金融経済教育と労務管理の共通点 【第3部】企業が見直すべき労務管理のポイント

こんばんは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
「日本は本当に労働力不足なのか」最終回の第3部、これまでのことを踏まえて働く環境についてお話をします。
はじめに
第2部では、人手不足を「労働時間」という視点で整理し、条件次第で働ける可能性のある人が一定数存在することを確認しました。
それにもかかわらず人手不足が続く背景には、企業側の努力不足というよりも、
これまで当たり前だった働き方や制度が、現在の労働環境と合わなくなってきている
という面があるように思います。
第3部では、その前提のもとで中小企業が無理なく取り組める「現実的な対策」を整理します。
人手不足対策は「採用活動」だけでは完結しない
人手不足というと、
「求人を出す」、「採用条件を見直す」
といった対応に意識が向きがちです。
もちろん採用は重要ですが、第2部で見たように、働く意思のある人が働きにくい構造のままでは、採用を強化しても効果は限定的になります。
そこで重要になるのが、今いる人・これから働きたい人が、無理なく働ける規程になっているかという点です。
1.今の業務を少しだけ見直してみる
多くの企業では、
- 特定の人に業務が集中している
- フルタイム前提で仕事が組み立てられている
と感じられる場面があると思います。
これは決して珍しいことではなく、忙しい現場ほど起こりやすい状況です。
そこで一度、
- 業務を洗い出してみる
- 「この仕事は必ずこの人でなければならないか」を考えてみる
だけでも、業務を見直すきっかけとなったり短時間で対応できる業務が分かったりします。
仕事の形を少し整えることが、次の一手につながります。
2.柔軟な働き方が伝わっているか
短時間勤務や柔軟な働き方について、制度を整備している企業も増えています。
一方で、
- 実際に使われているか
- 使いやすい雰囲気になっているか
という点では、「制度はあるが活用されていない」というケースも少なくありません。
働く側から見ると、
「本当に使っていいのか分からない制度」は、存在しないのと同じ
に見えてしまうことがあります。
制度の中身だけでなく、運用や伝え方も含めて見直すことが重要です。
3.人件費を「月額」ではなく「時間」で考えてみる
短時間人材の活用に対して、「かえってコストが高くなるのでは」と感じる経営者の方もいらっしゃいます。ただ、
- 残業の抑制
- 採用・離職にかかるコスト
- 業務の属人化リスク
まで含めて考えると、時間当たりでの人件費管理が有効になる場面もあります。
人手不足対策は、労務の問題であると同時に、経営や財務の視点とも繋がっています。
業務の見直しと合わせ、費用対効果(ROI)から人材活用を検証するのも手です。
企業が取る具体的な対策
こうした見直しを進めるうえで、検討が必要になるのが次のような点です。
1.就業規則の見直し
短時間勤務、柔軟な働き方を織り込んだ規程になっているか
2.人事制度・評価制度の整理
働く時間が異なっても、納得感のある評価になっているか
3.業務と人員配置の再設計
業務量と労働時間が見合っているか
これらは、「とりあえず制度を導入する」だけではなく、法令・実務・現場運用を踏まえた整理が必要になります。
また、働き方や制度の見直しは、現場だけで進めようとすると、
- 法令面が不安
- どこから手を付ければいいか分からない
と感じられることも多いです。
専門家に相談することで、
・就業規則や制度を「使える形」に整える
・実態に合った働き方の設計に調整する
・将来の人手不足を見据えて業務の整理を行う
といった形で、現実的で無理のない対策を検討することができます。
まとめ:働きたいと思われる企業へ
本コラムを通じてお伝えしたかったのは、人手不足の多くは、
「人がいないから」というよりも、「働きたい人が働きたいと思う労務環境になっていない」という面もある、という点です。
まずは、今の働き方や制度を少し見直してみる。
その積み重ねが、人手不足に悩まない企業づくりにつながっていきます。
マネジスタ湘南社労士事務所では財務、労務に関する相談を承ります。
お困りごとがございましたらお気軽にご相談ください。



