副業・兼業時代の人材戦略 【第2部】労働時間管理に見る副業・兼業のネック

こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
「2040年の就業構造推計」第2部、今回は就業構造推計から労務・財務の視点で課題を考察します。
はじめに
第1部で述べた「GDP1,000兆円」という目標を実現する上で、最大の障害となるのが「労働力不足」と「スキルのミスマッチ」です。
銀行員としての財務の視点、社労士としての労務の視点から、中小企業が直面する課題を考えます。
労働需給のギャップ
2040年の労働市場では、需要6,983万人に対し供給は6,303万人と、単純計算で約680万人の不足が予測されています。
しかし、本質的な問題は人数の不足ではありません。職種、学歴、地域によって「余る人材」と「足りない人材」が極端に分かれる点にあります。
職種・学歴別の需給ミスマッチ予測(2040年)
| 分類 | 余剰が見込まれる層 | 不足が見込まれる層 |
|---|---|---|
| 職種別 | 事務職(+約440万人) | AI・ロボット等利活用人材(▲約340万人)、現場人材(▲約260万人) |
| 学歴別 | 文系大学・院卒(+約80万人) | 理系大学・院卒(▲約120万人) |
労務の視点:労務・採用の危機
生成AIやロボットの進展は、特に事務職の労働需要を大きく変化させます。
推計では、調整業務や要件分析などの自動化が進み、事務職の労働需要は約1,460万人から約1,040万人まで大幅に減少する可能性があります。
中小企業の多くが抱える「属人的な手作業による事務」は、2040年には完全に余剰となります。
一方で、製造業では約260万人不足すると言われている現場人材、約340万人不足すると言われているデジタル人材の不足は採用コストの上昇に繋がります。
厚生労働省の「労働経済の分析」でも指摘される通り、賃金上昇の流れに乗れない企業は、採用がより厳しくなるリスクがあります。
余剰となる事務職をいかに成長分野へ再配置(リスキリング)できるかが、労務管理の重要課題となります。
財務の視点:投資の質と財務の危機
財務面での課題は「投資先」の変化です。本推計では、建物などの既存型投資は横ばいですが、ソフトウェアや研究開発、ロボット等の「次世代型投資」を1.8倍に増加させることが成長の条件とされています。
これまでの単なる運転資金の融資ではなく、「省力化・生産性向上」に資する投資ができているかどうかが、企業の成長や格付に影響する可能性があります。
ベースケースに留まる(=投資をしない)企業は、実質賃金が低下し、最終的には資金調達も困難になる「負のスパイラル」に陥る懸念があります。
第2部のまとめ
中小企業は今後、「事務職の余剰」と「専門職・現場職の不足」という二極化するミスマッチの影響を受けます。これは単なる採用難ではなく、企業のビジネスモデルそのものの再構築を迫るものです。
最終部では、これらの課題について財務・労務の両面から対策を考えてみます。



