年収130万円の壁 ~働きやすい環境作りと助成金の活用

こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
2026年度は、制度改正の波に直面します。社会保険料の実質的な引き上げ、ハラスメント対策の義務化、そして情報の開示強化。
これらは単なる事務負担の増加ではなく、企業のキャッシュフローと採用力に影響します。
様々な改正に対し、財務と労務の観点から2026年度改正の内容と課題、対策を3部構成でお話します。
はじめに:法改正の内容
2026年度は、これまで「努力義務」とされていた事項が「法的義務」へと格上げされる項目が目立ちます。さらに、少子化対策を目的とした新たな金銭負担も始まります。
まずは主な法改正のスケジュールと、各項目の内容を整理します。
【2026年度 主要法改正スケジュール】
| 施行時期 | 関連法規 | 主な改正内容 |
|---|---|---|
| 2026年4月 | 子ども・子育て支援法 | 支援金制度開始:社会保険料に0.23%(初年度)上乗せ |
| 2026年4月 | 健康保険法 | 扶養認定の年間収入判定変更:一定の要件を満たす場合は臨時収入は算入外に |
| 2026年4月 | 労働施策総合推進法 | 男女賃金差異の公表義務の対象拡大:従業員301人以上→101人以上に拡大 |
| 2026年4月 | 労働施策総合推進法 | 治療と仕事の両立支援:治療と仕事の両立に関する措置を努力義務化 |
| 2026年4月 | 厚生年金保険法 | 在職老齢年金の緩和:支給停止基準額 51万円 → 65万円 へ引上げ |
| 2026年4月 | 確定拠出年金法 | マッチング拠出:事業主掛金額による制限(1:1)を撤廃 |
| 2026年7月 | 障害者雇用促進法 | 法定雇用率を2.5% → 2.7%に引き上げ (対象:従業員37.5人以上) |
| 2026年10月 | 労働施策総合推進法 | カスタマーハラスメント(カスハラ)対策の義務化 |
| 2026年10月 | 子ども・子育て支援法 | 国民年金第1号被保険者の育児期間に係る保険料の免除措置の創設:子が1歳になるまで養育する国民年金第1号被保険者が父母ともに免除の対象 |
| 2026年12月 | 確定拠出年金法 | iDeCo拡充:加入可能年齢 70歳未満へ、限度額も5.5万円→6.2万円に引上げ |
改正内容のポイント
社会保険・少子化対策
新たに導入される「子ども・子育て支援金」は、2026年度は0.23%からスタートし、2028年度には0.4%程度まで段階的に引き上げられる計画です。これは労使折半で負担するため、会社側の法定福利費が増えます。
また、扶養認定の判定が「労働契約に基づく将来収入」となるため、一時的な残業増があっても扶養から外れない柔軟な運用が可能となります。
高齢者・障害者雇用の促進
在職老齢年金の基準が月額65万円に緩和されることで、高齢者層が年金カットを気にせず働き続けられるようになります。
一方、障害者雇用率は2.7%に上昇し、1人雇用が必要なラインが「従業員40人以上」から「37.5人以上」に下がり、対象となる企業が増えます。
情報開示の強化
これまで従業員301人以上が対象だった「男女の賃金差異」の公表が、101人以上の企業にも義務化されます。単なる数字の公表に留まらず、その差異の「理由」をどう説明するかが問われるようになります。
ハラスメント・労働環境
顧客からの理不尽な要求(カスハラ)や、インターン生・就活生へのセクハラ対策が義務化されます。これは単なる努力義務ではなく、方針の明確化や相談窓口の設置などの「雇用管理上の措置」が必須となります
まとめ
第1部では、2026年度に施行される改正項目を整理しました。
「金銭的な負担増」と「人材活用の柔軟化」、そして「企業の透明性」のそれぞれに対応を迫られることになります。
第2部では、これらが企業の財務と労務にどのようなインパクトを与えるのかを整理します。



