把握会計処理の基本からキャッシュフローの可視化、資金繰り表の作成
金融機関との関係信用情報の仕組み理解、返済スケジュールの調整
資金調達プロパー融資、補助金、社債、ABL(動産担保融資)等の多様化
資本強化自己資本の増強、スタートアップ向けのファイナンス戦略

 公開した背景には、現在の厳しい金融環境があります。
長らく続いた低金利政策の解除、止まらない物価高、そして人手不足に伴う人件費の高騰。これらに加え、コロナ禍で実施された「実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資」の返済がピークを迎えています。

 多くの企業が「収益力は戻りつつあるが、利益に応じたキャッシュが積み上がらない」という、いわば「成長」と「費用負担増」との現実の板挟みにあっています。
 国がこのタイミングでマップを更新したのは、経営者に「勘定合って銭足らず」の危機を乗り越え、筋肉質な財務体質へ転換してほしいというメッセージだと思います。

まとめ

 第1部では、経営の深掘りマップの内容と公開の背景を整理しました。
マインドマップ形式で課題間の因果関係を可視化することは、経営者が「自社のボトルネック」を特定するための第一歩です。

  第2部では、このマップの核心部分である「資金繰り」と、中小企業が直面している具体的な課題について深掘りします。

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江崎充豊
専門家

江崎充豊(社会保険労務士)

マネジスタ湘南社労士事務所

現役銀行員としての財務分析力、社労士としての労務知識を融合させ企業を支援。資金調達や事業計画、人事労務体制整備からデジタルツール導入まで、経営者が本業に集中できる環境作りをアシストする。

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