人件費をどう予算化するか ~中小企業のための実践的ステップと連携のヒント~

こんにちは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
中小企業向けの補助金・助成金、伴走支援は年々充実しています。
しかし、現場では
「制度は知っているが活かせていない」
「支援を受けても思ったほど効果を感じない」
といった声も少なくありません。
本コラムでは、株式会社フォーバルが公表した調査データをもとに、中小企業支援が「活かされない」背景と、その構造的な課題について整理します。
財務と労務の両面から現状を捉え、実務として成果につなげるための考え方を、3部構成でお伝えしていきます。
はじめに
日本企業の99.7%を占める中小企業は、地域経済や雇用を支える重要な存在です。
しかし、限られた人材や時間の中で経営者は日々の業務対応に追われ、複雑化する支援制度を十分に把握・検討する余裕を持ちにくいのが実情です。
第1部では、調査データをもとに、
「なぜ支援策が届きにくいのか」
という、すなわち「情報の分かりにくさ」「アクセスのしづらさ」という課題に焦点を当てていきます。
レポートの概要と「分かりにくさ」の実態
今回のベースとするのは、株式会社フォーバルが運営するフォーバルGDXリサーチ研究所が、2026年1月30日に公表した「BLUE REPORT 2月号」です。
本レポートは、中小企業を対象に、補助金・助成金などの支援施策や専門家による伴走支援について、認知度・理解度・活用状況を調査したものです。
調査結果の中で、特に注目すべきなのが、支援情報の「分かりやすさ」に関する回答です。
- 「分かりやすい」と回答した企業:13.9%
- 「分かりにくい」と回答した企業:47.4%
約半数の企業が「分かりにくい」と感じているという結果は、制度の有無以前に情報の届け方・受け取り方そのものに課題があることを示しています。
数字が示す「情報へのアクセスとユーザビリティ」という課題
「分かりにくさ」の背景には、複数の構造的要因があると考えられます。
・情報発信元の分散
国・自治体・支援機関など発信元が多岐にわたり、情報集約されていない
・要件の複雑さ
対象や条件が細かく、自社が該当するかどうかを経営者自身が判断する必要がある
・支援内容の細分化
補助金(設備投資)と助成金(人材・労務)が別々に整理されている
特に重要なのが、財務と労務が分断された形で情報提供されている点です。
例えば、
・設備投資に関する補助金は「財務の話」
・人材育成や処遇改善の助成金は「労務の話」
として扱われがちですが、実際の経営では両者は密接に結びついています。
設備投資を行っても人材が定着しなければ成果は出ませんし、人材に投資してもインフラや資金繰りが伴わなければ制度は継続できません。
このように、経営の実態と支援情報の整理方法との間にズレが生じていることが、支援活用を難しくしている一因だと考えられます
「制度がない」のではなく「整理されていない」
「分かりにくい」と回答した企業が多いことは、
「中小企業が支援制度を知らない」という問題ではなく、「制度は存在しているが、自社の経営とどう結びつくのかが見えにくい」
という状態を示していると捉えることができます。
これは、経営者個人の能力や意欲の問題ではなく、
・情報が専門領域ごとに縦割りで提供されている
・経営全体の視点で整理される機会が少ない
といった構造的な課題によるものです。
まとめ
レポートが示す「約半数が分かりにくいと感じている」という数字は、中小企業支援の現場での大きな課題だと思います。
支援策が活かされない理由は、制度の不足ではなく、
財務と労務を一体で整理し、経営に落とし込む視点の不足にあります。
第2部では、こうした状況の中で注目されている「伴走支援」が、
なぜ成果を上げる企業と、そうでない企業に分かれるのか。
レポートをもとに中小企業側の課題と問題点を掘り下げていきます。



